「個性」と組織の「カルチャー」が
なぜイノベーションにつながるのか
渋谷対談!Vol20 トップが語る Vision & Mission『國學院大學×ログリー株式会社』
2018年10月29日更新
渋谷に本拠地を置く國學院大學の赤井益久学長とログリーの吉永浩和社長が対談。136年の歴史を持つ國學院大學と、今年6月に上場したインターネット広告を手掛けるログリー。両リーダーが、組織における「個性」と「カルチャー」の重要性を説く。
プロフィール | |
赤井益久(あかいますひさ) |
吉永浩和(よしながひろかず) |
國學院大學 学長 |
ログリー株式会社 代表取締役社長 |
1950年生まれ。 國學院大學大学院文学研究科博士課程を経て、1996年より同文学部教授。2011年に学長に就任。 |
1977年生まれ。 早稲田大学大学院博士課程修了。2006年にログリーを設立。今年6月、東証マザーズ市場に新規上場。 |
なぜ多様性があるほどイノベーションが起きるのか
赤井 株式上場おめでとうございます。渋谷は多様な人や組織が集い、イノベーションを生み出す街。そこから、御社のような力強い企業が飛躍することをうれしく思います。
吉永 ありがとうございます。私たちはウェブ広告のプラットフォーム事業を主に行っていますが、中途社員のキャリアを見ると、異業種の出身者がほとんど。弊社が成長できた背景にも「多様性」があったのかもしれません。その多様性こそがイノベーションにつながると考えています。
赤井 同感です。多様な集まりであるほど、その中で生まれるイノベーションのエネルギーは強くなるはず。たとえるなら車輪のスポークでしょうか。さまざまな角度から中心に向かってスポークが伸びていますよね。あれがイノベーションの理想的な構造かもしれません。多様な人がいろんな方面から中心に向かう。スポークの本数が多くなればなるほど車輪は強くなり、どんな道でも走ることができるようになります。そういった組織には、大きな力が生まれるのではないでしょうか。
個性豊かな集まりを調和する そのための「カルチャー」
吉永 だからこそ、社員の個性を育むことも重要です。特に新卒社員の場合、まだ自分の個性を明確に持っていないケースもあります。そのとき弊社では、1人1人の個性や「その人にしかできないこと」の候補を探して提示します。加えて、そこにチャレンジすることを後押しする。これを繰り返すうちに「この人ならこの分野が得意」という個性が確立されていくことがあります。
赤井 一方、多様な個性を集めた上で、それをどうまとめるか。これも組織のリーダーの責務です。本学のミッションのひとつに「個性と共生の調和」がありますが、組織や社会は多様な個が集まり、共生することで形成されます。決して相反するものではありません。だからこそ、うまく「調和」することが重要です。

赤井学長は「個性や違いを相互に受けることで新しいものが創造される」と話す。
吉永 その意味では、組織のカルチャーがカギになると考えています。なぜなら、スキルやキャリアが多様な集まりでも、「この会社のこういうカルチャーが好き」という軸を持つことで、ひとつにまとまり同じ方向に向かえると思うからです。
強い組織カルチャーは人工で作ろうとしてはいけない
赤井 確かにそうですね。大きい組織になるとカルチャーの浸透には時間もかかりますが、大切なのは、何度も浸透させる機会をつくること。本学は、中期計画を定めておりますが、その内容を繰り返し教職員に伝え浸透させることもトップの役目だと思っています。
吉永 採用においても、最近は応募者が私たちのカルチャーとマッチするかを確認しています。面白かったのは、カルチャー重視の採用をしてから、先輩や同僚社員と「一緒に働くこと」にモチベーションを感じる社員が増えたことです。カルチャーが人と人をつなげている例かと思います。

「人材採用では、スキルと同様にカルチャーマッチングを重視する」と吉永氏。
赤井 面白いですね。組織カルチャーをつくる上で私が気をつけていることは、ゴールに幅を持たせることです。カルチャーは自然発生的な面もあります。種を蒔いて育てた結果、期待通りのカルチャーができるとは限りません。でもそれを尊重すべき。ある程度自然に、ある程度人工的に。そこで生まれるカルチャーこそ、組織をひとつにまとめる強いものだと思うのです。

ログリーの全社員総会は、カルチャー共有の場としても機能している。