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斜め45度から描かれる美人画

五感体感、日本。~留学生の日本フィールドワーク~

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國學院大學文学部教授 藤澤紫

2016年10月31日更新

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國學院大學で学ぶ留学生たちは、東京江戸博物館を訪れました。そこで生じた留学生の疑問に、本学教員が回答します。

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楊州周延画 「真美人」 大判錦絵 明治30年11月

Q.日本の美人画に描かれる女性はなぜ皆、同じような顔なのですか?また、斜め45度から見た角度で描かれている理由はありますか?

A.「時代の顔」を映した美人画

 日本の伝統的な美人画で特に重要視される要素は、大きく分けて3つほどあります。1. 時代の好みを反映した理想的な顔立ちであること。2. 流行の(または伝統的な)美しい衣装を身に着けていること。3. 女性らしい立ち振る舞い(ポーズ)が感じられること、などです。

 これらを総合して、絵師は需要者のニーズにあった理想的な女性像をつくりあげてきました。したがって、特定の人物を描いた肖像画を除き、美人画の多くは個性表現が希薄です。喜怒哀楽などの感情表現も控えめにすることが多いので、より一層、どの美人も「同じような顔」に感じられるのかもしれませんね。

 また女性像に限らず、日本の人物像の多くが斜め45度から見た角度で描かれていることにも理由があります。1. 日本人の顔が欧米人に比べると立体性に欠けるため、西洋美術に多いプロフィール(横顔)表現は極めてまれである。2. 日本の絵画における立体像の把握のしかたが西洋とは異なるため、顔がより平板に見える正面像の例は少ない。3. これは私の私見ですが、日本では古くから「垣間見」という意識があり、正面から見据えるよりも傍らから様子を伺うことに風情を感じるといった民俗性が、絵画にも影響を与えたのではないかと思います。

 現代の私たちが見ると、本当にこのような顔をした人がいたの?と疑問に思うような表現や、ひいては、この人は本当に美人なの?と戸惑う作品もあるかもしれませんが、これらはあくまでも「時代の顔」をリサーチし、「理想化」して描いた結果なのです。もし数百年後の未来人が、現代のコミックスやアニメーションの登場人物の顔を見たら、きっと、同じことを思うのではないでしょうか。

 

 

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2016年10月31日付け、The Japan News掲載広告から

 

藤澤 紫

研究分野

日本美術史、日本近世文化史、比較芸術学

論文

「北斎を歩く すみだでたどる天才絵師の生涯。」(2016/12/01)

「江戸出版界が生んだアイドル―伝説になった「お仙」―」(2016/04/01)

このページに対するお問い合せ先: 総合企画部広報課

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