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國學院大學で学ぶ留学生たちは、東京都埋蔵文化財センターを訪れました。そこで生じた留学生の疑問に、本学教員が回答します。
Q.日本では、食器に使われる土器の種類が多くあるように感じました。それはなぜですか?
A.食事の内容に応じて食器を使いわけたためです。
弥生時代、完成された水田稲作が朝鮮半島から伝播し、食文化が大きく変化します。食器も例外ではなく、ご飯を食べる器、おかずを入れる器、木の実などを盛り付ける器など、用途に応じた形の食器を作るようになりました。
ただし、弥生時代や古墳時代の日本列島には箸が存在せず、手で食べていたようで、ご飯もおにぎり状にして食べたのかもしれません。食器の種類が多様な文化は、弥生時代以降にも引き継がれますが、基本的に食器は手に持つことが一般的で、手になじむよう底が丸い形状をした土器が多いことが特徴です。
しかし、飛鳥時代になると、大陸や朝鮮半島の食事様式に倣い、食器を置いたまま食べる文化へ転じ、食器の底も平らになります。さらに、同じ形の食器でも大中小があるなど食器は飛躍的に多様化し、奈良時代にピークを迎えます。そして、食事道具として箸や匙なども導入されました。ところが平安時代、多様だった食器は次第に種類を減らし、お椀やお皿などに集約されていきます。底が丸い食器も再び増え、食器を手に持って食べる文化が復活します。現代の日本人も食器を手にもって食べますが、この食事作法は古来より続く日本の伝統といえるでしょう。

2017年2月6日付け、The Japan News掲載広告から