教養総合(外国語)-概要と特色

2012年5月30日更新

なぜ言葉を学ぶのか

グリンデルヴァルト(スイス)

 言語には、各民族が歴史の中で培ってきた記憶が込められています。外国語を学ぶ人は、その言語を母語とする民族の歴史に関わり、異文化間の「仲介者」になります。また、自分の経験を相対化するとともに、私たちの国の文化や歴史についても、一度立ち止まって、批判的に考えるきっかけを手にします。

 自分の常識の枠内にとらわれたままでは、複雑化する国際社会のなかで外国の人々と交流することは難しいでしょう。一方で、「自己相対化」と「批判的考察」は、学問研究や芸術批評の基礎でもあります。これをきちんと身につけることができれば、様々な文化的活動への道もひらけてくるはずです。

 私たち自身の精神的・物質的な豊かさを追い求めることが、そのまま国際的な貢献につながるケースも少なくはありません。しかし、自分だけの豊かさにこだわれば、結果的に孤立し、生きにくさを感じるようになります。日本社会の中に限ってみても、開かれた人間関係は成り立ちにくくなっているように感じます。他の国の人々との間に風通しの良い関係を作っていくことが、もっと大変なのは言うまでもありません。

 こうした状況下で、外国語教育が果たすべき役割は、以前にも増して大きくなっていると思います。自己を相対化し、自分自身を外部へと開き、様々な人々と本当の意味でのコミュニケーションを成り立たせる第一歩が、外国語の学習にあると私たちは考えます。

私たちが目ざすもの

デトヴァングの教会(ドイツ)

 本学のほとんどの学部・学科では、必修科目として英語を学ぶほかに、選択科目としてドイツ語、フランス語、中国語、コリア語など、数多くの言語が学べます。入学後に、これらの選択外国語とはじめて出会った学生諸君にとって、それが大きな刺激になっていることは間違いありません。学び始めた当初は、覚えることの多さに面食らうことも少なくないようですが、ドイツ語、フランス語、中国語、コリア語を自分のものにした時、中学校以来学んできた英語や、母語である日本語が、とても新鮮に感じられるようになります。そして、知的好奇心が一気に花開くことも珍しくありません。外国語を学ぶことは、多様なものの見方を手に入れることでもあるからです。

 グローバリゼーションが進行する中、多文化の共生が求められています。英語によるコミュニケーション能力はますます重要視されるでしょうが、一方で、多くの民族の独自性を尊重し、多様な価値観を認めることが必要です。ドイツ語、フランス語、中国語、コリア語は、コミュニケーションツールとしてだけではなく、ヨーロッパや東アジアの文化や社会を理解するためのツールでもあります。私たちは、異質なものを受け入れながら、アイデンティティを確立していかねばなりません。

 本学の学生には、世界における日本のありかたをしっかりと確認した上で、日本文化を海外に発信することが求められます。また、将来何らかの形で、必ず海外の人々と関わる機会が訪れるでしょう。外国語科目を積極的に活用していただきたいと思います。

さらに周辺へ

ステンドグラス シャルトル(フランス)

 本学の外国語科目(英語、ドイツ語、フランス語、中国語、コリア語)は、教養総合(外国語)と外国語文化学科の専任教員が協力して、総員20名のスタッフで運営されています。また、ロシア語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語を開講しています(哲学科によってギリシャ語、ラテン語、サンスクリット語も開講されています)。 

カリキュラム・ゼミ

文学部ガイドブック】掲載 の外国語科目履修モデルを、是非、ご覧下さい。

基礎科目群について

  First Year English
 English I
 English II
 ドイツ語・フランス語・中国語・コリア語(基礎・中級・上級)

言語は、人間にとって必須のコミュニケーションツールである。日本語以外の言語を習得することで、海外における情報収集能力と、海外へ向けての情報発信能力を高め、同時に、私たちをとりまく世界と日本とを客観的に観察する視点の獲得をめざす。国際社会の共通語となっている英語を(中国文学科は中国語を)必修外国語として履修することにより、社会で必要とされる最低限の外国語コミュニケーション技術を身につけ、また、選択外国語としてドイツ語・フランス語・中国語・コリア語を履修することにより、人間の多様性を実感し、より幅の広い価値観を習得する。

応用科目群について

  Basic English
 Advanced English
 ドイツ語・フランス語・中国語(検定)
  イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・ロシア語

基礎科目群で履修した外国語科目を基礎として、実用性や応用力の向上をめざした科目を履修することにより、より発展的な言語運用能力の獲得をめざす。「Advanced English(コミュニケーション)」などの科目を通して、実践的コミュニケーション技術を習得し、また、各言語の検定外国語科目を通して、社会で通用する資格試験・検定試験への準備とする。同時に、英語基礎力に不安がある学生のための科目として「Basic English(英語リテラシー)」の授業を設け、基礎科目群の枠に収まらない多様な学生のニーズに応える。

このページに対するお問い合せ先: 文学部資料室

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