令和8(2026)年2月16日、渋谷キャンパス常磐松ホールにて、本学研究開発推進機構研究開発推進センターおよび「古典文化学」の創出研究事業の主催による公開研究会「祭りと男と女」が開催され、古典に関心を寄せる50名以上の参加者が聴講しました。
冒頭、「古典文化学」の創出研究事業の代表者、谷口雅博・ 文学部教授があいさつし、「「祭り」と文学との関係は深く、祭祀空間で生み出されるエネルギーや高揚感、日常からの逸脱が多様な表現や文化を生み出す原動力だと考える。今回の研究会において「祭り」の場の「熱狂」の中から何が生み出され、「祭り」の場と表現がどのように結びつくのか、それぞれの知見を拝聴したい」と述べました。
続いて3名の研究者が登壇し、それぞれが専門とする時代の文学と祭りの関係性について講演しました。まず大石泰夫・文学教授が「「祭り」でうまれる歌」と題し、「祭り」の場における男女の交流からうまれた歌が物語の文脈に取り込まれる様相を考察し、また「祭りの三部構成」について言及しながら、人々が集う祭祀空間を宴、エンターテイメントの場として捉え直す視点を提示しました。
次に二松学舎大学文学部教授の原由来恵氏が「可視化された祭〜「車争ひ」を中心に〜」と題し、源氏物語の「車争ひ」の舞台となる「賀茂祭(葵祭)」が物語の重要な転換点となることを指摘し、特に「車争ひ」が清浄な儀式での事件であることから、悲劇的な物語へと移行する装置として機能していると述べました。
最後に関西学院大学文学部教授の森田雅也氏が「『好色一代男』と大原ざこ寝〜西鶴の描く恋の二道〜」と題し、近世の経済や社会構造の変遷を背景に神聖な「祭り」が民間の娯楽的な営みとなる中で、文学に取り込まれることで、出版事業の発展の影響を受けて広く伝播する様子を、複数の事例から解説しました。

講演後、渡邉卓・研究開発推進機構准教授の進行のもと、登壇者による鼎談が行われ、「祭り」を宗教儀式としてだけではなく、人々が集うエンターテイメントの場として捉え直すことの必要性についての議論がなされました。
