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特別講座「渋谷学」 第3回「戦後の渋谷の行政制度」が開催されました(令和7(2025)年10月29日)

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2025年10月29日更新

 令和7(2025)年10月29日、國學院大學渋谷キャンパスにて、エクステンションセンター主催の特別講座「渋谷学」の第3回目が開催されました。今回は、法学部の稲垣浩教授が「戦後の渋谷の行政制度」と題し、行政組織、公務員制度、および政策を専門とする視点から講演を行いました。

 講演は、東京の特別区が他の政令指定都市の行政区と異なり、独立した地方公共団体として成立した歴史的背景から始まりました。戦時中の東京府・東京市統合の経緯から、戦後の自治権確立に至るまでの複雑な変遷を詳細に解説。

 特に、都と区の役割分担に焦点が当てられました。水道、消防、広域的なごみ処理など、一体的な事務を都が担い、財政面では「特別区財政調整交付金制度」によってサービス水準の均一化が図られている仕組みを説明。その中で、税収が多く交付金を受け取らない区の一つである渋谷区の事例を紹介しました。

 また、区の自治権確立の歴史にも触れ、昭和49(1974)年の区長公選制実現や、清掃事業の区への移譲といった重要な節目を解説。現代の課題として、児童相談所の設置・運営を取り上げ、渋谷区が都のサテライトオフィスと連携し、地域の実情に合わせた独自のケア体制を構築している最新の取り組みが報告されました。

 稲垣教授は結びに、今後の特別区制度は、人口減少・高齢化の進展を踏まえ、「都と区の権限争い」から脱却し、「23区全体で最も適切な行政サービスを提供できるか」という視点での全体最適化が不可欠であると提言し、講演を締めくくりました。

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