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研究開発推進センター公開研究会「中近世における「カミ」テクストを巡る学知」が開催されました(令和7(2025)年7月31日)

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2025年7月31日更新

 研究開発推進機構 研究開発推進センターの公開研究会「中近世における「カミ」テクストを巡る学知」が令和7(2025)7月31日に、渋谷キャンパス学術メディアセンター会議室で開催され、オンラインでの参加を含むおよそ60人が聴講しました。

 冒頭、笹生衛・研究開発推進機構長(本学神道文化学部教授)が「今回は歴史書である『日本書紀』が信仰面で、いかに中世や近世において受け継がれ、展開していったのか、という点に焦点をあてて、中世については茨城大学教授の伊藤聡氏、また近世を皇學館大学の松本丘氏に、それぞれお話いただく。『日本書紀』の展開を広く俯瞰できるような研究会となることを期待する」と挨拶し、続いて、松本久史・研究開発推進機構 研究開発推進センター長(本学神道文化学部教授)が趣旨説明を行い、「本機構が進めている「カミ学」研究拠点の構築」プロジェクトの軸となっている「カミ」の理論の検証において、重要な「カミ」テクストの生成や解釈についての研究成果をお話しいただく。プロジェクトでの展開を見据えてしっかりと拝聴したい」と述べました。

 まず伊藤氏が「「中世日本紀」と『日本書紀』註釈」と題して報告し、「中世日本紀」や「中世神話」を巡る先行研究の流れを紐解き、具体的な研究事を披露。更にご自身の研究から、両部神道における『日本書紀』について、註釈や伝授に関わる資料をあげ、丁寧に解説し、『日本書紀』に重きをおき、しっかりと伝授しながら、その註釈や派生した神話や神道説を加味しながら生成された「中世日本紀」について論じました。

 続く松本丘氏は「 近世における神祇・神道の古典をめぐる学知―『日本書紀』と垂加神道―」と題して、垂加神道における『日本書紀』神代巻の解釈を詳述。朱子学者の山崎闇齋やその弟子たちの遺した註釈書や垂加派が重視した『神代巻口訣』等から、中世の神道説を引き継ぎつつも仏教色を排し、儒教の影響を受けて、より実体的な神観が見出すことになったと述べました。

 

  両名の報告を受け、渡邉卓・研究開発推進機構准教授がコメントし、古代の『日本書紀』がそれぞれの時代でいかに受容され、変遷したか、どのように扱われていたのか、改めて検証する必要があると述べました。その後、登壇者と渡邉准教授、松本久史・研究開発推進センター長が『日本書紀』はじめとする様々な「カミ」テクストの生成や解釈に関する研究の可能性について議論し、研究会は終了しました。

 研究開発推進機構で進めている「「カミ学」研究拠点の構築」プロジェクトでは今度も随時研究会を開催いたします。ご興味がありましたらぜひご参加ください。

 

笹生 衛

研究分野

日本考古学、日本宗教史

論文

10世紀の気候変動がもたらしたもの―東国の集落と水田の景観変化から―(2024/08/01)

古代末期の気候変動と新たな祭祀・交通の展開(2024/08/01)

松本 久史

研究分野

近世・近代の神道史・国学研究

論文

平田篤胤は国学者か(2023/12/03)

国学研究の将来によせて(2023/09/30)

渡邉 卓

研究分野

日本上代文学・国学

論文

「上代文献にみる「吉野」の位相」(2024/03/22)

「中世の日本書紀註釈における出雲観―『釈日本紀』にみる「出雲」の文字列から―」(2021/03/31)

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