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國學院大學考古学研究室が長野県安曇野の穂高古墳群を調査する

考古学実習レポート 第1回(準備編)

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2015年8月26日更新

調査参加者の7割を占める“考古女子”の奮闘を4回にわたって紹介します。(第2回は、12月号にて報告いたします)
制作・Newton

発掘に必要な技術・知識を身につける

國學院大學考古学研究室では、毎年「考古学実習」として、全国にある遺跡の発掘調査と研究をおこなっています。参加する実習生のほとんどは、発掘調査は初めてという学生ばかり。しかも今年度は、参加者の7割が女子学生です。研究室は“考古女子”達で常に華やいでいます。いま、毎週金曜におこなわれる「考古学調査法」の授業と土曜の勉強会を通じて、8月に予定されている発掘調査のために必要な技術や知識を習得しているところです。

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國學院大學博物館前にある石棺で遺構実測の練習。千葉県佐倉市の大篠塚古墳から出土したもので、古墳時代後期(6世紀)のものと考えられている。

技術面は、調査につかう機材の使用方法やその仕組み、そして記録として残す図面の作成方法を覚え、練習をします。測量機器の操作、平板測量、遺物実測のやり方と平面図のつくり方のほか、正式な記録として残せるような写真撮影の技術も学びます。

「数百年、数千年ものあいだ土中に埋もれていた過去の人々の遺物に直接触れるのは少し緊張します。でも、やっぱり期待の方が大きいですね」、と考古女子。

調査するのは穂高古墳群F9号墳

今回調査するのは長野県安曇野市の穂高古墳群にあるF9号墳です。縄文王国として有名な長野県には、優れた古墳文化もありました。穂高古墳群のある松本平には350基近くの古墳が確認されており、F9号墳もその1つ。

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穂高古墳群F9号墳。

6世紀後半につくられた横穴式石室をもつ円墳です。國學院大學考古学研究室は2009年から毎年調査を実施してきました。これまで、石室(長さ約7m、幅約1.3?1.5m)の東壁と西壁、奥壁の石組みを確認し、土師器・須恵器・直刀・水晶製切子玉などが出土しています。

実習生を引率する深澤太郎准教授はこう語っています。

「さらなる調査で古墳時代の人々の生活や考え、この地域の歴史がわかる可能性があります。また、土中からは現在に至る様々な時代の遺物も出土します。そうした、古墳時代から現在まで、この土地が歩んできた歴史、ライフヒストリーもまとめてみたいと考えています」

深澤先生もかつては実習生でした。

「実際の調査は講義とは違って、応用問題だらけです。学生たちにはこの実習でよい経験を積んで欲しいと思います」

彼女らは何を見つけ、どんな経験をするのでしょう。その様子は改めてお届けしますので、お楽しみに。

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平板測量の練習風景。現地ではトータルステーションをつかうが、測量の考え方を学ぶ。

「穂高古墳群」見学会のご案内

國學院大學考古学研究室の教員と学生らによる発掘調査は8月26日(水)~9月3日(木)の期間、国営アルプスあづみの公園の水辺の休憩所北側「F9号墳」で行われます。古墳見学と古墳調査結果の解説を現地で実施します。

開催日:9月2日(水)10時30分集合 11時30分解散 小雨決行
集合場所:公園内水辺の休憩場北側「F9号墳」
定員:60名程度(幼児は保護者同伴)
参加費:無料(※別途入園料必要)
参加方法:当日受付

 

 

 

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