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土俵は神様の宿る場所

~スポーツ、その日本のルーツを探る~

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神道文化学部 准教授 藤本 頼生

2018年1月18日更新

 日本においては、2019年ラグビーワールドカップ、2020年は東京オリンピック・パラリンピックと、スポーツのビッグイベントが続きます。さまざまな競技がある中、日本におけるその競技の伝統や起源を探っていくことで、グローバルなスポーツの中の「日本」を紹介いたします。(※画面の右上のLanguageでEnglishを選択すると、英文がご覧いただけます This article has an English version page.) 

~相撲~

JN(相撲)③

◆相撲の始まりは神話の時代?

 力くらべから発生したと考えられる相撲は、レスリングをはじめ、古来世界各地で同様の競技が行われています。

 日本での相撲の誕生は、神話の時代にさかのぼります。「古事記」の国譲りの神話において、建御雷神(たけみかづちのかみ)と建御名方神(たけみなかたのかみ)が「力競」を行ったことが最古の記録とされているようです。

 また、天の岩戸を引き開けた力自慢の天手力男神(あめのたじからおのみこと)は、怪力を持った神様であるところから、相撲の神様とされています。

 史実に見える相撲の記録としては、『日本書紀』によれば、垂仁天皇七年(紀元前26年)の記事にある、野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹴速(たいまのけはや)の力比べがその始まりと言われ、当麻蹴速を打ち破り勝利した野見宿禰が相撲の祖として敬われています。野見宿禰を祀る神社は全国に26社ありますが、東京都墨田区にある野見宿禰神社は、とりわけ相撲関係者の崇敬を集めています。

奈良時代には、宮中で年中行事の一つとして相撲節会(すまいのせちえ)という催しが開かれるようになり、毎年、七夕の時期に全国各地から精鋭の相撲人(すまいびと)を集めて盛大な行事として相撲が行われていました。

 鎌倉時代になってからも、鎌倉幕府を開いた源頼朝(みなもとのよりとも)が相撲を好んだことから、鶴岡八幡宮の祭礼に併せて奉納相撲を行うようになり、以後、幕府の将軍や有力武将などに相撲が好まれるようになりました。とくに江戸時代に入ると、寺社の修繕費などの資金を集めるために「勧進相撲(かんじんずもう)」が盛んに行われるようになりましたが、この勧進相撲の組織が発展、改組しながら、現在の「大相撲」につながっていきます。その点では、相撲は日本において、いち早く興業化、職業化したスポーツともいえるのです。

 

 

◆土俵は神様の宿る場所

JN(相撲)②

 大相撲の土俵入りのとき、拍手を打つ力士の姿を見た事があるかと思います。土俵には神が宿るとされている為です。

本場所初日の前日には、立行司を祭主、幕内行司・十両行司各1人を脇行司として「土俵祭」が行なわれます。この祭りは、新しく作った土俵の地鎮祭の儀式にあたるもので、祭主となる行司は祝詞を奉上し、供物を捧げて場所中の安全と興行の成功、さらには国家の安泰、五穀豊穣を祈念するのです。その際、土俵の中央に穴を開け、塩、昆布、するめ、勝栗、洗米、かやの実などの縁起物が、「鎮めもの」として、土俵を守る神霊への捧げものとして収められます。

 もちろん全国の神社において奉納される相撲においても同様に土俵祭がおこなわれています。大相撲と同じように天下泰平・子孫繁栄・五穀豊穣・大漁祈願などを願って、相撲がとり行われているのです。

 

◆独り相撲の語源となった「一人角力」

JN(相撲)①

 

 物事を一人だけで気追い込むことを独り相撲(ひとりずもう)と言いますが、この語源となった神事があります。愛媛県大三島の大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)で奉納される「一人角力」(ひとりずもう)です。

 この「一人角力」は、毎年春の御田植祭(旧暦5月5日)と秋の抜穂祭(ぬきぼさい/旧暦9月9日)において、大山祇神社の御淺敷殿(おさじきでん)と神饌田(しんせんでん)の間に設けられた土俵で行われる神事で、見えない稲の精霊と力士による三本勝負が行われ、毎年必ず稲の精霊が二勝一敗で勝つという、豊作祈願の予祝の神事です。はたから見ていれば、力士が一人でバタバタと相撲をとっているように見え、なかなか滑稽な姿です。ここから転じて、自分だけで気負って必死なことを「独り相撲」と言うようになったのですが、元々は、豊穣を願った大切な儀式だったのです。

※画面の右上のLanguageでEnglishを選択すると、英文がご覧いただけます This article has an English version page.

藤本 頼生

このページに対するお問い合せ先: 広報課

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