ARTICLE

近世の神社・神職の実態を伝える文書群

宮地直一旧蔵「羽田野神主家文書」

  • 全ての方向け
  • 文化
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

研究開発推進機構助教 吉永 博彰

2021年2月9日更新

 國學院大學所蔵の「羽田野神主家文書」は、三河国渥美郡(現・愛知県豊橋市)の羽田八幡宮・神明宮の神主を務めた羽田野家伝来の文書群である。近世後期に神主となった羽田野敬道と、その養子として文政元(1818)年に跡を継いだ敬雄ほか、関連資料を中心とする。敬雄は同八幡宮境内への文庫開設のほか、学芸方面でも精力的に活動したことで知られる。

「神道裁許状」(文政元〈1818〉年9月28日)
※無断転載を禁じます

 本資料は、神主として風折烏帽子・狩衣という装束着用の上で奉仕が許された「神道裁許状」と呼ばれる許状のほか、各種の許状、霊神号(故人の尊号)、疫病祭や病気平癒などの祭儀・祈禱の次第書などを含む。これらは近世後期~末期、京都の吉田家(吉田社の神主職および神祇官の次官職を世襲した家)より受けたものである。加えて、吉田家中とやり取りした多数の書簡や控えなども伝来しており、近世における地方の神社・神職と、全国神社・神職に大きな影響を及ぼした吉田家との交流実態を示す資料としても貴重といえる。

 本資料は令和2年度、研究開発推進機構の日本文化研究所と学術資料センターにより調査・整理が進められ、國學院大學博物館の神道展示室で行われている「江戸時代の神主家文書」(2月20日まで)で、資料の一部が展示されている。学報連載コラム「未来へつなぐ学術資産研究ノート」(第17回)

 

 

吉永 博彰

研究分野

中世・近世神道史、神社史、神社有識故実

論文

伊豆三嶋信仰の様相ー現状の把握とその成立背景ー(2023/02/28)

中世伊豆国三嶋社にみた神仏関係―僧侶の活動と神宮寺の展開を手掛かりに―(2022/09/30)

このページに対するお問い合せ先: 広報課

MENU