私は法学部を卒業後、一般企業を経て介護職に就いていました。この仕事は「やさしさ、思いやり」が原点であることはもちろんですが、介護の現場で働くなかで実感したのは、気持ちだけでは限界があるということでした。そこには法律という後ろ盾が必要な場合も数多くあります。もしも自分に法律の知識があれば、もっと社会に貢献できるのではないかと考えたのが、30代半ば近くになって法曹を志した大きな理由です。
身近にいる悩みを持つ人々を支援する弁護士になりたいという気持ちが強かった私にとって、國學院大學法科大学院は地域に密着したホームロイヤーを育成する方針を明確に打ち出しており、自分の理想に最も近い法科大学院に思えました。
法学部出身といえども法律知識に乏しく、また卒業後のブランク期間が長かったため、私は未修者として3年間の学びをスタートさせました。
國學院大學法科大学院は、小規模・少人数であるため先生と学生の距離がとても近く、先生方が親身になって面倒をみてくださることにとても感激しました。また、研究者の先生と実務家の先生の協働授業もすばらしく、とてもわかりやすいご指導だったと思います。
授業では、公設の渋谷パブリック法律事務所と連携したリーガルクリニック(上級)が特に印象的でした。法律の知識を受身的に学ぶというのではなく、相談者の方と直接お会いしたり裁判所に同行したりする経験もできましたし、何よりも具体的な生の事件に携わることで、法的思考力が鍛えられたことが新司法試験にも役立ったと思います。
3年間の学びを振り返ると、辛かったのはやはり1年次前期でした。ほとんど法律知識がない状態で入学したので成績がふるわず、夏休み頃には、あと2年半も勉強を続けていく意義があるのだろうかと悩みました。しかし仕事を辞めてまで歩き始めた道なのだから、と思い直して勉強に取り組むうちに成績が上がり始め、モチベーションも上昇してきたと記憶しています。
自分が志望した理由を忘れずに勉強を続ければ、必ず道は拓かれると実感しました。