准教授

井上 明芳

イノウエ アキヨシ

専門分野
日本近現代文学
本学就任
2011年04月01日
担当教科
日本文学演習2(4)、日本文学演習3(4)、日本文学演習5(4)、日本文学講読1、日本文学講読(4)、日本文学講読2、日本文学概説1、日本文学概説2、卒業論文、前期課程・日本近現代文学研究2(演習)、後期課程・日本近現代文学特殊研究2(演習)

著書・論文紹介

村上春樹「鏡」について、教材としての観点から、作品を構造的な分析を試みた論である。「僕」の語り方に注目し、「恐怖」がパターン化されている点を指摘した上で、日常/非日常の相対的なところに「恐怖」が語られていることを見出した。したがって、「僕」が語る「恐怖」は〈鏡〉による自己との向き合いではあったが、それは「僕」自身が非日常を抱え込んでしまっていることを意味し、日常/非日常の境界上に「僕」が存在していることを示唆する。つまり、「僕」の語る「恐怖」は自身と向き合う非日常性に基づいていると結論付けた。

横光利一「夜の靴」と森敦「月山」の間テクスト性を論じた論である。「夜の靴」と「月山」は同質の構造を有している。「夜の靴」が西羽黒を、「月山」が東羽黒をそれぞれ物語舞台の素材としながらも、その歴史性を虚構化し、語りの現在時を顕在化させる。しかも「月山」は「夜の靴」が虚構化した部分を虚構のレベルで補足しながら、「夜の靴」テクストを取り込んでいく。この二作は単に相似的な比較が可能なのではなく、構造的な接続が可能なテクストであると結論付けた。

本研究は、平成25・26・27年度に採択された科学研究費補助金基盤研究C(JSPS科研費、課題番号25370228)の助成を受けている。本書は平成25年度の研究成果報告書である。森家の全面的な協力の下、所蔵されている森敦の自筆資料について整理分類の上、目録作成をすることを目的にしている本研究のうち、最重要作品の一つ「月山」について、目録作成が終わったため、翻刻し初公開をした。その際、草稿から初刊単行本に至る生成過程を見いだせるようにすると同時に、「月山」の舞台山形県七五三掛地区の実地踏査も踏まえ、総合的な研究としてまとめた。これによって「月山」研究の書誌と調査の基礎的研究基盤を形成することができ、森敦文学研究に寄与できることが期待される。

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教授からのメッセージ

近代文学を専門にしています。とくに横光利一を中心に、大正末から昭和前期の文学に興味をもって研究を進めています。横光が果敢に試みた文学言語の革新には現在でも学ぶべき点が多く、それを極めることで、文学という言語表象について明らかにできればと思っています。「光のない言葉は嫌いである」と横光は言いました。まさに「光ある言葉」を探しながら、生きて在ることを豊かにしたいものです。

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