神道文化学部 卒業生インタビュー(6)

2015年2月16日更新

神社の文化財をお守りする神職を目指したい

久保さん
フレックスA(夜間主)4年

―神道文化学部入学の経緯、神道文化学部での学修について教えてください。

私は、社家ではありませんが、神社や日本の伝統文化への憧れが昂じて、神道文化学部に入学しました。
入学後は、神職課程の履修はもちろん、学芸員の資格課程も履修しました。私は昔から文化財に関心があり、「文化財保護のスキルを持った神職を目指したい…」そんな気持ちがあったのです。
3年次の夏休み、京都の八坂神社で実習をさせていただきました。八坂神社では、古来の名社が、いかにさまざまな文化財を伝えているかということを、つぶさに実感させていただきました。「神社の文化財をお守りする神職を目指したい…」神社実習を経て、そんな気持ちが、いよいよ強まってきたのです。

―藝大大学院への進学を決意した経緯、その入試の様子を教えてください。

私は、もともと理系畑の人間でした。最新の科学具術を用いた文化財の補修法に、一方ならぬ興味を抱いていました。
本学の博物館課程の先生に相談すると、「そうしたスキルを本格的に学びたいなら、本学の大学院ではなく、東京藝術大学の大学院に進むのが理想的だよ」というアドバイスをいただきました。
そこで、私は、遮二無二その「理想」を目指し、藝大大学院・文化財保存学専攻を受験することにしたのです。
入試は難関でした。X線の仕組み・分子構造のチェック法を説明した英文の和訳。漆が固まる科学的メカニズムについての出題。文化財補修の実技試験…
最後の面接。「神道文化学部出身者として、ぜひとも神社の文化財を守っていきたい」という自らの思いを訴えました。おかげさまで7倍強の競争率を乗り越えて、合格通知をいただくことができました。

―大学院進学後の抱負を語ってください。

私はフレックスA(夜間主)の在籍で、フレックス奨学金と神社の助勤で学費を賄ってきました。4月からも、引き続き神社で助勤をしながら、修学に勤しんでいきたいと思います。
仏教界では、文化財学の知識を持つ僧侶が、文化財行政の専門官と連携しなら、施設や収蔵品の修復に従事しています。神社界では、文化財を専門的に取り扱うことのできる神職が、まだまだ不足しているのではないでしょうか。
神社の社殿や収蔵品等、貴重な文化遺産を後世へ伝えてゆくためには、文化財学の専門知識を持つ神職が必要です。
「先ず隗より始めよ」という訓えのままに、先ずは私自身が、率先してその道を目指す事を決心した次第です。
今後は、神社社殿の劣化要因・神宝等のよりよい保存維持方法等を研究し、神道文化財を守る事に力を尽くしていきたいものと、心から念願しています。

武田秀章副学部長より

「渋谷の学び」から「上野の学び」へ

久保君は、1年次に私の「古典講読I」を、2年次には「神道文化演習」を受講しました。
3年次以降の基幹演習では、茂木栄教授のゼミに入り、神社博物館に関する演習論文を作成しました。鎌倉宮に事始め、明治神宮、靖國神社へと受け継がれた神社博物館の歴史とその特色を考察した力作です。
久保君には、天上の神々の「ことよさし」が降りました。自らの使命に目覚めた久保君は、見事難関を突破、4月から新しいステージへと進みます。久保君は、そのはち切れんばかりの「夢と希望」を、熱く語ってくれました。
上野のお山は、わが国の美術・工芸・文化財の最大の聖地です。
「渋谷の学び」から「上野の学び」へ。
そこでどのような融合・相乗効果が引き起こされるのか、刮目して待ちたいと思います。

このページに対するお問い合せ先: 神道文化学部

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