今年の全日本大学総合卓球選手権大会(インカレ)女子団体の部で6位と、強豪の一角に数えられる國學院大學卓球部。技術の向上に加え、主体的で責任ある行動、仲間を支えようという気持ちなど、上級生になるに従い、選手の内面に育まれた精神的な成長が大きな力として作用したことも、健闘の要因として見逃せない。世代を超えて卓球に熱い視線が注がれるなか、チームを牽引した前主将の小島叶愛選手(初教4)、阿部里歩選手(神文4)、選手兼主務としてチームを支えた小林美結選手(経ネ4)の4年生3人に、4年間の成長の成果を今後にどう生かそうとしているのか、当面の目標は何か、卓球に寄せる思いなどを語ってもらった。
【前編】大学卓球で磨くこころと技術 そして飛躍へ
コロナ禍、五輪、経験は次にいかす
――卓球を通じて得た成果や教訓を今後にどう活かしていきますか。
小島 大学時代には悩むことも多く、その都度、同期や先輩、コーチらに支えてもらいました。一方で仲間が悩んでいる時には、私なりに相手に寄り添うことができたのではないかと思っています。卓球という競技を通じ、周囲を見渡し、苦しんでいる人がいたら支えてあげることが大事だと感じました。社会人になっても大学での経験を活かし、仲間と支えあう気持ちを忘れずに頑張っていきます。
阿部 3年時にはコロナ禍でいくつかの試合が中止になり、目標を見失って落ち込むこともありました。でも、人見剛監督や先輩らは部員のモチベーションが下がらないよう懸命に努力していたのを覚えています。
4年生のときには私がその役目に回り、さまざまなことを試行して、モチベーションを上げる工夫をしてきたつもりです。皆で力を合わせて試練を乗り越えたこの経験を今後に生かしたいと思うし、絶対に活きるはずだと確信しています。
今年は東京五輪の開幕前に、日本代表合宿に招聘されました。ラケットの握り方とラバーが異質なドイツ人選手と日本チームが対戦する可能性があり、私が同じやり方をしていたので、その対策を講じるために協力したものです。私にとっては今後に活かすことができそうな貴重な体験となりました。
小林 3年生後半から主務という役職に就かせてもらいました。現役選手としての競技活動とサポートの両方に全力を注ぎましたが、ここで痛感したのは選手とサポート役の両方の大変さを知ることの大切さです。選手には選手にしか分からない辛さがあるし、サポート役も同じように担当した者にしか分からない苦労があります。この経験は何物にも代えることができず、今後にも間違いなく活きると思っています。
実業団で活躍し、大学の名を全国に
――卒業後の進路や卓球のどの部分をみてほしいかなどを教えてください。
小島 岐阜県にある十六銀行に入社し、実業団リーグで引き続き卓球に励みます。当初は小学校の教師になるつもりでしたが、3年生の時に関東学生卓球選手権大会で3位になり、実業団への道が開けました。これまで多くの人に支えてもらったので、その人たちに頑張る姿を見せられるよう、また、大学の名に恥じぬように精進していきます。卓球は本人の努力しだいで格上選手にも勝利できるなど、無限の可能性を秘めた競技です。そうした部分を知ってもらい、より多くの人が卓球の世界に入ってきてほしいですね。
阿部 愛知県にある豊田自動織機に入り、実業団リーグでチャレンジする道を選びました。実業団でプレーするようになると、日本卓球リーグという大きな大会に参加できます。そこで活躍し、國學院大學の名前を全国に轟かすことができるように努力を重ねていきます。
私の場合は仕事も他の社員と同じようにあるので、仕事にも全力投球をします。東京五輪を観戦して感じたかもしれませんが、卓球は番狂わせも頻繁に起こる面白い競技です。
もっともっと多くの人が卓球を楽しんでくれれば嬉しいですね。
小林 私は2人とは違い卓球にはここで一区切りを付けます。ただ、社会人になっても同期が出場する試合には応援に駆け付けたいと思っています。
卓球は、チームとしての作戦の立て方や選手のメンタル部分が結果に影響を及ぼす面白い競技だと断言できます。卓球に関わった一人として、その辺の面白さと奥深さをぜひ多くの人に知ってほしいですね。