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謎多き天孫降臨神話
―その神話の源流とは―

古事記の不思議を探る

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文学部教授 谷口 雅博

2018年12月10日更新

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 日本最古の書物『古事記』。世界のはじまりから神様の出現、皇位の継承まで、日本の成り立ちがドラマチックに描かれています。それぞれの印象的なエピソードには今日でも解明されていない「不思議」がたくさん潜んでいます。その1つ1つを探ることで、日本の信仰や文化のはじまりについて考えていきます。

 
高千穂峰の頂、ホノニニギが降り立った地と伝わる場所のひとつ

高千穂峰の頂、ホノニニギが降り立った地と伝わる場所のひとつ

神々が降り立つにふさわしい地「日向」

『古事記』の神話は、王権の由来を説く神話ですが、その要ともなるのが天孫降臨神話です。国土を生んだのはイザナキ・イザナミでしたが、その国土を整備して作り上げたのはオオクニヌシでした。

アマテラスはオオクニヌシとの交渉において地上世界を譲らせ、そして自分の孫のホノニニギを統治者として降らせます。

ホノニニギは、筑紫(九州)の日向(今の宮崎県)の高千穂のクジフル嶺(たけ)に降ります。何故この場所なのかは不明ですが、地名の持つ意味を考えることは出来ます。太陽神が降るのに相応しい場所として選ばれたのが、日が向かう地、即ち「日向」です。

また、稲穂の神霊とされるホノニニギが「穂」の嶺に降るのですから、穀霊降臨によって豊饒がもたらされる神話という一面が窺えます。

 

神話に見る周辺諸国との交流

さて、このような山上降臨型の神話は、古代朝鮮半島など北方系の建国神話にひろくみられるものです。

特に古代日本との交流が盛んであった加耶国の建国神話は、天界から山上に降った卵から始祖が誕生するというものですが、その山の名を亀旨峰(クジボン)と言い、高千穂の「クジフル嶺」と発音が似ています。

文化交流があったのですから、当然ながら神話伝説の類の交渉もあったことでしょう。朝鮮半島の神話が記された文献は、『古事記』よりもかなり後世のものになるのですが、神話に纏わる遺跡等には相当古いものがありますので、簡単にどちらからどちらに影響を与えたということは出来ません。

 

謎多き天孫降臨神話

ところで、降臨する神は、アマテラスの子神ではなく、孫神です。『古事記』の場合、最初は子神が降る予定でしたが、孫が生まれたので交替するという形を取ります。

なぜ交替するのか、何故孫神が降るのか、いろいろな意見があるところですので、ひとつには定められません。オオクニヌシとの国譲りの交渉は出雲で行われていましたが、降臨の地が何故九州なのかも謎のままです。『古事記』の神話にはこのような謎がまだまだたくさん残されています。

 

~國學院大學は平成28年度文部科学省私立大学研究ブランディング事業に「『古事記学』の推進拠点形成」として選定されています。~

 

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2018年11月26日付け、The Japan News掲載広告から

谷口 雅博

研究分野

日本上代文学(古事記・日本書紀・万葉集・風土記)

論文

『古事記』天孫降臨神話の文脈(2018/04/02)

旅ー『万葉集』挽歌の「旅人」ー(2018/03/25)

このページに対するお問い合せ先: 総合企画部広報課

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