思い立ったら実行するのが私の性です。
子どもの頃から機械いじりが好きで、技術者になることを目指して、大学は工学科に進みました。卒業後、自動車メーカーに勤めましたが、思っていた仕事とは異なっていたので退職。その後地元の区役所に勤めました。 ここでは、建築設備の審査や申請書類のチェックなどを担当しました。
区役所に勤めている間、神道に対する知識欲が高まり、國學院大學文学部神道学科に入学し、日本人の生活原理や考え方を学びました。区役所勤務は続いていましたが、仕事をするなかで、社会は法律によって動いていることを実感し、法律を学びたいという欲求が高まっていきました。法律を学ぶなら法曹を目指したいと思い、区役所を退職することを決意。神道を学んだ際、学習環境が良いことを知っていた國學院大學法科大学院に、背水の陣の気持ちで入学しました。
初めて法律を学ぶ私は、授業についていくのに必死でした。わからないことは、とにかく先生に質問しました。初歩的な質問にも、先生方はていねいに答えてくれました。
朝6時に来て自習室に直行、授業を受けて、また自習室に夜12時までこもる毎日でした。楽ではありませんでしたが、あらゆることが新鮮で、真剣に取り組めました。 2年の中ごろ、ようやく授業についていける手ごたえを感じるようになってきました。
司法試験には、私は二度失敗しました。いま思えば、学習方法が間違っていました。未修者であるため、知識が足りないと思い込み、法科大学院修了後は自宅にこもって、ひたすら覚えるという学習法だったのです。しかし、司法試験は知識力を問う試験ではなく、身につけた知識をどう活かすかが問われる試験です。それに気づかせてくれたのは、國學院大學の先生方でした。行き詰まっていた私に声をかけ、ゼミに呼んでくださり、さまざまなアドバイスをしてくださいました。そのおかげで、学習のポイントを正し、合格につなげることができました。
國學院大學法科大学院の先生方は、修了生にも声をかけてくださるし、こちらから相談すれば、もちろん応えてくれます。学ぶ者にとって最良の環境だと思います。だからこそ、私のような法学初心者でも司法試験に合格することができました。
様々な経験をして来ましたが、私は回り道をしたとは思っていません。技術者としての能力、日本人の深層を知る神道の知識、地元の人に寄り添う区役所の仕事、すべての経験が法曹としての私の力になると思います。