藤山 圭

助教

藤山 圭

フジヤマ ケイ

専門分野
経営戦略論・イノベーションマネジメント
本学就任
2016年04月01日
担当教科
演習2(4)、演習1(2)、基礎演習A、基礎演習B、サマーセミナー(演習1)、サマーセミナー(演習2)、会社入門、経営戦略の基礎、経営戦略、経営組織

著書・論文紹介

本稿は先述の「新技術の事業化における長期志向性への懐疑」を大幅に改訂したものである.新技術を事業化する際に,長期の構想を重視するべきであるという主張と短期の市場機会を重視するべきであるという,両極の主張がなされており,それらには双方ともに一定の合理性が認められてきた.しかしながら,それがどのような場合に上手く機能するのかは,必ずしも十分に研究されてきてはいない.そこで本稿では,この研究の端緒として市場機会を重視することがどのような場合に成果に結びつくのかを事例を通じて分析した.本稿の結論は次の通りである.事前に想定される技術的難易度が高く,しかしその最大用途市場で競争優位を発揮するための技術以外の要因が事後的に判明してくる場合には,柔軟に自社の強みを評価しなおし,比重をおくべきターゲット市場を変更することのできる市場機会を重視するようなスタンスの方が有効であると考えられる.

本稿は逆浸透膜産業において日東電工がどのように高い競争地位を確立してきたのかを論じたケース分析である.本稿の主要な論点は,次の通りである.逆浸透膜産業における主要用途である超純水精製や海水淡水化の市場において,日東電工は当初東レに先んじられており,競争上きわめて不利な立場にあった.しかも東レは事業開始当初から海水淡水化という最大用途を志向し,長期的な技術開発を続けてきたため,深い技術蓄積を達成していた.それにもかかわらず,近年日東電工は高い競争地位を獲得しているのである.本稿ではこの逆転を大きく次の3つの理由から論じた.第1に,日東電工が様々な目の前の用途市場に適合していく過程で,補完的資産である販路を獲得してきたことである.第2に,東レが市場のニーズとは異なる技術開発を進めてしまっていたからである.第3に,日東電工は他の用途市場に特化することで,海水淡水化にも応用できる補完的技術を獲得してきたからである.

本稿は,「長期志向の事業開発スタンスの方が経営成果を高めやすい」という主張が既存の経営学の文献や実務家によって過剰に支持されていることを指摘し,ある場面では短期志向的な事業開発スタンスの方が重要である可能性があることを指摘することを目的としている.そのため,本稿でははじめに既存文献のレビューを行い,確かに短期志向,ないし市場機会を重視するようなスタンスを支持する研究もあるとはいえ,大半が長期志向を支持していることを確認した.その後,このような一般命題への反証例を示すために予備的な事例分析を行った.この事例分析においては逆浸透膜産業を取り上げ,一見短期志向に見える企業と長期志向の企業との競争において,短期ではなく長期で短期志向の会社が優位に立っていることを述べている.

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教授からのメッセージ

「答えのない世界」で生きていくための知

 皆さんは「経営」という言葉を聞いたときに,何を思い浮かべるでしょうか.特定の企業名かもしれませんし,オフィスビルなどかもしれませんが,多くの方は「よく分からない」のではないでしょうか.なぜなら,大学に入るまで,経営とか会社といった言葉とは無縁の生活を送ってきたはずだからです.
 そんな皆さんが,なぜ大学(特に,経済学部)で経営学を学ぶのでしょうか.この学問を学ぶことの意義とはいったい何なのでしょうか.
私が提示できる答えの一つは,社会に出る前に「考える力」の基礎を身に着けることができる(かもしれない)ということです.ここでタイトルに注目してください.私たちは,日々,「答えのない世界」を生きています.例えば友人関係でもいいですし,アルバイトなどでもいいですが,自分の思い通りになることはほとんどないはずです.これがもっと複雑な社会現象である経営といった領域になると,思い通りになることは原理的にありえなくなります.このような唯一絶対の正解がない世界で物事を考えるために頼るべきものは,自分の頭の中に構築された知の体系です.理論や考え方を学び,それを実際に使って現実を読み解き,理論と現実の相違を知って,自分の頭の中の知をより豊かなものにしていくというプロセスを繰り返すことで,皆さんの考える力は磨かれていきます.
 私の担当する講義では,こうした考える力の入り口になる,経営学の理論をレクチャーします.また,ゼミでは理論や考え方を応用して使ってみて,考える力を磨いていってもらいます.こうした理念に共感を抱いた方は,是非私の講義を受講し,研究室の扉を叩いてみてください.

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