ARTICLE

ネットコミュニケーションツール
柔軟な発想で活用しよう

「Z世代」とインターネット〈上〉

  • 在学生
  • 受験生
  • 教職員
  • 教育
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ネット教育アナリスト 尾花紀子

2020年7月1日更新

 新型コロナウイルス感染拡大の防止策として、國學院大學をはじめ多くの教育機関で、インターネットを使ったオンライン授業を展開しています。また、多くの企業が採用活動にオンライン面接を導入。新しい試みに手ごたえを感じている人が多い一方で、「ネットでの意思疎通に不安がある」といった声も社会には広がっています。

 現役学生のほとんどは、物心がついたときからネット環境が整い、会員制交流サイト(SNS)で世界とつながる日常が当たり前になっている「ジェネレーションZ(Z世代)」。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」などのシステムが急速に普及するなか、学生や教員らがネットコミュニケーションを上手に、かつ安全に使いこなす方法について、ネット教育アナリスト、尾花紀子さんに指南してもらいました。

オンラインの利点を生かした授業を

 オンライン授業を受ける学生は、スマートフォンやタブレット、パソコンなどさまざまな機器を使っているのではないでしょうか。資料を見ながら授業を受ける際には、画面が小さな機器では書かれている内容が見にくいことがありますから、必要な学生は資料を事前に印刷したり、複数の機器を連動させたりして手元に置いておきましょう。重要なことを聞き漏らさないためにも、事前準備が大切です。

 教員には、オンライン授業に臨む際に、まずルールを決めておくことをお勧めします。例えば、「発言したい人は挙手機能を使う」などです。授業の途中に数人単位で意見を集約する時間を設ける方法も、効率的です。教室の授業ではガヤガヤしてしまうことも、学生同士でラインやチャットを使って会話ができ、オンラインの利点を生かせます。

 

授業は学生と教員の協働で

 新たな取り組みに失敗はつきもの。オンライン授業では、回線切断などの物理的なトラブルだけでなく、意思疎通がうまくいかないこともあるかもしれません。そうしたとき、学生は躊躇(ちゅうちょ)せずに意見を伝えましょう。逆に教員は、デジタルの生かし方をよく知るZ世代の学生に柔軟なアイデアを求めましょう。

 教員は「教える側である自分たちが何とかしなければ」という考えを捨ててみませんか。よく分からない点、もっと良くするためのアイデアは、学生を頼りにすればよいのです。そして、提供された案が優れていれば、「認める」「褒める」「共有する」ことを忘れずに! そうすれば、学生はさらに良いアイデアを出してくれるはずです。

 こういった学生と教員の協業、協働が、社会に出る直前である学生たちの付加価値となり、学生にとっても大学にとっても価値のあるプラスの結果となって戻ってくるに違いありません。

 

就活は印象アピールの工夫を

 採用活動にオンライン面接を導入する企業が増えています。就職活動中の学生は、自宅のネット環境を安定させることが、まず必要です。難しければ、接続が安定する場所(会議スペースなど)を事前に探しておきましょう。

 自宅で面接を受けるのであれば、背景に写る範囲の確認も大切です。資格の認定証や、受賞歴があればトロフィーや賞状を(これでもか!にならない程度に)さりげなく配置しておくことも有効かもしれません。

 面接官の中には「扉を開けて入室してきたときのような第一印象が得られない」との声を上げる人もいます。カメラをのぞき込まず姿勢を正す、挨拶や話し始めのトーンを工夫するなど、第一印象としてアピールできそうなことを考えておくのも大切です。

 身振り手振りが面接官に見えるよう、自分の写る大きさやカメラのアングルなども事前に確認し、最適な設定を見つけておきましょう。

 

仲間同士にもルールとマナー

 オンラインを通じ、友人やサークルなどの仲間と会合する機会も増えたことでしょう。ですが、ここでも最低限のルールやマナーは必要です。例えば上級生であれば、後輩が抜けにくくならないよう、ある程度の時間がきたら、「またね!」「あとはよろしく!」と抜けるのがカッコイイと心得ましょう。

 また、あらかじめ終了時間を決めて開催・開始▷ビデオ参加を強要しない=音声参加もOK▷勝手なスクリーンショットや録画、録音は厳禁(必要なら事前に承諾を)-といった程度のことを参加者全員の共通認識にしておくのが理想です。

 成人学生はオンライン飲み会をすることがあるかもしれません。お酒が進むにつれ、態度が横柄になり、暴言が出てしまう可能性にも注意を払いましょう。

=続く


尾花紀子(おばな・のりこ) 昭和59年、日本アイ・ビー・エム入社。人材育成、プロバイダー事業、教育ソフト監修などを手掛け、平成17年フリーに。同時に「ネット教育アナリスト」として活動を開始。インターネット教育の専門家として、行政機関などの委員を務める傍ら、教育・PTA団体や学校からの講演依頼も多い。現在、内閣府 「青少年のインターネット利用環境実態調査 企画分析会議」 委員、総務省 「青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース」 委員、安心ネットづくり促進協議会 「普及啓発広報委員会」 副委員長など。共著に『子どもといっしょに安心インターネット』(全3巻、岩波書店)。

 

 

このページに対するお問い合せ先: 広報課

MENU