NEWS

第7回観月祭 舞人の所感 その2

  • 神道文化学部
  • 在学生
  • 受験生
  • 卒業生
  • 企業・一般
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

神道文化学部長 武田秀章

2017年1月17日更新

挑戦することの大切さ(神道文化学部3年 川元さん)

28_m_i_a_02_01

私にとって三度目の観月祭で、左舞を舞わせて頂きました。賀殿急(かてんのきゅう)の六人舞です。
背の高い男性の先輩たちの中で、女性は私一人だけでした。
私が左舞を希望したきっかけは、数年前、同じく男性の中で、たった一人で舞われた女性の先輩の一言でした。
「今度はあなたが舞ってね」
その言葉を胸に刻み、男性たちに負ないよう、猛々しく舞うことを心がけました。

28神文卒業生訪問07

先輩「『後輩たちの観月祭』を見にきました!」

私が舞った左舞は、例年男性の希望者が多い舞です。その一方、右舞の希望者は、女性が中心です。
私が左舞に希望を出した時、仲間たちから「何かの間違いだろう」と思われてしまいました。
けれども私の意思は揺るぎませんでした。

28_m_i_a_02_03

希望者の中には、四年生の経験豊かな先輩たちがいました。
その中で、自分がどこまで追いつけるのか、ハンデを乗り越えてどこまで一緒に舞えるのか、必死で研究し、工夫しました。

28_m_i_a_02_04

おかげさまで舞人として選ばれた時は、とても感激しました。一緒に稽古してきた仲間たちと一緒に舞えるということも、大きな喜びになりました。
雅楽の良さは、合奏のチームワークにあります。
同様に舞楽も、私達舞人だけでは成り立ちません。
曲を演奏して下さる楽人たちはもちろん、装束をつけて下さる衣紋方、運営を担う裏方の人たち…。そうした方々の支えがあるからこそ、私たちは舞台で存分に舞うことができるのです。

28_m_i_a_02_05

舞楽は、一人ひとりが自己主張して舞う舞ではありません。
今回は六人で舞いましたが、この六人が心を合わせ、同じ動きをすることが「舞の命」です。
楽人も舞人も一つになって、大きなものを作り上げていきます。
その「一体感のハーモニー」を醸し出すのが「私たちの観月祭」なのだと思っています。
私は先輩から「挑戦することの大切さ」を教えていただきました。その精神を、今度は私が後輩に伝えていく番です。
来年は私にとって最後の観月祭になります。
皆で一つになるあの素晴らしい経験を、後輩たちにぜひとも繋げていきたいものと願っています。

 

自分の成長が実感できました(法学部3年 熊井戸さん)

28_m_i_a_02_06

「雅楽では、それぞれの専攻する吹きものは勿論、打ちものや弾きものも習い、その拍子や音律についても幅広く学ばなければなりません」
常々先生から、このように教えられてきました。加えて雅楽には歌や舞などもあります。
今回は、今まで触れることがなかった舞に挑戦しようと決意しました。

28_m_i_a_02_07

舞には、左舞と右舞があります。私は旋律に合わせて舞う左舞に心を惹かれました。
初期の稽古では、手足の動きや姿勢、間の取り方などの基本を教わりました。私は身体の動きが歪で、慣れるまでに時間がかかりました。

28_m_i_a_02_08

稽古の中盤頃は、自分の事に必死で、独り協調性に欠ける動きをしていたのではないかと反省しています。
先生や先輩の動きをよく観察し、合わせることを意識して稽古を続けました。
しかし頭では分かっていても、身体が思うように動きません。思い通りに行かない稽古はとても苦しいものでした。
そして迎えた当日。装束を着装し、「もうやるしかない」と覚悟を決めて舞台に出た時、始めて心身ともに解き放たれました。
本番では、舞人伶人共々、全員が一体となれたような感覚がありました。

28_m_i_a_02_09

どんなに努力しても、到底先生方のような舞は出来ません。
それでも先生方の仰る「学生らしい舞楽」というものを、未熟ながらも、ある意味で成し得たのではないかと感じています。
このような経験を経て、また一つ自分の成長が実感できました。
この素晴らしい機会を与えてくださった先生方を始め、全ての関係者の皆様方に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

良き仲間に出会えました(神道文化学部4年 山崎さん)

28_m_i_a_02_10

今回の観月祭で、私は賀殿急の一臈をつとめました。
舞で舞台に立ったことは何度かありましたが、六人舞は初めてです。
平舞は四人で舞うのが定石です、六人舞ともなると、他の舞人と合わせるために留意すべき点が多くなります。
舞っている最中も、色々な事を考える必要がありました。

28_m_i_a_02_11

舞台の上では、それまでの経験や技術などは関係ありません。
平舞における基本、「見える人に合わせる」、その当たり前の事を実行するのがいかに難しいか、稽古の中で痛感する日々でした。

28_m_i_a_02_12

観月祭の当日はやはり緊張していました。
何度も舞台を経験しているはずなのに、本番前のあの雰囲気にはどうにも馴染めません。
本番で自分がどのように舞ったのかすらも、よく覚えていません。
けれども本番が終わって動画を見返した時、この上ない達成感と共に、一緒に舞った仲間への感謝の思いが込み上げてきました。

28_m_i_a_02_13

この仲間たちと雅楽をするのは最後だと思うと、とても寂しい気持ちになりました。良き仲間に出会えたことは、私の誇りです。
皆で一緒に楽と舞に打ち込んだ日々を、私は決して忘れることはないでしょう 。

 

観月祭で自らを磨く(神道文化学部4年 工藤さん)

28_m_i_a_02_14

今回の観月祭では、志願者全員が一致協力して稽古に当たったこともあって、左舞賀殿急を、六人舞で舞わせていただくことが叶いました。
けれども、六人という大人数で舞を合わせるのは、とても難儀なことでした。先生の熱心なご指導のもと、可能な限りの数をこなしました。
おかげさまで本番では、全員一体となって、のびのびと舞うことができたと思います。

28_m_i_a_02_15

四年生の私にとって、今回の観月祭が最後の観月祭となりました。
一年次以来、観月から実に多くのことを学ばせていただきました。この貴重な経験を、奉職後、しっかりと活かしていきたいものと願っています。 
思えば観月祭は、とても大きな行事となりました。後輩の皆さん、観月祭を通じてどうか自らを磨いてください。
本学ならではの観月祭が、末永く受け継がれていくことを、心から願っています。

28_m_i_a_02_16

懇切なご指導をいただいた先生方、一緒に舞った仲間たち、うしろからしっかりと支えてくれた裏方の皆さん、両親をはじめ遠方から観覧に来てくださった多くの方々…。ご縁をいただいた皆様方に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

28_m_i_a_02_17

 

武田秀章学部長より

28_m_i_a_02_18

前回の観月祭。左舞は四人舞でした。
今回の観月祭で、左舞は六人舞で舞われたのです。
四重奏から六重奏へ。
前回の四人舞は、室内楽のような緊密さがありました。
これに対して今回の六人舞は、どこかオーケストラのような厚みと広がりを感じさせました。
観月祭の大トリとして、まさに総出のグランフィナーレというにふさわしい盛り上がりが齎されたのです。
ここに至る厳しい稽古の日々は、まことに並大抵のものではありませんでした。そのことは、各々のメッセージで具に語られています。
学生諸君の不屈のチャレンジを、あらためて心から労いたいと思います。

(写真 神道文化学部教員・学生有志)

このページに対するお問い合せ先: 神道文化学部

MENU