教授

久保田 裕子

クボタ ヒロコ

専門分野
消費者問題、消費者運動、有機農業運動、食料・農業問題
本学就任
1996年04月01日
担当教科
サマーセミナー(演習1)、サマーセミナー(演習2)、消費情報教育、消費者の経済学、消費者主権の経済学、演習1(2)、演習2(4)、演習3(2)、國學院の学び(自然との共生(2))、総合講座(自然との共生(2))、前期課程・経済政策特論2(講義・演習)、後期課程・経済政策研究2(講義・演習)

著書・論文紹介

国連が2015年を「国際土壌年」としたことに寄せて、有機農業における土壌管理が重要であることから、日本有機農業研究会が発行した有機農業の基礎文献や土づくりの理論について刊行した『生きている土壌』(E・ヘニッヒ著、中村英司訳、発売農山漁村文化協会)についての解説、D・ガルシア監督DVD「土の讃歌」案内などを書いている。

食料品をめぐる問題は引きも切らない。戦後農業の歩みを概観し、特に1960年代からのいわゆる「近代化農業」(農業基本法1961年で推進)で引き起こされた合成農薬・化学肥料の大量使用で起きた農薬禍・環境汚染に対処するために生まれた「有機農業運動」について、その発生、経過を述べる。未来へつなげる食と農の方向性として、特に有機農業運動において取り組まれてきた「産消提携」(生産者と消費者の提携)の意義について述べる。

「体によい」という健康食品やサプリメントの機能性表示の大幅な規制緩和が日程に上っている。「食品の新たな機能性表示制度」は、2013年6月の閣議で安倍政権が打ち出した経済成長戦略の目玉の一つ。許可制ではなく、事業者の責任において科学的根拠を基に機能性を表示できるようになる。すでに、さまざまな機能をうたう健康食品が氾濫し、まぎらわしい表示や健康被害の苦情は跡を絶たない。健康への不安に乗じた高価な製品による経済的な被害も懸念される。 ●高級ホテル・レストランの料理メニューの食材に高級を装った表示が氾濫していた問題も、食品表示の問題。「車エビ」「芝エビ」という表示で、実はブラックタイガー、バナメイエビ。牛脂を注入して霜降りに似せたり、ミンチ肉と牛脂を固めてサイコロ状にした成形肉も。これには表示ガイドラインが導入された。食品表示問題は古くて新しい問題だ。食品表示一元化のために2013年6月、食品表示法が制定され、これに基づく食品表示基準は14年8月、意見募集(パブリックコメント)に付された。誤認しない適正な表示は、消費者の権利の根幹だ。また、遺伝子組み換え食品や加工食品の原料原産地表示の拡充など、必要な表示は、義務づけるという規制強化が不可欠だ。 ●「美白化粧品」による白斑様症状の被害を引き起こした医薬部外品有効成分「ロドデノール」配合のカネボウ化粧品の自主回収開始(13年7月)からほぼ1年。14年9月までに被害者は約1万9千人、そのうち症状の重い人は約4千人に上っている。全国15地域の弁護団のうち、東京、山梨・静岡、広島などが製造物責任法に基づく損害賠償請求訴訟を開始した。「茶のしずく石鹸」訴訟と併せ、行方を注視したい。

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教授からのメッセージ

消費者の視点で捉え直す
 現代社会における私たちの生活は、「消費者」としてのさまざまな「商品・サービス」を購入し、使うことと深く関わっています。かつては、衣食住など多くの物やことは家底で行われていました。今では最も基本的な食事さえ、お店の弁当を購入したり、外食を利用したりというように、家事の社会化が進んでいます。
 私たちは日々、商品・サービスを選び、購入していますが、それらが個々人の生活の内容・質を規定すると同時に、消費者が何を買うか、買わないかが市場経済のしくみを通して、経済社会やさらには資源・エネルギー・環境などにも影響を及ぼしていきます。しかし、「消費者」一人一人は、現代の巨大化した事業者(企業とか会社など)に比べると、市場においては小さな存在です。そのため、多くの消費者被害や消費者問題が生じ、消費者運動が展開されてきました。
 消費者経済学は、経済活動の本来の目的である「人々の暮らしを良くする」ために「消費者」(市民・生活者というとらえ方もできます)の視点から現代の経済社会を解明し、経済や社会のあり方の考察して行きます。多岐にわたる消費者問題の中で、私がテーマにしているのは、食や農や環境に関する問題です。遺伝子組み換え作物の問題、BSE(いわゆる狂牛病)問題、有機農業運動など、たんに個別の安全性問題にとどまらない幅広い内容を含んでいます。
 日本でも世界でも、人々が地域や社会でいきいきと、そして自然環境と調和しなが暮らしていくために、消費者・市民運動、NPO活動が行われています。具体的な問題を取り上げ、参加型アクション・リサーチの方法を取り入れ、実践的に学んでいきたいと思っています。

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