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英語を話せるかより、英語で何を伝えるか

留学で得た「主体性」と「母国を学ぶ大切さ」

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萩原彬博さん(法4)、尾崎芽生さん(日文3)、石山昭彦・国際交流事務部次長兼国際交流課長

2018年8月24日更新

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 「外国語力を磨きたい」「異国の文化を学びたい」「海外で専攻分野を勉強して単位認定を受けたい」「外国で職業体験をしたい」…。世界へ飛び立つ留学を希望する國學院大学の学生の目的は多岐にわたる。セメスター留学と協定留学に参加した萩原彬博さん(法4)と春期短期留学に参加した尾崎芽生さん(日文3)、留学に意欲のある学生を支援する石山昭彦・国際交流事務部次長兼国際交流課長を加えた3人に、留学を通じた学びや自身の変化について話してもらった。

現地の学部生や他国からの留学生と一緒に学ぶ

――留学に挑戦しようと思ったきっかけは何でしたか。
尾崎さん(以下、尾崎) 保護者向けに送付されてきたパンフレットで留学に興味がわき、国際交流課へ相談に行き、決意しました。
萩原さん(以下、萩原) 高校の修学旅行で台湾へ行ったときに英語が通じなかったことがすごく悔しくて…。大学入学前から、留学してしっかり勉強したいと思っていました。
――留学先ではどのような勉強をしていましたか。
萩原 留学先はカナダのマニトバ大学でした。3年前の9~12月に参加したセメスター留学(4カ月間の英語集中プログラム)は、留学生向けに英文法などを扱うディベート形式の授業を、昨年9月から今年4月にかけての協定留学は、現地の学部生と一緒にマクロ経済などの専門的な授業をそれぞれ受けました。
尾崎 今年の3月、春休みを利用して短期留学に行きました。マレーシアのアジアパシフィックテクノロジー&イノベーション大学で、他国からの留学生たちと一緒に英語を基礎から学ぶ授業を受けました。

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チャレンジが貴重な経験に

――それぞれ、行き先や期間が異なる留学でしたが、海外での学生生活を通じての気付きや変化を教えてください。
萩原 1度目の留学では、コミュニケーション能力が格段に上がったと思います。帰国後、友人からも「外国人っぽくなったね」と言われました。カナダでは人と人の距離がすごく近いと感じ、自分もそうなりたいと思って生活していたので、うれしい言葉でした。2度目の留学は授業のレベルも内容も格段に上がったので最初は苦労しましたが、慣れてからは学生生活を純粋に楽しむことができました。ルームメイトがスウェーデン人で、彼ともとても仲良くなりました。
留学中に就職活動が始まったのでとても忙しい時期を過ごしましたが、チャレンジ精神が身についたと感じています。「とりあえずやってみよう」「やってみれば何とかなる」という気持ちで取り組めるようになり、行動力や対処能力が向上しました。
尾崎 私も「せっかく留学に来たのだから、いつもと違うことをやってみよう」という気持ちでさまざまなことに取り組み、チャレンジ精神が身につきました。留学先でエッセーのコンペがあったのですが、留学前の自分だったら、希望して参加することはありませんでした。でも、勇気を出して参加してみたら、1位を取ることができて、とてもうれしかったです。挑戦すれば成果が得られるということを学べる経験になりました。
――日本を学ぶことに重きを置く國學院大学の学生として、海外での学びはありましたか。
尾崎 日本文学科で日本の歴史や風習、文学について勉強してきたので、日本について海外の人に伝えたいという思いがありました。留学先では、他の日本人学生が交流の道具にしようと持ってきていた折り紙を見て、「マレーシアにも、日本の子どもなら誰もが経験したことがある折り紙のような遊びがあるのだろうか」という疑問がわきました。現地の教員に質問したところ、多民族国家という特性からなのか、マレーシアには共通した伝統的な遊びはないそうで、「折り紙は日本特有の伝統かもね」との答えでしたが、こうした疑問も國學院で民俗学の勉強もしていたからこそ生まれたのではないかと感じています。
石山次長(以下、石山) 本学は日本の歴史や文化を扱う授業が多いです。加えて、留学してくる外国人学生と交流するプログラムなどもあり、先日は歌舞伎鑑賞に出かけました。外国人留学生と一緒に体験することで、国際交流はもちろん、日本の文化・歴史に対する新しい発見をする機会になると思います。

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英語を使って〝日本〟を発信

――留学の経験を今後、どのように生かしていきたいですか。
萩原 私はセメント業界で最大手の太平洋セメントから内定をいただいたのですが、留学したからこそ、やりたいことが見えました。海外生活では、インフラが整っておらず不便を感じる一方、世界各地から集まっている学生たちが日本企業の名前を知っているので、日本の技術力の高さを改めて実感しました。日本の高度な技術をもっと世界に広めるために、BtoB(企業間取引)の企業で働きたいと考えて就活をしたので、入社後は留学で培った語学力と行動力を生かしたいですね。
尾崎 留学から帰国して渋谷の和食屋さんでアルバイトを始めたのですが、土地柄もあり、海外からのお客さんがとても多いです。日本の食事を英語で紹介できるというのは、國大生としての強みと留学で得た英語力の両方を生かせている感じがして、うれしいです。日本人として、母国のことをしっかり学ぶことの大切さは、留学を経験して改めて気づかされました。
――2人とも、英語を使って、自分の知識や経験、考えを伝えていきたいという目標ができたのですね。
尾崎 英語は言語でしかありません。さまざまな国の人がいる環境で、共通言語として英語があればコミュニケーションは非常に円滑になりますが、話す内容がなければ役に立ちませんし、自分の武器にもできません。私は日本文学について勉強していますし、アルバイト先で和食も扱っているので、きちんと日本のことを知り、それを英語で伝えるということを続けていきたいと考えています。
萩原 私も同じことを感じました。英語はツールです。英語をどれだけ話せるかということよりも、英語で何を伝えるかということのほうが重要だと思います。ですから、留学をしたら英語を学ぶだけでなく、海外での暮らしや人との交流を通していろいろなことを学ぶべきです。そして、経験して学んだことを英語というツールを使って世界に発信していくことが大切だと思っています。
留学を経て、中国語を取得したいという目標もできました。中国語話者はとても多いので、世界の多くの人とコミュニケーションをとるためのツールとして、中国語も身につけたいと考えています。
――留学した環境は違いますが、2人が感じている点は共通していますね。
石山 こうして話を聞いていると、2人とも自分で考えることができる、主体性のある学生になっていて、英語力以外にもさまざまな点で成長したことを実感しますね。留学をすると、自分で考え、自分の責任で行動しなければならない場面がたくさんあると思います。そうした経験も今後の人生では武器になるでしょう。
――ありがとうございました。

 

 

 

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