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役目を終える「熊手」の行方

五感体感、日本。~留学生の日本フィールドワーク~

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文学部教授 小川 直之

2016年12月13日更新

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國學院大學で学ぶ留学生たちは、花園神社(新宿区)で行われる酉の市を訪れました。そこで生じた留学生の疑問に、本学教員が回答します。

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Q.酉の市では、古い熊手を回収していましたが、それはなぜですか。回収された熊手はその後どうなるのでしょうか。

A.古い熊手は燃やすことで、神聖な状態で役目を終えます。

 酉の市というのは、毎年11月の、十二支の酉の日にオオトリ神社で開かれる市のことです。オオトリ神社は大阪府堺市に鎮座する大鳥神社が本社といわれていますが、この神社の表記は「大鳥」のほか、「鷲」「大鷲」とも書いて各地にまつられています。ただし、長い歴史をもつ「酉の市」は東京都とその周辺のオオトリ神社で、台東区浅草の酉の市は特に有名です。

 この市は1700年代前半から始まり、江戸の町では、1700年代後半には多くの人出がありました。11月は、農村では稲の収穫祭の時期で、これに倣って江戸では一年の繁盛に感謝し、これからの一年の商売繁盛や開運招福を願って「熊手」を求めました。この風習は現在も続き、富と福をかたどった飾りを取り付けた「熊手」は、この姿のように富と福を集め、繁盛することを表現しています。

 前年の「熊手」は神社などに納め、新しいものを求めるのが習わしとなっています。これは新たな「熊手」によって、富と福を集める力を更新するためで、さらなる繁盛を願って前年より大きな「熊手」を求めます。収められた「熊手」は、「お焚き上げ」といって集めて燃やされます。このことは神社の御札も同じで、燃やすことで聖なる状態のまま役目を終わらせるためといわれています。

 

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2016年12月13日付け、The Japan News掲載広告から

 

 

 

 

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