国際交流イベント

2017年9月14日更新

国際交流イベント

国際交流イベントは「交流」をその主な目的とし、留学生を含むすべての國學院大學学生、交換留学生、教職員の参加を歓迎しています。興味のある学生さんは、ぜひ応募してください。各イベント参加者の募集は、開催1カ月前頃より行っています。詳細は、国際交流課へお問い合わせください。

定期イベント
年2回
(5月、10月)
国際交流歓迎会
(留学生歓迎会)
渋谷キャンパス 有栖川宮記念ホール
年2回
(7月、1月)
国際交流送別会
(留学生送別会)
渋谷キャンパス 有栖川宮記念ホール
不定期イベント
未定 食文化交流会 たまプラーザキャンパス 調理室
未定 留学促進イベント 未定
  • 過去の国際交流イベント

     【国際交流歓迎会】

    • 日時:平成29年4月21日(金)6:00PM-7:30PM
    • 場所:有栖川宮記念ホール(渋谷キャンパス・若木タワー18階)

    【国際交流歓迎会】

    • 日時:平成28年4月28日(木)6:00PM-7:30PM
    • 場所:有栖川宮記念ホール(渋谷キャンパス・若木タワー18階)

    【国際交流歓迎会】

    • 日時:平成27年5月7日(木)6:00PM-7:30PM
    • 場所:有栖川宮記念ホール(渋谷キャンパス・若木タワー18階)

    【~海外経験学生による大相談会~ Hop into the World】

    • 日時:平成25年12月21日(土)13:00~17:15
    • 会場:渋谷キャンパスAMC 1階常磐松ホール

日本の文化理解・フィールドトリップ

「日本の文化理解・フィールドトリップ」は、留学生と日本人学生が一緒にキャンパスを飛び出して、都内近郊の名所を巡りながら日本文化に触れ、異文化交流を行う観光型イベントです。本学学生、教職員であれば誰でも参加可能です。申込みの際には下記の内容をメールでお送りください。

【申込方法】

  • 件名: 参加したいフィールドトリップの名称
  • 本文: 学籍番号・名前・学科・携帯電話番号
  • 宛先: 国際交流課 kokusai ● kokugakuin.ac.jp (●を@に置き換えてください)

【今後の予定】

  • 過去の日本の文化理解・フィールドトリップ

    【大相撲初場所観戦】
    日本の国技 大相撲を観戦し、日本文化を発信できる人材を目指します。
    日 時: 2017年1月18日(水)15:00~
    場 所: 両国国技館(総武線両国駅)
    費 用: チケット代金全額大学負担
    募集人数:30名(先着順)

    【国立劇場・歌舞伎鑑賞教室】
    日本の伝統芸能に留学生と共に触れ、日本文化を発信できる人材を目指します。
    日 時: 2016年6月17日(金)19:00~
    場 所: 国立劇場(半蔵門)
    演 目: 新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)ー魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)-
    費 用: チケット代金全額大学負担

    【藍染ワークショップ】
    日本に長く伝わる染色方法「藍染め」(Japan Blue)を体験します。
    日 時: 2016年4月20日(水)14:30-15:30
    場 所: 藍染博物館
    内 容: 藍染体験
    費 用: 無料

    【食品サンプルワークショップ】
    日本の食文化とともに発展してきた、食品サンプルの制作を体験します。
    日 時: 2016年5月11日(水)16:00-17:30
    場 所: 元祖食品サンプル屋-合羽橋ショールーム
    内 容: 食品サンプル制作
    費 用: 無料

    【池袋防災館・防災体験学習】
    日本の自然災害を学び、災害時の被害を最小限にするにはどうすればよいのかを学びます。
    日 時: 2015年7月8日(水)14:30-17:00
    場 所: 池袋防災館(池袋)
    内 容: 地震体験、煙体験、消火体験
    費 用: 無料

    【国立劇場・歌舞伎鑑賞教室】
    日本の伝統芸能に留学生と共に触れ、日本文化を発信できる人材を目指します。
    日 時: 2015年6月19日(金)19:00-21:00
    場 所: 国立劇場(半蔵門)
    演 目: 壷坂霊験記
    費 用: チケット代金全額大学負担

    【日本民家園訪問】
    17~19世紀の農村の家屋を見学し、当時の庶民の生活を学びます。
    日 時: 2014年10月3日(水)9:30-14:00
    場 所: 川崎・日本民家園
    費 用: チケット代金全額大学負担

    【ボストン美術館浮世絵名品展 北斎 見学】
    浮世絵入門として人気の浮世絵師、葛飾北斎の作品を鑑賞し、留学生と共に北斎の魅力に迫ります。
    日 時: 2014年10月15日(水)14:30-16:00
    場 所: 上野の森美術館
    費 用: チケット代金全額大学負担

    【江戸東京博物館見学】
    留学生と共に江戸時代の家屋を見学し、江戸の庶民生活を学びます。
    日 時: 2014年10月29日(水)13:00-16:00
    場 所: 両国 江戸東京博物館
    費 用: チケット代金全額大学負担

    【酉の市体験】
    幸運をかき集め、わしづかみにするという縁起物のかざり熊手を留学生と共に見に行きましょう。
    日 時: 2014年11月10日(月)14:30-17:00
    場 所: 新宿 花園神社
    費 用: 無料

    【大相撲初場所観戦】
    日本の国技 大相撲を観戦し、日本文化を発信できる人材を目指します。
    日 時: 2015年1月21日(水)15:00~18:00
    場 所: 両国国技館(総武線両国駅)
    費 用: チケット代金全額大学負担
    募集人数:20名(先着順)

International Coffee Hour

学生の皆さんが新しい「なにか」と出会える場、「International Coffee Hour」を開催します!!
国際交流の機会をきっかけに、なにかを感じ、考え、行動しませんか。International Coffee Hourの参加に必要なのは、あなたが得意な言語(日本語ももちろんOK)と少しの勇気です。

平成29年度前期は、以下の日程で開催いたします。
事前登録不要です、時間になったら私たちを見つけてください。

日 程 平成29年9月26日(火)~平成30年1月16日(火)ほぼ毎週火曜日
場 所 渋谷キャンパス5号館3階のテラス(芝生があるところ)で開催中!!
時 間 4限の1時間(14:45-15:45) 

Facebook グループページ (Kokugakuin K-STEP) に場所の変更など最新情報を載せています。興味のある本学学生さんは、ぜひご登録ください。

グローバルラウンジ勉強会

國學院大學は日本文化研究の中心的な役割をになっており、その研究活動は、海外の日本研究者からも注目されています。このようなことから、本学には、毎年多くの日本研究者が海外から訪れます。グローバルラウンジ勉強会では、主に本学に研究で訪れた海外の日本研究者をゲスト講師に招いての勉強会を行っています。

グローバルラウンジ勉強会は学生の皆さんに公開しています。東京での滞在期間が限られた研究者の方々のスケジュールを優先しますので「不定期」の開催となります。興味と都合が合います方は次回の勉強会にご参加ください。

勉強会スケジュールが決定し次第、こちらのページに掲載いたしますので、定期的にこのページをチェックいただくか、在学生の方は国際交流センターからのお知らせメールにてご確認ください。

  • 過去のグローバルラウンジ勉強会
    • 濱野 美江先生(國學院大學大学院・文学研究科在籍) 平成27年12月18日

      「グローバルラウンジ勉強会」。第7回目となる今回は、本学大学院生の濱野美江さん(文学研究科在籍)を先生お迎えしました。2020年東京オリッンピックに向けて日本を訪れる外国人は右肩上がりに増え続けています。日本に居ながらグローバルになるというのはどういうことでしょうか?「英語が話せるようになること」と思いがちですが、いえいえ、「やさしい日本語を話せるようになること」が実はとても大切なのです。みなさんの先輩でありK-STEPアシスタントとしても活躍中の濱野さんが「やさしい日本語」を使いこなすコツを、こっそり、しかし惜しみなく教えてくださいました。グローバル時代を生きるみなさん、ラウンジ勉強会へようこそ―。

      ―日本に住んでいる外国人と、どんな言葉で会話をしたらいいのでしょう。

      濱野先生(以下、先生): 日本に住んでいる外国人が、母語以外で、日常生活に困らない程度に話せる言語はなんだと思いますか?
      学生: 英語じゃない?
      学生: 日本語でしょ。
      先生: 61%が「日本語」、36%が「英語」、2.8%が「スペイン語」と回答しました※1。この結果から、日本に住む外国人に対して、私たちはまず日本語で話しかければよい、ということがわかりますね。ただ、この数字は同時に「39%の外国人には日本語を話しても伝わらない可能性がある」ということも示唆しています。
      学生: 結構な割合ですね・・・。
      先生: 1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災では、たくさんの人が被災者となりました。その中には、日本語を十分に理解できない外国人もたくさんいました。有事に情報が得られず困る「情報弱者」のために、できるだけ早く正しい情報を得られ、適切な行動をとれるように考え出されたのが、「やさしい日本語」※2なんです。

      ―「やさしい日本語」で本当に外国人の命が救えるのですか。

      先生: 実験によると※3、留学生を2グループに分け、一方のグループには「頭部を保護してください」という指示、他方には「帽子をかぶってください」というほぼ同じ意味の指示を与えたところ、「頭部を保護してください」と指示したグループの成功率は10.9%だったのに対し、「帽子をかぶってください」という指示の成功率は実に95.2%でした。
      学生: だいたいでも聞き取れるかどうか、で生死が分かれるかもしれないってことですね!!

      ―では、実際に「やさしい日本語」の使い方を練習しましょう。

      ここで、グローバルラウンジ勉強会の参加者は、弘前大学社会言語学研究所が提案したガイドライン※4を参考に、実際に普通の日本語の文章をやさしい日本語の文章に置き換える練習をしました。以下、簡単に置き換えのポイントをご紹介します。

      1.難解な語彙を言い換える
        (例) 避難所 → みんなが逃げるところ
        (例) 確認する → よく見る
      2.漢語・カタカナ語を避け、和語を使う
        (例) キャンセルする → やめる
        (例) 面会 → 会う
      3.話す際、書く際に、わかりやすい箇所で切ってあげる
        (書く際には、これを「わかち書き」といいます)
      具体的には、あいだに、「ね」が入れられるところで切ってあげる
        (例) 東北地方で 大きい 地震が ありました。

      学生: こうやって練習してみると、いろんな言い方がありますね。先生: その通りです。やさしい日本語に正解はありません。
      学生: いろいろと試しながらお互いコミュニケーションが取れる方法を見つけるって感じですかね。
      先生: そう、大事なのはちょっとした工夫と相手を思いやる「やさしい心」ということですね。

      学生: 他にも今日から使えるコツを教えてもらえませんか?
      先生: 相手になにかをしてもらいたいとき、「~してください」と 言いがちですが、外国人が「~してください」という日本語文法を習うのは、実はだいぶ先のことなのです。
      学生: へぇー
      先生: そこで、日本語を習い始めてすぐに覚える「~ます」を使ってあげると伝わりやすいですよ。「食べてください」ではなく「食べます」、「食べないでください」ではなく「食べません」と言ってあげると、より伝わり易くなりますので試してみてください。
      学生: へぇー!!

      ―正直、日本人として日本語が簡単になりすぎることに、少し抵抗感を抱いてしまうのですが。

      学生: 日本語特有の美しさ、みたいなものが、日本語が簡単になりすぎると失われませんか?
      先生: フランスの社会言語学者ルイ=ジャン・カルヴェは、その著書の中で「ひとつの言語の中にはふたつの機能(媒介する機能とシャットダウンする機能)がある」と説明しています※5。「やさしい日本語」は、この媒介する機能の部分について大きく影響するかもしれませんが、美しい日本語は、他方のシャットダウンする機能の中で生き続けられるのではないでしょうか。
      学生: なるほど。

      先生: また、「やさしい日本語」は、日本社会にとっても大きな意義を持ちます。現在の勢いで世界のグローバル化が進めば、近い将来、日本に住む外国人の数もどんどん増えるでしょう。そうなると必然的に、日本社会に生きる外国人には、日本社会のルールをわかってもらう必要性が出てきます。
      学生: そうでないと日本社会の秩序が保てませんからね。

      先生: そう。日本に住む外国人に日本社会のルールを理解してもらい、対等な立場で生活していく※6、これは私たち日本人にとっても大変重要なことです。その相互理解のためには、言語が必要、ということです。
      学生: その役割を果たすのが「やさしい日本語」ですね!!

      言葉は、時に大きな壁となって私たちの前に立ちはだかります。その壁の存在を認めた上で、コミュニケーションの工夫によりその壁を乗り越える。この考え方は、宗教や異文化理解に対しても応用できるグローバルな考え方であり、現代に生きる私たちが学ぶべき姿勢に違いありません。

    • 古川 英子先生(米国・セントマイケルズ大学 日本語教師) 平成25年5月23日

      「グローバルラウンジ勉強会」。第6回目となる今回は、米国・バーモント州にあるセントマイケルズ大学で27年間日本語を教えていらっしゃるHideko Furukawa先生にお越しいただきました。地球時代に「日本語」を海外で教えるという夢を持つ学生さんを前に、自身のご経験を惜しみなく語ってくださいました。グローバル時代を生きるみなさん、ラウンジ勉強会へようこそ―。

      -私が日本語教師になるまで-

      同志社大学の文学部・日本文化史学科を100年前に卒業しました(笑)。在学中には教職免許と学芸員の資格を取りました。その時代、大学を卒業した女性の花形キャリアと言ったらJALの客室乗務員か学校の先生でしたね。背が小さかったのでJALはあきらめて、卒業後は大阪の商社に勤め社長秘書として働きました。しかし「女性は数年だけ働いて結婚退職」という時代背景も手伝って、一生続けられる仕事ではないなと感じていました。

      一生続けられる仕事はなにかと考え始めていた頃、知人に「英語が上手になれば、一生続けられる仕事につながるのでは?」と勧められました。「そうだ、そうしよう!」と思い渡米を決意した私に父が言ったひとことが今でも忘れられません、 ‐英語だけ勉強していてもだめだよ、英語というのは手段に過ぎないのだから‐。
      語学というのは手段なのです。話す「内容」がなかったら全然役に立ちません。神道ってどんなもの?と聞かれた時、みなさん日本語できちんと答えられますか?語学はその次です。

      -日本語教師になるための能力-

      1980年代の日本はバブル経済真っ只中、好景気に沸く日本をビジネス相手にしようと、アメリカでは日本語学習熱が高まり日本語学科を設けたいと考える大学が増えていました。バーモント州にある小さな大学もしかり。ある日、セントマイケルズ大学から電話がかかってきました。「日本語を教えてみませんか?」

      今考えると現職に就くうえで手助けになったのは、
       ・米国の修士号(博物館教育学)を取ったこと
       ・大学での専攻が文化史学、中でも日本美術が専門だったこと(=日本文化を知っている)
       ・日本語が話せて、英語も’so-so’ 話せること でした。

      そして、「やってみますか?」と言われた時に一番大切だったのは「やる気」でした。本当は日本語が教えられるのかとても不安でしたが、答える際には「はい、できます!」と大風呂敷を広げました。

      アメリカの雇用において、最低限の資格は必要ですが、本当に大事なのはその仕事ができるかどうか。つまり、やらせてみてだめだったら解雇するという文化です。私の場合は、挑戦してみたら意外とできたのですね(笑)。これは日本とは少し違います。日本では日本語教師の「資格」が重視されますが、資格を持っていてもだめな先生はいっぱいいるし、持っていなくてもできる先生はいっぱいいる。日本では資格が大事、アメリカでは本当にその仕事ができるかどうかが大事。

      さて、「できます!」と言ったのはいいのですが、内心は「困った、困った」と思っていました。そこで日本に帰り、「日本語教師になるために」「日本語教師のための日本語」など、たくさん本を買って独学で勉強しました。

      -日本語の先生であるために必要なこと-

      あれから27年間、日本語の先生として一番大切なこと、それは、自分にとって「いったい何が美しい日本語か」気がつくことだと思います。読んだ本の中に、「常に自分が美しい日本語を話すように気をつける、これが日本語教師の資質として大切である。」と書いているひとがいました。この言葉は胸にくっときましたね。美しい日本語に対して気をつけているという態度が大切だと思います。では、いったいなにが美しい日本語か。夏目漱石の日本語は美しいですね、そういうものにいつも触れている、そういう日本語を「良い」と思う気持ちを持つ、これが大事だと思います。

      次に大切なこと、これは日本語についての知識です。ネイティブである私たち日本人は日本語というものをよく知らないのです。でも、教えるときには、日本語というものがどういうものなのか理解していないとできないですね。例えば、自己紹介するときの「私は古川です」とお店で注文するときの「私はうなぎです」、同じ構文ですが、どこが違うのか説明できますか?そういう違いは日々の経験の中で発見し、独学で勉強できるものです。

      第3に外国語としての日本語について研究すること。例えば「て」フォーム。お母さんが子供に「食べて」とか「飲んで」というあれです。「て」はコマンドで日本語では早い段階(子供の時)に生活の中で学びますので、文法として習うことはまずありませんね。母国語としての日本語の知識、外国語としての日本語の知識、この食い違いをどうやって教えたらいいのか研究することは大切です。また、翻訳できない日本語、例えばプレゼントを渡すとき「つまらないものですが」とどうして言うのか?これは日本の文化や歴史、社会を知らないと説明できません。「日本ではそうだからそうなのよ」ではアメリカの大学生は納得しませんよ。

      -今、アメリカで日本語教師を志す人に求められているもの-

       ・修士号:MATESOL(Teaching English to Speakers of Other Language)か、類似した言語学・日本語・日本の歴史・外国語習得論
       ・日本語の能力が母国語か母国語に近いレベル
       ・英語の能力:雨は冷たいと雨が降っていますの 「は」と「が」の違いを英語で説明できますか?
       ・実地経験(2-3年):新卒の場合はボランティア などで経験を積むとよいでしょう
       ・語学教育のためのテクノロジーに対する知識および教材開発

      テクノロジーは時代と共に遷り変わり、語学教材もそれと共に変化しています。現在では語学習得にアプリを活用する学生がたくさんいます。また今はオンラインで語学を教えることが時代の最先端ですね。個人的には、語学がオンライン教材だけで教えられるとは思いませんが、どんな教材を学生に紹介できるか、これは大切なことです。また、これらを使いこなせる知識が先生にも要求されています。

      古川先生は笑顔で言いました。「最初から日本語教師になりたかったわけではないの。」そして先生は続けます、「でも負けず嫌いで、できないことがあると、よし、やってやろう!と思うの。」 学問に王道なしといいますが人生もまた同じかもしれません。時に道に迷いながらも、常に前進し続けることが必ず自分をどこかの道へと導いてくれる。このチャレンジ精神こそが夢への近道となることを、古川先生が教えてくれました。

    • ブラッド・レフトン先生(米国出身、ジャーナリスト) 平成25年1月29日

      「グローバルラウンジ勉強会」。第5回の今回は、アメリカ人野球ジャーナリストのBrad Lefton氏にお越しいただきました。日本語、英語のバイリンガルジャーナリストのBrad氏の講義には熱心な学生が30名ほど参加し、会場となった3号館3307教室はお約束の時間をオーバーするほどの盛り上がりを見せました。

      そこで勉強会当時、外国語文化学科の4年生だった都築純平さんに執筆いただきました記事をご紹介いたします。

      ぶつかる視線。滴る汗。永遠とも思える一瞬の間を挟んで、ボールがピッチャーの手から放たれる。本格的に野球をやったことのない私が抱く野球のイメージはこのようなものである。しかし、野球の本場であるアメリカではこういった、いわゆる「ピッチャーとバッターの熱い勝負」は現実的ではなく、もっと「数字」にこだわっているという。

      日米野球に精通しているジャーナリスト、Brad Lefton氏の話を伺い、日米野球の観点の違いを思い知った。Lefton氏は、日米野球の違いを、三冊の書籍、「Professor Hacket’s reading packet from 1990」、「江夏の21球」、「最強のプロ野球論」を挙げ、説明してくれた。

      “Professor Hacket’s reading packet from 1990によれば、日米における野球の一番の大きな違いは、そのルーツにあると思います。日本の野球はアマチュアをルーツにしているのに対し、アメリカはプロのゲームをルーツにしています。日本は、1890年の大学野球から発展をはじめ、1936年に読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズ、阪神タイガースのプロ野球が発足している。日本に野球が紹介されてから65年という年月を経てプロリーグが設立されたのです。一方、アメリカでは1845年に初めてルールが設定、発行されてから1870年代にプロリーグが発足しています。”

      また、今日我々が野球を観戦するうえでも、そのような日米の違いが大きく影響しており、その例を4つ挙げている。

      “まず、日本では、アマとプロの間に大きな敵愾心の歴史があります。信じられないことのように思えるかもしれませんが、プロ野球選手は、長い間アマチュアの選手との交流が禁止されていました。日本において、母校というものは、その人の個の形成と社会的地位の確立に関して重要な存在であるにもかかわらず、プロの選手は高校、大学問わず自分の母校において指導することが禁じられています。近年ようやく多少緩和されたようではありますが。

      第二に、プロ野球球団の阪神タイガースのことが言えます。彼らは毎年8月に2~3週間の間、自分たちのホームスタジアムである甲子園球場追い出されてしまいます。ちょうどペナントレースが盛り上がっているさなか、一つのチームがほぼ一カ月地方巡業を強いられるのです。アメリカでは考えられないことが、日本では受け入れられています。「死のロード」、阪神タイガースは8月3日から30日まで、計24試合連続でアウェイゲームを強いられてしまうのです。一方、「アメリカの」タイガース(Detroit Tigers)は長くとも11試合連続でしかアウェイゲームはありません。

      他にWBC(World Baseball Classic 以下WBC)でのことも言えます。日本は二大会連続で優勝していますね。私はアマチュアがルーツであるということが日本の成功に大きな影響を与えているとおもいます。アマチュアであるように、短期決戦の試合やたった一度の試合で全ての試合の勝者を決めてしまうということはアメリカの野球には無いものです。日本の選手たちはWBCのこのやり方に非常に慣れ親しんでいると思いますが、アメリカ人たちにはそれがありません。

      最後に、WBCに関連して、統一球のこともそうです。ニューヨークタイムズの記事で取り上げられていますが、アマチュアの試合はプロの試合より中央集権化しておらず、そのためボールの製造業者は全てのローカルチームへのサポートのためにボールを開発するシステムを維持しています。”

      確かに、ここまで聞くと日本がアマチュアに偏重しているように感じる。プロ野球の方がレベルは高いはずではあるが、人気は夏の甲子園の方があるように感じる。それは、プロ野球球団である阪神タイガースを差し置いて、甲子園を優先するところからも、ある意味事実であるのかもしれない。

      “第二に、「江夏の21球*」。これは山際淳司氏によって書かれた素晴らしいエッセイです。この山際氏のエッセイの中において、私が主張したいことは日本とアメリカの野球の見方は大きく異なっているという点です。つまり、日本人は過程やプレイの細部に面白さを感じるのに対し、アメリカ人は結果に興味を持ちます。日本人が細部志向ともいうべき傾向に行きがちで、一方アメリカ人はより結果主義になりやすい、というデータは、特に目新しいことではありません。しかし、私は野球をどのように見ているかを表す実例をはっきりと表していると思います。”

      確かに、この一試合どころか、一つのイニングだけに着目して一つのエッセイを書きあげる、というのは細部志向と捉えられても無理はない。更に、アメリカの野球観についてはこのように語っている。

      “スタッツ(統計)というものがアメリカ野球の基礎の部分にあります。近年、セイバーメトリクス(統計学を元に野球を分析すること)は我々にWAR**、BABIP***,OPS****など、選手のパフォーマンスやそのパフォーマンスの価値を数値化する術を与えてくれました。これはアメリカの野球論の主流になりつつあり、日本ではあまりとられていない手法です。例えば、アメリカ人は歴代で誰が3000本ヒットを打ったか、三冠王に初めてなった人や、カーディナルズが11回ワールドチャンピオンに輝いたことなどは知っています。しかし、どんなピッチングが最も打たれたか、問題を起こしてきたかなどは知りません。”

      私自身としては、スタッツを重要視するのであれば、むしろ後者の方が重要であるように思える。しかしLefton氏の言う通り、アメリカの野球が数字にこだわるのであれば、確かに前者の方が大切であるし、華がある。

      “最後に、「最強のプロ野球論」。ここでは、20ページに渡って、99年の松坂とイチローの最初の対決について分析しています。日本人はピッチャーとバッターの対決にとても魅了されていると私は思います。日本の歴史上には、野茂と清原、王と江夏、 松坂とイチローなど、素晴らしいピッチャーが取り上げられ、また常にそれを連想させる比類なきバッターがいます。しかしアメリカ人はバーランダーやマダックス、ギブソンらピッチャーの技術を高く評価しているが、そこからバッターに結び付く魔法のような現象を理解してはいません。ここからも、いかに日本人がピッチャーとバッターの対決の構図を好み、アメリカ人がそこに興味を持たないかが表れています。何より、アメリカ人がピッチャーとバッターの対決のディテールをあまり高く評価しない究極の証拠として、私がニューヨークタイムズに記事を書いた際、日本人が好むディテールについて解説した最強のプロ野球論の翻訳した部分だけ、削除されてしまいました。彼らはあまり評価していない部分をカットしてしまったのです。”

      野球をあまり知らない私が、野球と言われて一番最初に挙げたようなイメージが、アメリカでは全く通用しないようだ。しかし、日本のメディアが野球を取り上げる時、多くの場合ピッチャーを取り上げるし、その対戦相手を取り上げる時はそのチームの強打者をピックアップするように感じる。それはプロ野球にしろ、高校野球を含めたアマチュア野球にしろ、同様のことのように思える。

      最後に、Lefton氏は日米の違いについてこう締めくくった。

      “日本人がピッチャーとバッターの対決に魅了されるということは日本の集団社会の性質と真っ向から矛盾しています。それは日本が個人主義を宣言しているように感じます。逆に、アメリカが結果主義に夢中になることは、個人主義を奨励する「アメリカ」という国家のイメージと真っ向から矛盾しています。日本はあまりにも集団社会であり、またそれだけでなくとても強い個人主義国家でもあるということではないでしょうか。野球を通して見えたこれらの実例が、それを強く実証しているように思えます。”

      野球を通して、日米の文化、価値観の違いにまで言及することが出来る。単純に競技として競うだけでなく、その見方や取り組み方にまで国によって違いが生じているのだ。スポーツという、「娯楽」の文化の枠組みを超えた、新たな文化として野球を見ることも、非常に興味深いことである。(了)

      *  江夏の21球
         1979年11月4日大阪球場で行われたプロ野球日本シリーズ第7戦
         近鉄バファローズ(現オリックスバファローズ)対広島東洋カープの9回裏の攻防である。
      **  WAR Wins Above Replacement
      *** BABIP Batting Average on Balls In Play
      ****OPS On-base plus slugging

    • 金 英子先生(中国・南開大學、國際學術交流處留學生科副科長) 平成23年6月29日

      「グローバルラウンジ勉強会」。3号館4階のラウンジで海外の日本文化・社会研究者に話をうかがう会の第4回目は、本学協定校、中国・南開大學から金英子先生がご登壇です。南開大學に留学経験のある、またこれから留学予定の本学学部生3人と共に、留學生科の金副科長に中国の大学制度から留学生活に至るまで、様々な質問をさせて頂きました。グローバル時代を生きるみなさん、ラウンジ勉強会へようこそ―。

      -留学に際し、先生にお聞きしたいことはありますか?

      学生: 日本の大学と中国の大学、大きな違いは何ですか?
      金 英子先生(以下、先生): そうですね、まずはその規模。中国の大学はとにかく大きい。南開大學は端から端まで歩くと45分はかかるので、大学構内を小さなバスが通っています。1元*払えば構内のどこへでも行けます。ですが、1年間留学をするなら自分の自転車を買ったほうが経済的かもしれませんね。

      -学内を移動するために自転車が必要なんて、驚きです。

      先生: 大学構内は、言わばひとつの社会を形成しています。付属幼稚園、小中高等学校、学生寮に教職員アパートまで、全てが大学の敷地内にあります。食堂、理髪店、警察などもあり、門を出なくとも敷地内で十分生活ができるようになっています。

      -敷地内に全ての施設を揃えるのには理由があるのですか?

      先生: 学生、職員を含め、南開大學に関わる人々だけで5万人います。更に南開大學と天津大學は隣接して同じ敷地内に存在していますから合わせて10万人。更に両大学は中国の教育部(日本の文科省にあたる)に直属する大学であります。これだけの条件が揃えば敷地内は一つの都市といえますね。

      -南開大學にはどのくらいの留学生がいるのですか?

      先生: 現在35か国から2,600人の留学生を受け入れています。これは総学生数の約10%ですが、将来的には20%まで増やしたいと考えています。

      -そんなに!國學院大学の留学生は全体の約1%、これは大きな違いですね。留学生も中国の学生と同じように、全ての授業を受講できるのですか?

      先生: はい。ただ新HSK5級**の取得が条件になります。
      学生: 私たちはセメスター留学の最後に、新HSK5級に合格しました。留学の最初では絶対に合格できなかったと思います。
      先生: 留学の成果がそうして目に見えるのは嬉しいですね。

      -南開大學に通う現地学生との交流はあるのですか?

      先生: はい。日本語学科の学生と語学パートナーを組んで、1対1でお互いの言語を教えあうことができます。
      学生: 日本語学科の学生は日本語が上手すぎました..。
      先生: そうですね(笑)。日本語が話せない学生を探す、あるいは留学生同士というのも、共通語が中国語しかない状況ですので、とてもいい練習相手になりますよ。

      -気になるのは食事。先生お薦めのレストランはありますか?

      先生: 一般的に中国料理は油が多いので最初は少し重く感じるかもしれませんが、安くて量が多いのはなんといっても魅力です。私のお薦めは「明珠園」です。
      学生: 明珠園、おいしいです!!

      -ちなみに「明珠園」の回鍋肉はいくらですか?

      先生: 中国料理の醍醐味は大勢で食べること。量も多いですし、お昼なら6人で2皿として、ひとり20元*というところ。

      -お昼が約240円で食べられるなんて、驚きです。

      学生: 最初はそう思うのですが、中国に居ると中国の感覚になっていくので、次第に20元は高いと感じますよ。
      先生: 日本語フリーペーパー「津」を活用したり、現地の学生に聞いたりして自分で探してみるのも楽しいですね。

      -なんだかお話を聞いているだけでワクワクしてきました。

      学生: 去年、南開大學にセメスター留学して、本当に良い経験ができたので、この9月からは協定留学に行きます。
      先生: 新HSK5級にも合格しているし、学部授業に参加して語学留学から更に一歩踏み込んだ勉強ができますね。

      -協定留学制度の上手な活用方法ですね。ちなみに中国全体で一般的に人気のある学部はありますか?

      先生: やはり今は経済、ビジネスなどの学部が人気です。

      -國學院大學の経済学部生が協定留学制度を利用して中国語で、経済学を学べるようになるといいですね。

      先生: そうですね。南開大學に限って言えば、数学学院、生命科学学院への入学が一番の難関とされていますが、韓国からの留学生は経済学院に入る学生が多いですね。

      -最後になりましたが、これから留学を考えている学生にアドバイスをお願いします。

      先生: 留學生科に勤務していて感じるのが、各国の留学生によって留学に対する心持ちは違うのだな、ということ。他の国に比べて、日本からの留学生は、中国に留学する際に何かと不安を感じている学生が多いと思います。
      学生: でも帰る頃には「帰りたくない」程に満足しています。

      -思い切って飛び込んでみる勇気と決断力も必要ですね。

      先生: はい。そして、中国へ留学すると決めたら重視してほしいのがやはり会話力です。タクシーに乗るのでも道を聞くのでも、どんどん会話をする機会を増やして、中国語の勉強と文化理解、どちらにも積極的に挑戦してください。

      企業内公用の発想が定着しつつある昨今、世界基準のコミュニケーション能力が求められ始めています。世界経済を牽引んしつつある中国で、世界から集まる留学生と共に、地球サイズの留学を経験できるこの機会をぜひご活用ください。

    • シュテファン・メーダー先生(ドイツ出身、刀剣研究家) 平成22年11月19日

      「グローバルラウンジ勉強会」。3号館4階のラウンジで海外の日本文化・社会研究者に話をうかがう会の第3回目は、シュテファン メーダー先生の登場です。北斗七星の研究もされている先生の、星空のように無限に広がるお話を、ふたりの学部生と共に日本語で伺いました。グローバル時代を生きるみなさん、ラウンジ勉強会へようこそ―。

      ―そもそも日本に興味をもったきっかけは?

      メーダー先生(以下、先生) :学生時代、アイルランドに1年間留学しました。アイルランドは土地柄どんよりとした天候が続くことが多く、そんなある日、「日本のおもかげ」という小泉八雲の人生と仕事に関するテレビ番組が放映されていました。

      ―アイルランドの薄暗い気候と八雲の「怪談」、合いますね。 

      先生: はい。八雲が生きた時代、西洋の多くの科学者は日本の文化を「おもしろい虫」の様に研究しました。でも、八雲は違った。精神的な側面から日本を理解し、現在に至る日本の発展をあの当時すでに見抜いていた、そんな気さえします。

      ―小泉八雲とメーダー先生、なんだか似ています。

      先生: 私の母国ドイツは哲学、文学など精神科学の分野で素晴らしい功績を収めてきましたが、最近では精神科学を勉強しても「お金にならない」と言われます。しかし机上では学べない精神的なことこそ現代の為に一番意味あることだ、と私は思います。その意味で小泉八雲とは深くつながっている気がします。

      ―先生のご専門である「刀」のイメージは、ずばり「サムライ」です。

      先生: それは歴史の勉強をあまりしない人の理解ですね(笑)。世界で考えると、武器は殺傷能力を高めることでその発展を遂げてきました。武器取引は経済を動かし、平和的考えよりも先に世界へ広がってゆきました。しかし日本では江戸時代以降、武器にとって唯一と言ってもいい、素晴らしい発展がありました。

      ―それは?

      先生: 武器に対する心構えの変化です。刀は殺傷の為の「武器」から、相手と自分の性格を研ぐ「道具」へと変化しました。

      ――相手と自分の性格を研ぐ?

      学生: 自己鍛練。
      先生: その通り。私の大好きな剣道、竹刀を持って先生と向かい合うと、裸で立っているような恥ずかしい気持ちになります。自分の動きを自分が意識する前に先生に読まれるのです。これは頭が良い悪いに関係なく、皆が経験する哲学的な体験と言えるでしょう。
      学生: 私は空手をやるので、すごくわかります。漠然とした思いを初めて言葉にしてもらって「ああ、そうだな」って実感しました。
      先生: 厳しい、しかし励みになる、まじめな人間の繋がりです。

      ―西洋にはその厳しさはありませんか。

      先生: ヨーロッパでは鉄砲の発展が大事にされ、ボタンを押したら物理的距離の離れた相手を殺傷することができるようになりました。自分は安全な所にいて相手と直接的に対峙しない、これは人間として一番軽蔑的なことだと思いませんか。

      ―刀の歴史が人間関係の研究にまで広っていますね。

      先生: ドイツのフライブルク大学で学んでいた当時から学際的な研究に興味がありました。専門と専門を結ぶ研究ですね。

      ―Interdisciplinary (学際的)という学術アプローチは、前回のラウンジ勉強会でモニカ先生に教えて頂きました。

      先生: 専門と専門を結ぶというのは、実際にはとても大変なことですが、いろいろな専門を結んだら間違いなく新しい画が出てきます。國學院大學には宗教、哲学、考古学、歴史、文学と様々な専門がありますから是非学部の枠を超えた研究をするといいですね。そういう研究は現代の為に一番意味があると思います。

      ―学生:専門が確立された現状では逆に難しいのでは?

      先生: そうとも言えます。例えば、岐阜の飛騨金山に巨群石があります。太陽の現象を観測できるものです。しかし多くの考古学者、天文学者は「偶然に過ぎない」と見に行こうとすらしません。学問の形にこだわり過ぎると、こうした偏見も生まれやすいですね。

      ―学生:ストーンヘンジの存在から見ても、偶然ではない可能性は十分にあると思います。

      先生: 日本における暦の考え方が大陸から6世紀頃に入ってきた、それは私も疑いません。でも、天文学がまだない時代の人々が狩や漁、儀式の為に規則性を発見し、既に実践していたとしても不思議ではないと思いませんか。

      ―はい、昔の人はインターネット検索ができなかった分、自然から得られる情報に頼り、たえず観測していたと思います。

      先生: そういう可能性に目をきつく縛りながら研究してもしょうがないのでは、と思います。仮説に間違いはつきものです。それでも恐れず議論する土壌がないと、前には進みません。

      ―グローバル社会を生きる学生にメッセージを

      先生: 外に出てゆくことで自分の国に対する見方が変わり、より客観的に判断できるようになります。外に出て下さい。
      学生: 自分あるいは日本という「鏡」を通して「世界の向こう側」をみる。日本と海外、この2つの世界のつながりを自分で付けることが必要な気がします。
      先生: そうですね。もうひとつ言うと、鏡はカギの言葉です。古墳時代には、次の世界に持ってゆく大切な物品のひとつとして、馬具や刀と一緒にお墓の中に埋められましたから。

      科学の発達と共に都市部では星空がほとんど見えなくなりました。それと比例するように、昔は見えていた大切なことが今の私たちには見えていないのかもしれません。地球時代には心の内世界の視野も広くすることが必要であることを教えていただきました。

    • モニカ・ディックス先生(ドイツ出身、日本文学研究者) 平成22年6月25日

      「グローバルラウンジ勉強会」。3号館4階のラウンジで海外の日本文化・社会研究者に話をうかがう会の第2回目は、「なぜ、なに?」の答えを追い求めて研究を続けるモニカ ディックス先生の登場です。刃物で世界的に有名なドイツの町、ゾーリンゲンで育った先生の‘切れ味鋭い’お話を、ふたりの学部生と共に日本語で伺いました。グローバル時代を生きるみなさん、ラウンジ勉強会へようこそ―。

      ―まずは簡単な自己紹介を

      ディックス先生(以下、先生) :モニカディックスと申します。(おもむろにカタカナで名前を板書する。)漢字は「裳仁香」、当て字ですが、私も漢字の名前が欲しかったので気に入っています。

      ―大学での専攻も日本文学? 

      先生: いいえ、最初は美術史を専攻していました。カナダの大学でしたから美術史を学ぶ学生の多くは近代西洋美術史を研究していました。そのなかで私は日本の仏教絵巻物について修士論文を書きました。

      ―仏教絵巻物、難しそうですね。

      先生: 難しかった(笑)。日本語の書がまったく読めず、絵と書の関係性が理解できませんでした。その関係を知りたくて書を研究するうちに、美術史をやめて日本文学を専攻することにしました。そうして博士論文は中将姫伝説をテーマに書きました。

      ―中将姫って...誰ですか?

      先生: 奈良県葛城市にある當麻(当麻)寺で出家し、阿弥陀如来を信仰して極楽浄土へ行ったとされる伝説の女性です。ツムラの中将湯を知りませんか?明治時代から続く名薬の箱に描かれている、あの女性です。

      ―学生: その薬なら知っています!

      先生: 中将姫と中将湯の関係はとても興味深いです。本来インドの仏教の中には、女性の身体についての記述は殆どありませんでした。ところが仏教が日本に伝わり神道の影響を経て、女性の身体は穢(けが)れている、という解釈になりました。

      ―その仏に仕えていた中将姫が、奇しくも婦人病の薬のロゴ。

      先生: そう。さらに調べてゆくと、中将姫が出家した伝説が残る當麻(当麻)寺のまわりには漢方の店がたくさんあります。当麻町は本当に小さな町で、1999年に訪れた際にはガイジン、ガイジンと言われました(笑)。

      ―当麻寺でもなにか新しい発見はありましたか。

      先生: 当麻寺で毎年5月14日に行われる中将姫の極楽往生を再現するお会式を見ました。娑婆堂を人間界に、曼荼羅堂を極楽に見たてて、その間に来迎の橋が渡されます。中将姫の魂がその橋の上を渡り、極楽浄土の入口で待つ阿弥陀の元へと導かれてゆきます。お会式は夕方4時に始まり、進行と共に夕日が落ち、やがて極楽往生の頃に日没を迎えます。神秘的で美しい光景でした。

      ―ロマンチックだなあ。こうなると、先生はもはや日本文学の枠を超えて日本文化の研究者では?

      先生: 私のアプローチはinterdisciplinary*です。文学、文化、歴史、美術、ジェンダー、いろんな角度からひとつの事象を掘り下げてゆく研究方法です。

      ―日本ではあまり聞かないアプローチのようですが。

      先生: そう、日本に来ると、先生は文学の人ですか?仏教の人ですか?どんな研究者ですか?と聞かれます。

      ―うん、研究者は、“横に広く”というよりは、ひとつの分野を“縦に深く”研究する、そんな印象があります。

      先生: そうですね。でも絵巻物を日本文学の中だけで研究していても、同時に美術史のなかでとらえられなければ多角的に解釈することはできません。背景にあるもの全てを学ばないと、本当に学んだことにはならないのではないですか。國學院大學神道文化学部のヘィヴンズ先生が参加するチームが神道のオンライン辞典を作られた際には、私は仏教の専門家として加わり、他にも文学の専門家など皆で共に意見を出し合いました。

      ―素晴らしい。多角的に学ぶ姿勢は、この勉強会の趣旨である“グローバルな視野”の目指すところでもあります。

      先生: グローバルといえば、最近、日本の若い人は海外へ行かないって本当ですか。

      学生: うーん。インターネットから何でも情報が得られることが逆に若者を内に篭らせているのかも。さらに仲間うちで空気を読みあう傾向があり、それが“違うもの”に対しアレルギーを持たせる要因になっているのかもしれません。

      ―あらあら、どうしたらいいのでしょう。

      学生: 日本の良さを知り、学び、外の世界に心を開くことにより内世界も徐々に広がってゆくと思います。

      先生: そのとおりですね。外に出てゆくことは自分の可能性や知識を広げてくれます。ぜひ、海外に行って下さい。

      ―旅行でもいいですか?外国に住まないとダメですか。

      先生: 旅行以上に、外国で生活するということはその社会のマナーや習慣を学び、受け入れ、アジャスト(調整)するということ。そこまでして初めて他文化を学ぶということになる、と私は思います。

      Interdisciplinary。学ぶことにどこまでも積極的なディックス先生が教えてくれた新しい時代の学術アプローチ。地球時代には人種、国籍、文化、あらゆるものを総合しながら学んでゆく広い視野が必要であることを教えていただきました。

      *interdisciplinary [inter・disciplinary]
      —【形】<研究など>諸学提携の、他分野にまたがる、学際的な。                      
      研究社 新英和中辞典より

    • ロベルタ・ストリッポリ先生(イタリア出身、日本文学研究者) 平成22年6月18日

      「グローバルラウンジ勉強会」。3号館4階のラウンジで海外の日本文化・社会研究者に話をうかがう会の記念すべき第1回は、ローマに生まれニューヨーク州立大学で日本文学を教える、とまさに“グローバル”を地で行くロベルタ・ストリッポリ先生の登場です。カレーが日本食として食べられる今日、アメリカで研究される日本文学の世界を勉強してみたいと思いませんか。ストリッポリ先生に研究への思い、国学院大生へのメッセージを日本語で伺いました。グローバル時代を生きるみなさん、ラウンジ勉強会へようこそ―。

      ―そもそも日本に興味をもったきっかけは?

      ストリッポリ先生(以下、先生) :それだけではないけれど、小さい頃に観たアニメ。ドラえもんが布団で寝ていたり、のび太くんがお箸でラーメンを食べていたり。テレビアニメは自分の知らない日本文化を見せてくれました。

      ―のび太くんは日本語を話していた? 

      先生: いいえ、流暢なイタリア語(笑)。ラーメンはスパゲティ―という設定になっていました。高校生になってからは川端康成「雪國」や三島由紀夫「仮面の告白」などをイタリア語で読みました。わからないところもありましたけれど。

      ―日本文学特有の精神性がわからなかった?

      先生: うーん、日本文学は西洋文学の影響を大きく受けていますから書き方については理解できました。でも人の考え方については「なぜこの人はこんなことをするのか」とかもっとよく理解したかったんです。

      ―平家物語を中心とする研究について教えて下さい。

      先生: まず面白いのは、平家物語に登場する人物は他の日本文学によく登場します。例えば源義経は平家物語の他に、義経記、能、御伽草子、幸若舞などたくさん描かれています。それから、祇王(妓王)の物語は平家物語と源平盛衰記の中で編集のされ方がそれぞれ違います。これは國學院大学の松尾先生に教えてもらったのですが、覚一本の中では...

      ―カッ、カクイチ?

      先生: 覚一本、あとで調べてください(笑)*。この中で祇王の話は巻一に書かれています。平家物語は平家が没落してゆく話ですよね。平家を没落させた平清盛の悪らつぶりを印象づけたい冒頭にもってくるのに絶好の話だったのですね。

      ―同感。一度は愛した祇王を苦しめる清盛はまさに女の敵。

      先生: これが源平盛衰記では、清盛を唯一コントロールできた息子の重盛が亡くなって、いよいよ清盛が暴走しはじめる中盤のところに収まっています。で、室町時代になると御伽草子の中に入っちゃう。話は同じまま、平家物語から独立してしまう。

      ―それだけ物語としておもしろかったということ?

      先生: そう。この話は感動する話だからその部分だけ独立させてもいい。きれいな絵巻になって今も7-8冊残っています。ニューヨーク市立図書館にも所蔵されています。

      ―今はどんな研究をされていますか?

      先生: 今興味があるのは祇王に限らず、物語が現実になる話。祇王は存在したかどうかわからないんです、たぶんしなかったんじゃないかな。でもお墓が3つもある(笑)。

      ―へえ。祇王へ寄せる人々の思いが、長い時間をかけて実在しない彼女を現実化させたなんてすごく面白い。

      先生: 巴御前なんかももしかするとそう。だから祇王の話をケーススタディーのように見ています。物語がどのように現実化してゆくか、ということ。これは日本文学の枠を越えて、歴史学かあるいは社会学になるかもしれませんね。

      ―社会学に話が及んだところで、先生からみた日本について聞かせてください。

      先生: 日本の好きなところはたくさんあります。安全であること。どんな仕事に対しても真剣に取組む姿勢はいいですね。

      ―ダメなところは?

      先生: 他国の文化だから「これはダメ」とは言えません。でも、日本に住んで3年経った頃でさえまだ顔を見ただけでノーイングリッシュと言われた。これから20年住んでもずっと外国人として扱われるのかなと思いました。世界にはいろんな人がいて絶えず移動している。だから少し考え方を変えてもいいのではと思います。

      ―唐突ですが、外国に出る意義って何ですか。

      先生: イタリア人の私がイタリア人と話すのは楽しいですが、話していても殆ど自分が知っていることばかり。(言い方が悪いけれど)死ぬまでずっと知っていることを聞き続けたくない。ほとんどわかっている世界に居たくない。知らない考え方とか景色とか人の生き方、在り方をわかりたい。世界を知るって世界平和にもつながるし、なにより自分の人生を豊かにすると思います。

      ―グローバルを目指す國學院の学生へメッセージを

      先生: 世界に出るつらさはよくわかります。外国に暮らすのは簡単ではない。慣れない食べ物を食べ、よくわからない言葉で話す。知らない人とがんばって仲良くしないといけない。私も日本で何度も泣きました。でもそういうことは若いときにしないと。経験するのは今です。そして留学に出たら、そこでできた友人を大切にしてください。いつまでも友達でいられることは、なんてすばらしいことだと思いませんか。

      言語、文化、国境。いろんな境界線をあっさりと超えてくれたストリッポリ先生に、グローバルの本当の意味を教えていただきました。

      *覚一本: かくいちぼん。14世紀に明石覚一がまとめたとされる 平家物語の“スタンダード”版。

このページに対するお問い合せ先: 国際交流課

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