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子孫の夢に現れた姿を描く

「従二位兼見卿霊夢之像」写真

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研究開発推進機構 准教授 大東 敬明

2020年10月27日更新

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 この写真は、明智光秀と懇意であったことでも知られる吉田兼見(1535-1610)の肖像である。兼見(かねみ)は、神道と典籍を伝えた吉田家の当主で、室町時代後期に吉田兼俱(かねとも)によって大成された吉田神道の後継者であった。父は兼俱の孫の吉田兼右(かねみぎ)である。

 國學院大學でも教鞭をとった神道史学者・宮地直一の教え子である西田長男(昭10卒・43期道)は、昭和14年3月30日、当時、京都の吉田家の文庫にあった吉田家代々の肖像画を撮影させた。本資料は本学が所蔵する宮地直一の旧蔵資料に含まれていた写真であり、この時に撮影されたものであろう。なお、西田は戦後、本学教授となっている。

 西田長男は、「従二位兼見卿霊夢之像」の裏には、その由来を記した紙がはられていたとし、ここから、兼見の子孫の兼雄(1705-87)の夢に現れた姿を描いたものであること、右手に持っているのは、岐神(ふなとのかみ)と呼ばれる、吉田神道の行事で用いる道具であることなどがわかるとする。

 吉田家が所蔵していた代々の肖像画のうち数点は、現在、本学図書館の所蔵となっているが、兼俱・兼右・兼見の肖像画の所在は知らない。しかし、宮地直一の手元に保管されていた写真によって、その様子を知ることができる。また、現存する本肖像画の写真も多くないと思われる。学報連載コラム「未来へつなぐ学術資産研究ノート」(第14回)

 

 

研究分野

神道史、神道思想史、祭祀・祭礼

論文

神道印信類の集成と伝播―真福寺大須文庫所蔵資料にふれながら―(2023/09/00)

『神道沿革史論』以前の清原貞雄―外来信仰と神道史(2023/03/20)

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