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なぜ日本では冷たいご飯を食べるのですか?

外国人留学生から見たニッポン

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文学部教授 新谷尚紀

2015年8月24日更新

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Q.イタリアでは、冷たい食事を食べることはほとんどありませんが、日本では冷たいご飯やパスタなどを好んで食べるのはなぜですか?

A.「お弁当」文化が根強い日本

 日本で冷たい食事が受け入れられているのは、「お弁当」の文化が根強く残っているからです。 お弁当の歴史は古く、奈良・平安時代にまで遡ります。旅人や軍団兵士が行厨(こうちゅう)、屯食(とんじき)などとよばれる食事を携行する習慣がありました。『万葉集』には、有馬皇子の「家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」という歌も詠まれています。その後、江戸時代には「どんじき」といって握り飯の語として呼ばれ、江戸の町人文化の繁栄とともに、行楽や観劇、旅行の場にもお弁当が発達しました。 こうしたお弁当の文化の背景には、炊きたてのごはんの保温が難しいということが1つの要因です。「おひつ」に入れて温かさを保つ、「お茶漬け」にして食べる、などの工夫も発達はしていますが、根本的に「お弁当」として冷めた食事をおいしく食べる文化の根付いている日本では、冷めた食事への抵抗感が少なく、かえって冷たい調理方法の発生、コンビニ弁当などの普及などが進んでいるのだといえます。 img_01

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2015年8月24日付け、The Japan News掲載広告から

 

 

 

 

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