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人間が囃し踊れば、疫神がついてくる?!

横山華山筆「やすらい祭・賀茂競馬図屛風」右隻

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研究開発推進機構 准教授 大東 敬明

2019年6月20日更新

横山華山筆「やすらい祭・賀茂競馬図屛風」右隻(部分) 〔國學院大學博物館所蔵〕 ※本屛風の全体および左隻は國學院大學図書館デジタルライブラリーで公開中

 横山華山(1781/ 4~1837)は京都で活躍した絵師であり、「牛祭図」(ハーバード大学附属美術館)「祇園祭礼図巻」など、京の祭りを描いている。今回紹介する、横山華山筆「やすらい祭・賀茂競馬図屛風」(國學院大學博物館蔵)の右隻には、鉾や御幣を持つ人々、羯鼓を掛けた稚児、花で飾った風流傘、赤く長い髪(赤熊)をかぶり、鉦や太鼓で囃しながら、傘の周囲で踊る人々ほかが描かれる。これは、現在、4月第二日曜日に京都の今宮神社や玄武神社などで行われている「やすらい祭」(やすらい花とも)の様子である。

 「やすらい祭」は、疫病を流行させる神(疫神)を鎮め送るために行われるもので、屏風に描かれた姿の人々が地域をめぐり、神社や所々で鉦・太鼓・歌などで囃しながら踊る。人間が楽しそうに囃し、踊っていれば、疫神も浮かれて行列についてくると考えたのであろう。狂言の「呼声」「柿山伏」にも、太郎冠者や山伏を歌や踊りで囃して浮かれさせ、呼びだしたり、柿の木から飛ばせたりする場面がある。「やすらい祭」もこれと共通する発想で、疫神を動かそうとするのであろう。

 本資料は「横山華山」展(京都文化博物館)(会期:7/2~8/17)の後期に展示される。学報連載コラム「未来へつなぐ学術資産研究ノート」(第2回)

 

 

 

研究分野

神道史、神道思想史、祭祀・祭礼

論文

神道印信類の集成と伝播―真福寺大須文庫所蔵資料にふれながら―(2023/09/00)

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