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エールに「礼節」「想い」を込めて

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全學應援團リーダー部

2018年12月6日更新

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 「押忍!」のかけ声、裾の長い学ラン・・・「バンカラ」を象徴する大学応援団は現在、全国50校あまりで活動を続けている。昭和16年創立という長い歴史を誇る國學院大學全學應援團(杉田大樹團長、史4)は、リーダー部・ブラスバンド部・チアリーダー部の3部構成で例年60人前後の團員を擁して活動している。全學應援團のうち、応援を先導するために鍛練を積み、9月に開催された「第1回 大学応援団フェスタ」での活躍が光ったリーダー部の活動を追った。

團訓は「清潔、優雅、華麗」

 渋谷キャンパス130年記念5号館の多目的ルーム前に並んだ学生が「押忍! 失礼します!」と大声を張り上げる。週2回、水曜と土曜の夕方に行われるリーダー部の練習が始まったのだ。10分以上かけて準備運動を終えると、幹部(4年生)らの指導で本格的な練習が繰り広げられる。
 ガラス張りでオープンになるはずの廊下側はカーテンが閉められ、中を窺うことはできない。「少しでも音が漏れないように」(杉田團長)という気配りだ。単なる応援団員を育てるのではなく、「社会人として即戦力となる人材育成」といった卒業後の人生にも生かせる術を学ばせるという全學應援團の想いがここにも表れている。

≪東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された「大学応援団フェスタ」。首都圏の8校が参加し華麗な演技を披露したイベントの開催趣旨は、「大学応援団への誤解を解き、互いの技術向上を目指す」ことだった。会場には500人ほどの観客が詰めかけ大いに盛り上がり、関係者以外の来場者の姿も見受けられた≫

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応援する相手があってこそ

 現在、30人弱で活動しているリーダー部だが、入学前に応援経験のある團員は少ない。杉田団長自身も「高校時代は帰宅部でした」と語り、「入学を機に何か始めよう」と考えたところで出会ったのが全學應援團だったという。1年時の厳しい夏合宿を乗り越え、東都大学野球リーグ戦応援で経験した感動が今に至る原動力だと振り返る。
 「試合に勝った野球部の選手から『応援ありがとう』と声を掛けられました。応援する相手あってこその応援団だという想いに気づくことができ、今でも応援する相手に対するリスペクトを失わないよう心掛け、『想い』を込めて活動しています」
 「大学応援団フェスタ」冒頭の「応援ステージ」では3部そろって演技を披露したものの、目玉イベントとなる「紅白対抗応援合戦」ではリーダー部のみによる「國大音頭」と「國大小唄」に絞って挑んだ。ステージいっぱいにリーダー部の團員が並ぶ圧巻の陣容で臨んだ演技に、他校の幹部から「國學院さんは凄い」と讃えられたが、杉田團長からは「本学らしさを出そうとリーダー部だけで挑んでしまいました。演技を終え、3部あってこその応援団だという反省が残りました」と意外な言葉が飛び出した。人間関係や礼節など、応援活動を通じて身についた「想い」が込められた言葉かもしれない。

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マイナスイメージの払拭目指す

≪この15年の間に10校ほどの大学応援団が活動休止に追い込まれた。少子化で学生が減ったことに加え、つきまとう「暴力的イメージ」で敬遠される風潮が主な原因という。3部構成が主流となった近年の大学応援団にあって、リーダー部がわずか数人という態勢での活動を余儀なくされている団体も多いという≫

 杉田團長は「学ラン姿で街を歩いていると、『ヤバイ奴が来た』という目で見られることが多くあります」と申し訳なさそうに話す。今でこそ支えになってくれている家族だが、入団を伝えると「えっ?」と驚きの表情を浮かべたという。大学応援団で暴力事件が頻発したことで、世間の目はいまだに厳しいままなのだ。
 「応援団の本当の姿を知ってもらいたい」と水谷哲也副團長(経4)も唇をかみしめる。根強いマイナスイメージを拭い去ろうと、春秋に神宮球場で開催される東都大学野球や正月恒例の箱根駅伝だけでなく、他の運動部応援や各地のイベントに招かれて演技を披露する「リーダー公開」にも積極的に取り組んでいる。
 
≪明治時代にまでその源流を遡るとされる大学応援団。その活動を研究した著作もある鳥取大学の瀬戸邦弘准教授は、「大学応援団は代を重ねて先人の業績を引き継いでいく歌舞伎のようなもの。団旗・団長・校歌という3つの宝を大切にするなど時代錯誤的な世界観に支配されているからこそ、学校空間における『無形文化財』にふさわしい」と主張する≫

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 「大学応援団フェスタ」では、「私たち学生が代々継承し続けることで培われてきた我が国固有の大学応援文化の灯を絶やすことなく、かつこの文化をこれまで以上に磨き、レガシーとして継承・発展させていくことをここに宣言します」との大学応援団宣言も発せられた。「伝統を絶やすな」は現役・卒業生を問わず各校応援団共通のキーワードでもある。
 全學應援團は2年前から1月の第1土曜日に「赤紫(せきし)の契り」というイベントを、渋谷キャンパスで開催している。本学のスクールカラーにちなんで命名されたイベントには卒業を間近に控えた幹部團員(4年生)が登壇して勇姿を披露する。そして、その趣旨は、「大学応援団フェスタ」と同じく「応援団への正しい理解を深めてもらう」こと。観客席と一体となって盛り上がり、勝利の喜びを分かち合う瞬間へと導く「応援」の神髄に触れてみるのも面白いかもしれない。

 

 

 

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