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古事記は誰のために作られたもの?
―古事記の成り立ちを知る―

古事記の不思議を探る

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文学部教授 谷口 雅博

2018年8月24日更新

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 日本最古の書物『古事記』。世界のはじまりから神様の出現、皇位の継承まで、日本の成り立ちがドラマチックに描かれています。それぞれの印象的なエピソードには今日でも解明されていない「不思議」がたくさん潜んでいます。その1つ1つを探ることで、日本の信仰や文化のはじまりについて考えていきます。

 

japannews20180820

出雲大社の大国主命像~後に神の世界から国譲りを受け、日本の国造りを担う大国主

 『古事記』は日本に現存する最古の書物(作品)です。序文と上・中・下の3巻からなり、世界のはじまりから神々の出現、そして天皇家の皇位継承の様子が描かれています。序文には『古事記』の成立過程が記されています。それによると、『古事記』はまず天武天皇(在位673~686)の意志によって作成がはじまり、約30年後の元明天皇(在位707~715)在世中の712年に太安万侶(?生~723没)が完成したといいます。

 では『古事記』は何のために作られたのでしょうか?同時期に成立をした歴史書『日本書紀』と比較をしてみましょう。

 『日本書紀』は中国の歴史書に倣って、日本でも本格的な歴史書を作ろうという動きの中で作られたものです。そのため、中国でも読めるものを意図して、漢文体で、時系列順に記録されています。『日本書紀』は成立の翌年から宮中において読書会が行われた記録があり、中央政府の官人が勉強目的で読んでいたことがうかがえます。

 一方で『古事記』はどうでしょうか。『古事記』は、日本の古語を書き記すために、崩れた漢文体を用い、国内向けの文章で書かれています。内容は、神々の世界から各天皇の時代の出来事を描く点では『日本書紀』と変わらないのですが、登場する神々や人々が個性豊かに描かれ、それぞれの物語がドラマチックに描かれています。そのため皇后の娯楽用、または皇子の教育用に作られたという見方があります。完成後に広く読まれた形跡がないのも、宮中内部の私的な文書であったからとも言われます。しかし一方で、氏族系譜に対してこだわりを見せているところから、天皇家と各氏族との関係性を明示し、天皇中心の国家体制を確立するために作られたという見方等もあります。

 いずれにしても、国の正史と位置づけられる『日本書紀』と比較すると、『古事記』は成立の意図や性格など、謎に包まれた部分が多くあり、それが逆に魅力となって読み継がれているのでしょう。

~國學院大學は平成28年度文部科学省私立大学研究ブランディング事業に「『古事記学』の推進拠点形成」として選定されています。~

 

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2018年8月20日付け、The Japan News掲載広告から

 

このページに対するお問い合せ先: 総合企画部広報課

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