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チームを想う強さを受け継ぐ(前編)

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陸上競技部 向晃平・土方英和

2018年3月20日更新

 箱根駅伝の常連校として、今年の新春も全国のファンの耳目を集めた國學院大學陸上競技部。2年連続11回目の出場となった今回は、多くの選手が区間上位にランクインを果たし、成長の途にあることを印象づけた。一年の集大成となるレースを終え、主将が交代となったタイミングで、新旧のキャプテンによる対談をおこなった。一人は、部を1年間率いてきた人間開発学部健康体育学科4年の向晃平(むかい こうへい)選手。もう一人は、新たに部の顔となった國學院大學陸上競技部初の新3年生主将、同学科2年の土方英和(ひじかた ひでかず)選手。仲良い先輩後輩が、伝統ある部の主将というあり方を語り合った。
 
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—今回は前主将・新主将の対談ということで、改めておふたりに語り合っていただきたいと思います。ひとつの寮で共同生活をおくっているわけですが、普段からふたりでも喋るものなんでしょうか。 
 
(両選手、見つめ合って照れ笑い)
 
—いきなり対談となると照れますよね(笑)。
 
向晃平選手(以下、向):いえ、普段からもかなり喋るんです。もちろん競技のことについても、真剣に語り合うことも多いんですが、それ以外は……趣味の話とか、テレビに出ているタレントさんの誰が可愛いとか(笑)。
 
土方英和選手(以下、土方):そうですね……(笑)。
 
—それもまた青春ですね(笑)。単刀直入な質問ですが、おふたりそれぞれの印象はどういうものなんでしょうか。
 
土方:高校時代に都道府県対抗男子駅伝にも出場して、区間賞を獲得していたことは知っていたので、1年生として入部したときから、すごい先輩だと感じていました。一方で、故障が多かったので、早く本気の姿を見てみたい、とも思ってきたのですが、2017年はそんな本気の向さんを見ることができました(編註:5000m、1万mともに自己ベストを更新)。主将としては、場を和ませてくれる、優しいキャプテンでした。ひとりひとりをしっかり助けてくれるような。
 
向:自分自身があまりガツガツしているタイプの人間ではないので、ガンガン引っ張っていくというよりは、チームの“真ん中”に立って、上は押し上げていって、下は上から引き上げられるようなキャプテンとしてのあり方が向いているかなと思い、それを目指してやってきました。逆にいえば、あまり強くものをいうことができないので、そこは振り返ると足りなかったかなというか、反省点もあるのですが。 
 
 
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—なるほど。向選手から見て、土方選手はどういった人ですか。
 
向:正直、後輩ながら本当に頼もしいです(笑)。
 
土方:ありがとうございます……!(笑)
 
向:故障が少ないので、すごくタフな練習ができるんです。前回の夏合宿でも、僕は怪我を心配しながらの練習だったんですが、彼は人一倍走っていました。練習でもチームを引っ張れるし、レースでも結果を出している。そして、2年生ではありますが、ミーティングの場でも、日常でも、物怖じせずに周りにきちんと意見がいえる。自分がしっかりやることで、周りもついてくるようなタイプの人間だと思います。
 
—新3年生が主将となるになるのは、部の歴史においても初めてだそうですが、土方選手自身の心境はいかがですか。
 
土方:正直なことをいえば、いまもまだちょっと不安はあります。でも、さきほど向さんがいってくださったように、練習することにかんしてはすごく自信があるんです。そういう面でチームを引っ張っていければ、徐々に不安もなくなっていくかなと思っています。
 
向:ひとつ上の学年がいるなかでの主将というのは、もちろん難しさもあると思うんです。でも、さっきいったように、彼にはしっかりとした“説得力”があるから、きっと大丈夫(笑)。一番上の学年という立場だと見えないことも見えるだろうし、チームの方向を決定していくにあたっても、また違った目線が入ってくるはず。新4年生、そして下級生たちとも一緒に、新しいチームづくりをしていけると信じています。
 
土方:主将として求められる結果を出しながら、できるだけ普段通りにしていたいなとは思っています。課題としては、自分だけではなく、チームとしての計画をどれだけしっかり考えられるか。チームとして目標を立てたうえで、それを達成するためにはどうすればいいのか、ということを計画する力を養っていきたいですね。周囲にそうした力や考え方が豊かな人たちもいるので、みんなで一緒にチームをつくっていけたらと思っています。
 向:近年は、目標の立て方、そしてそれに対するアプローチを考えることも、チーム全体としてより細かくやれるようになってきていますね。チームとしての中期目標があって、それに対して各選手が月ごとに目標を定めて、練習内容やコンディションの調整の仕方といったアプローチも考えていく、と。
 
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—選手それぞれに練習方法もコンディションも異なってきますよね。主将としては、どういった声のかけ方や目の配り方をしていくものなのでしょうか。

 向:僕自身、3年目まで故障が非常に多かったので、そうした不安を抱えていたり、実際に故障したりしている選手には、普段から「脚はどう?」という感じで聞いていました。自分が無理をして失敗してきた人間だったからこそ、無理はさせないように声をかけてきました。主将として一番取り組んだことは、それだと思います。
 
土方:僕が入学してすぐのころに、まだ主将ではなかったですが、向さんと一緒にジョグをする機会があったんです。そのときにも、「故障だけはしないほうがいい。無理はしないで」という言葉をもらったことは、強く覚えています。自分の経験を踏まえて、選手を悪い方向に進ませたくないという気持ちがあるからこその言動だったのだと、いま改めて思います。新入生のときは、当時主将だった4年生の蜂須賀さん(蜂須賀源選手、現・コミカミノルタ陸上競技部)にも、とても面倒を見てもらいました。だからこそ、自分がしっかり走れたという思いがあります。僕自身も、新1年生のこともちゃんと見て、気を配れる——しっかりコミュニケーションをとって引き上げることができるような主将になりたいですね。
 
—向選手はコミュニケーションをとるにあたって、心がけていたことはありますか?
 
向:僕自身、あまり厳しいことをいうことも、いわれることも好きなタイプではなかったこともあって、むしろ、たとえばミーティングの場で、どうやったらみんなのやる気をより引き出せるのか、ということを考えてきました。キツいことをいうのではなくて、「こうしていこうよ」と、みんなが前向きになってくれるような言葉を心がけてきた、という感じはあります。
 
土方:ミーティングの最後を、「頑張ってやっていこう!」というような、前向きな言葉で締めることが多かったと思います。もちろん、ずっと競技をつづけていれば、時にはみんながどこか暗い雰囲気になりかけることもあるわけですが、そうしたときに前向きなことをいってくれたんですよね。向さんのそうした言葉で、場の空気も、みんなの気持ちも盛り上がって、次に向かうことができたのではと感じます。
 
—なるほど、そうした主将のあり方が、各選手や部全体のベストパフォーマンスを促していくのですね。対談の後編では、國學院大學陸上競技部でおくった学生生活について伺わせてください。
 

 

 

 

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