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褒める・叱るは態度で示そう

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人間開発学部学部長 新富康央

2017年1月31日更新

褒めることはよくしているけれど、叱るとなると自信がない。幼児には言葉は通じないし・・・。そんなお父さんお母さんの嘆きが聞かれます。しかし、幼児期は道徳心を育む大切なときです。世の中にはして良いことと悪いことがある。この時期を逃しては、このことを身に付けることができないからです。

幼児は理屈では道徳を理解できません。小学校入学前までに、「喜び」「自慢」「嫌悪」など人間の持つ一通りの感情ができあがりますが、「道徳心」だけは未完成です。その下地作りは入学前、つまりこの幼児期なのです。

褒め方、叱り方の基本は「良いこと」と「悪いこと」を表情や態度で分かりやすく示すことです。叱るときは怖い表情で、「お母さんはどんな顔をしている?」と聞いたり、たった一言「お父さんは怒っている」と伝えるだけでも良いのです。悪い行いに対しては、怖い顔で、逆に、良い行いに対しては、満面の笑みのにこにこ顔で「お母さんはどんな顔をしているかな?とてもうれしかったよ」と善悪のけじめを伝えましょう。

叱り方で絶対にしてはならないことは、子どもの人格を傷つけたり、否定したりする言い方をすることです。「どうしてあんたはこうなの」、「またおまえか」などの表現は御法度。子どもは良くも悪くもラベルを貼られるとそのラベルにあった子どもになってしまいます。自分に貼り付けられたレッテル、ラベルに従い、行動するようになるのです。教育の世界ではこれをラべリング論と言います。「ダメね」、「できはしないのに」などのマイナスのラベルを貼ってしまうと本当にダメな子どもになってしまいます。「もので叱って、人で叱るな」といいます。子どもが行なった事実だけで、叱りましょう。

それでは、良いラベルを貼るため、褒める方法はどのようにすればよいのでしょうか。一番やりやすいけれど忘れられがちな方法があります。それが、「初めて拍手」です。「初めて遅刻をしなかった」、「初めて留守番ができた」、「初めて一人で着替えられた」など「初めてできた」ことを大袈裟に褒めてやりましょう。出来が悪いと思われている子どもでも、これなら褒めることができ、プラスの評価のレッテルを上手く貼ってあげることができます。「初めて縄跳びが跳べた」などの「初めて拍手」では、思い切りぎゅっと抱きしめて褒めてやってください。

「もので叱る」の原理で言えば、幼児の場合は、もの=行いの事実で叱ったあと、泣いている幼児を「おいで」としっかり抱いて、フォローしてあげましょう。泣いている子どもをそのままにしておくのは「叱る」ではなく、「怒る」です。「叱る」と「怒る」の違いはここにあるのです。

 

 

 

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