学部長挨拶

2019年4月1日更新

感謝の気持ちを忘れずに

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 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
 皆さんにとってここに至るまで道のりは、山あり谷ありの、決して平坦な道ばかりではなかったことと思います。しかし、そうした試練は、誰もが経験することであり、自分だけがひとり苦労や不幸を背負ってきた、と思ってはいけません。起伏ある道のりを通過する毎に、人は成長してゆくのであり、皆さんが今日の晴れの日を迎えることができたのも、そうした道のりを歩んできたからです。
 そこで皆さんにお願いしたいことがあります。この日を迎えることができたのは、皆さんの自力のほかに、他力があったからに違いありません。皆さんを支援したり、一緒に伴走したりして下さったご父兄や諸先生、そして友人等がいたことでしょう。そうした方々に心から感謝の意を表して下さい。これができれば、皆さんは人よりももう一歩成長することでしょう。それを期待しています。
 本居宣長先生の御著書に『玉鉾百首』という神道的道歌集があります。「玉鉾」とは、道の枕詞ですが、この道とは具体的には「神の道」を指します。「神の道」とは神道のことですが、宣長は儒者のように聖人になるための正しい生き方を唱えたのではなく、日本人としての立派な生き方を、神様やご先祖様にならって行いなさい、とすすめたのです。それを道歌にして纏めたのが、この書です。そのなかで「父母はわが家の神」と歌った一首があります。
   父母はわが家の神わが神とこころつくしていつけ人の子
 東アジアでは、わが身は父母の遺体なり、と教えます。この身体は、両親がこの世に残して下さった大切なものだ、ということです。ですから、わが身を粗末にする者は、親(祖先)を悲しませる不孝者と非難されました。これは大切な「孝」の教えです。それに対し、わが国の伝統に則って「孝」を教えたのが、上記の歌であります。子はどれだけ親を敬愛し、孝行を重ねても、親が子を慈しむ真心(慈愛)には到底かないません。ですから、せめて親を神様(氏神様)にお仕えする時のような真心をもって敬い申し上げなさい、と教えたのです。
 皆さんの多くが、神様と関わる神道学や宗教学を修得するために、本学部を志望したことと思います。ならばこそ、ご父兄を敬い、御恩を忘れず、感謝する真心を養って下さい。それが神明奉仕の第一歩だからです。
 皆さんの大学四年間が、有意義なものになりますことを祈念してやみません。

神道文化学部長 西岡 和彦

このページに対するお問い合せ先: 神道文化学部

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