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神道文化学部 第8回観月祭 開催報告

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2017年11月29日更新

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 平成29年10月21日(土)に第8回目の國學院大學観月祭がおこなわれました。

 観月祭とは、供物を献じて十五夜の満月を鑑賞する「中秋観月」に由来する行事で、國學院大學では平成22年から、毎年10月に斎行されてきました。祭儀は、神前に誠を捧げたのち、楽器の音色を楽しむ「管絃(かんげん)」と、神を和めるための「祭祀舞(さいしまい)」、古来から伝わる「舞楽(ぶがく)」が順に演じられます。当日の晴れの舞台まで、数か月間の稽古と周到な準備が伴いますが、多くの神道文化学部の学生が積極的に参加しています。

 当日は、あいにくの雨でしたが、ホームカミングデー当日ということもあり、大勢の方に楽しんでいただきました。

 まずは観月祭ということで、献供(けんく)がおこなわれます。

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 観月祭の「祭祀」という面については、神道文化学部の茂木貞純教授のコメントを以て紹介します。

観月祭を始めて今回で8回目となりました。五号館の広場に舞台を移してから3回目です。今年は、8月に長雨が続き、10月も雨の日が多く、天候不順を象徴するように10月21日の観月祭当日も大振りの雨でした。しかし、恒例通りススキを飾り、芋や栗、団子を供えて、月見行事を行い、高欄を廻らした舞台で、管絃、神楽舞、舞楽を楽しみました。古の都人が楽しんだように、雅やかな光景を再現できました。雨にも関わらず650人もの方々が見守り、王朝の彩に感動していただいたと思います。月見行事には、自然の恵みに感謝する収穫儀礼が生きています。夜空に浮かんだ澄んだ月影に手を合わせ、野山に実る畑作物、木の実の有難さ豊かさに感謝したいと思います。」(神道文化学部 教授 茂木貞純)

 そして、いよいよ管弦が始まります。今年の観月祭の演目は次の通りです。

  管弦  双調音取(そうじょうねとり)

      武徳楽(ぶとくらく)

      陵王(りょうおう)

  祭祀舞 朝日舞(あさひまい)

      浦安の舞(うらやすのまい)

  舞楽  振鉾(えんぶ)

      左舞 迦陵頻(かりょうびん)

      右舞 抜頭(ばとう)

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 時雨れる秋の夕暮れのなか、管弦の調べが静かに響き渡ります。徐々に音色は力強さを増していき、それに会場の聴衆も引き込まれていくようでした。古来異国より伝来した音楽が、永い年月をかけて、日本人の心に溶け込んでいった様子を垣間見たようでした。管弦を担当した学生のコメントを紹介したいと思います。

今年の観月祭は、私にとって、演者として最後の観月祭でした。1年生のころから楽人として観月祭に参加させていただきましたが、今年の観月祭が今までで一番の出来だったと感じました。本番までの稽古は、決して楽しいことばかりではなく辛いこともありました。自分たちの技術面や精神面の未熟さを感じたりもしました。しかし、そんな稽古を乗り越えて、本番では満足のいく演奏ができました。今後も國學院大學の観月祭が素晴らしい行事として後輩たちにも受け継がれていくことを願っています。」(三年生 女子)

今回出演させていただいた観月祭では、楽人としてだけではなく、本番に向けて、舞人とも相談しながら練習や準備を進める役目を担いました。これは大変に貴重な経験となりました。また、奏楽の先生方や大学の方々のご協力もあって、過去のどの年にも劣ることのない素晴らしい観月祭になったと思います。そのような演奏会に伶人として出演できたことは、とても誇らしく思います。」(三年生 男子)

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 管弦の次は祭祀舞です。祭祀舞は「神を和(なご)める舞」と称されるように、神をも和めるその優雅さに心を奪われるようでした。その優美さは学生たちの見えない努力の賜物であり、演じた学生は次のようなコメントを残しています。

今回の観月祭は、私にとって最後の観月祭となりましたが、「浦安の舞」の舞人として参加することができました。浦安の舞は美しく優美な舞ですが、練習は厳しく、苦しいときもありました。しかし、本番の舞台で味わった高揚感や感動は、今でも忘れることができません。学部や学年を越えて皆で作り上げた観月祭の経験は、私にとって一生の宝物です。熱心にご指導下さった先生方、一緒に頑張り助け合った舞のメンバー、そして観月祭を支えて下さった多くの方々に、深く感謝申し上げます。」(四年生 女子)

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 次は、古来大陸から伝来した舞楽が奉納されます。雅楽特有の調べに乗せて、振舞・迦陵頻・抜頭が次々に舞われていきます。迦陵頻の優雅な舞と抜頭の激しい舞を以て、会場の盛り上がりは最高潮に達しました。舞楽の先陣をきって振舞を演じた学生は、観月祭を振り返って次のようにコメントしてくれました。

第8回目の観月祭は、私にとっては三度目の観月祭でした。今回は舞楽の振鉾の舞人をつとめました。振鉾には、舞楽が始まるにあたり舞台を清める意味があります。一年生で観月祭に初めて参加したとき、舞楽が始まる前の雰囲気を作り出す振鉾の舞に魅了され、いつか自分も振鉾の舞人として舞台に立ちたいと望んでいました。振鉾は短い演目のため、舞人の動作と伶人の演奏がズレてしまうと、それがとても目立ってしまいます。稽古を重ねていく中では、本番に対する不安もありました。しかし、本番、舞台に向かう道行で伶人の仲間たちを前にすると、その不安も無くなりました。このとき堂々と舞おうと思えたのは、今まで共に稽古に励んできた仲間たちを信頼できたからでした。観月祭を終えたばかりですが、すでに来年はどうなるのか楽しみです。日々の稽古と本番の緊張感の先に待つ達成感を、後輩たちにも是非味わってもらいたいと思います。」(三年 男子)

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 また、観月祭のような行事では、さまざまな事前準備や当日の裏方的仕事が必要となります。そうした仕事を担当してくれた学生も沢山いました。観月祭とは、演じるのも学生ですが、準備や裏方的仕事も学生が担うという大学ならではの行事です。さらに、祭祀舞や舞楽の装束の着装も学生が担当するなど、学生の力で作り上げる観月祭は、さまざまな環境が整っている國學院大學ならではの行事と言えるでしょう。裏方ではあっても、学生たちは次のコメントにもあるとおり、誇りをもって参加してくれました。

平成29年10月21日(土)、第8回観月祭が5号館ピロティで盛大におこなわれました。あいにくの雨模様でしたが、それを感じさせないくらい、学生全員がやる気に満ちていました。私は、観月祭の準備を担う斎庭(ゆにわ)係の統括を拝命し、舞人や楽人たちが最高の舞台を作り上げるため、仲間を率いて仕事をおこないました。昨年までの観月祭に協力した経験から、事前の説明・連絡・練習が課題であると考えていました。観月祭前日まで仲間と緊密な計画を練ったことが、当日の成功につながったのだと思います。最後になりますが、大学の教職員をはじめ演者・祭員・斎庭係のみなさんに御礼を申し上げ、結びの言葉とさせていただきます。」(四年生 男子)

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今年の観月祭では、私は所役のリーダーを務めさせていただきました。人の上に立つことに慣れていないこともあり、いろいろ苦労することも多かったですが、仲間やOB・OG、先生方に支えられ、勤め上げることができました。打ち合わせを数多くおこなうことで、当日は大きな混乱が起きることなく、無事終わらせることができました。今回の観月祭で、祭りには協力が必要だということを学びました。私は、國學院大學は「祭の大学」だと思っています。毎月大学の神殿でおこなわれる月次祭をはじめ、神道文化学部が中心になっておこなう観月祭や成人加冠式、大学祭でサークルがおこなう若木祭神輿渡御など、さまざまな祭りがあります。直近では、成人加冠式があります。前日の準備、当日の進行、後片付けなど、さまざまな仕事がありますが、皆で協力し、成人を迎える後輩たちのため、立派な式にしたいと思います。最後になりましたが、観月祭の成功に力を貸してくださった皆様に心より御礼申し上げます。」(三年 男子)

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私は、第8回目の観月祭で、主に迦陵頻の着装をさせていただきました。迦陵頻については、写真などでしか見たことがありませんでしたが、今回の観月祭は、本物の迦陵頻の衣裳に触れ、その仕組みを知る貴重な機会となりました。また、迦陵頻が舞われているときに問題点を発見し、着装を改善していく先輩方をみて、学ぶことが多くありました。さらに、観月祭には多くの人が参加しているため、さまざまな方と交流することができました。今回は先輩からの指示を受けて動くことしか出来ませんでしたが、今後の行事では自ら考えて行動できるよう、練習に取り組んでいきたいと思います。」(二年 女子)

 観月祭の稽古は、すでに五月からおこなわれていました。およそ半年間、学生たちは本当に頑張って稽古に取り組んだと思いますし、その成果を発揮できたと思います。当日の聴衆の方々も、雅楽の音色に加え、そうした学生の意気を感じていただいたのではないでしょうか。

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 それでは、結びに神道文化学部長の武田教授のコメントを以て今年度の観月祭の総括としたいと思います。

去る10月21日、第8回目の観月祭当日は、あいにくの雨模様でした。けれども、学生諸君の士気はかえって高まりました。「冷たい雨の中だからこそ、「最高の観月祭」を!」夕暮れ時を迎え、いよいよ始まった観月祭。学生諸君の思いが、舞台上で赤々と燃え上がりました。半年間の成果の、ただ一度だけの披露。その「一期一会」の舞台に、観月祭の神様が、確かに降りてきてくださったのではないでしょうか。終演後、ご来場の方々から沢山のお声がけをいただきました。「学生さんとは到底思えないクオリティの高さ、凛々しい美しさ、裏方さんたちの暖かいおもてなし…。これが國學院なんですね」と。学生諸君が総力を結集した観月祭。此度も「國學院の底力」が、全面的に発揮されるに至りました。お力添えいただいたすべての皆様方に、衷心より御礼申し上げます。」(神道文化学部長 武田秀章)

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写真:増山正義/文(協力):丸山美香・中川航平・若林なる美・安蒜弘武・堀口佑介・渡邉純弥・岡部裕眞(掲載順)

協力(サークル):青葉雅楽会・みすゞ会・瑞玉會・萠黄会・禮法研究會・若木睦(あいうえお順)

このページに対するお問い合せ先: 神道文化学部

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