ARTICLE

すべては学生たちの「学び」のためにー柴﨑和夫・教育開発推進機構長にきく

  • 文学部
  • 全ての方向け
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

教育開発推進機構長(人間開発学部教授) 柴﨑 和夫

2018年3月20日更新

 国立大学の独立法人化、そして即戦力を求める社会といった大きな潮流のなかで、私立も含めて大学という機関は大きな変化を必要とされてきている。旧来の組織や、教育の提供の仕方では対応できないこうした問題に対して、根本的な改革のもとに応答していこうとしているのが、教育開発推進機構だ。
 かつての大学といえば、教員は壇上で講義を繰り広げ、学生たちはただただ話を聴き続ける――そんなイメージがあったかもしれない。しかし、それはもはや過去の話だ。教員たちは時代のラディカルな転換に並走し、教育現場の風景を変えてきている。一方で、社会に学生たちが出ていく手前の、大学という機関でしか伝えられないこともあると確信している。いつだってその胸に燃えているのは、「学生たちのために」という情熱の炎だ。その情熱で、改革の先端を走る柴﨑和夫・教育開発推進機構長(人間開発学部教授)に話を聞いた。
 
 %e6%9f%b4%ef%a8%91%e5%85%88%e7%94%9f_1  
 
 どのような教育をおこなえば、社会から求められる、そしてその期待に応えられる学生たちを送り出していくことができるのでしょうか。学生たちが卒業後出ていく社会に対して、私たち教員は「大学ではこの学生に、こんな教育を行ってきました」と明確にいうことができなくてはなりません。つまり、アカウンタビリティ(説明責任)を果たさなくてはならない時代です。
 一方で、社会自体も大きく変化していきます。これから長い時間を、変わりゆく社会のなかで生きていく学生たちに対して、大学が提供できるものは何なのだろうか――。こうした長期的な視野も必要です。
  この短期的・長期的なふたつの視野の間でバランスを考えながら、私たちは國學院大學における教育改革の手助けを進めています。
  具体的にいうと、当機構は5つのセンターと1つのステーションで構成されています。「教育開発センター」、「学修支援センター」、「共通教育センター」、「Language Learning Center(LLC)」」、「教職センター」という5つのセンターと、学修支援センター内に設けられている「ボランティアステーション」です。
 
 まず、「教育開発センター」についてですが、これは國學院大學全体の教育向上のために設置されているセンターです。これは大学教育界全体に言える話ですが、昔でしたら、同じ科目名の授業を履修していても、授業を行う教員によって授業の内容はバラバラ、教員はその授業において“一国一城の主”というケースがほとんどでした。授業の内容は、各教員にほぼ任されていたのです。ベテランの教員が退職すると、その教員が担当していた科目がなくなり、新しい教員の科目がまた別に始まる、ということも珍しくありませんでした。今は、学部全体としての整合性も問われてきます。
 これまでのようでは学生を社会に送り出す時、「この学生はこうした教育を受けてきました」という教育の質の保証が難しい。いわばエビデンスベースでの保証ができないのですね。そこで「教育開発センター」で行っているのが、教員個人、教員集団、学部全体に対するFD(ファカルティ・ディベロップメント)——いわば教員の能力を高めるための実践と、意識改革をおこなっているのです。
 %e6%9f%b4%ef%a8%91%e5%85%88%e7%94%9f_2 
 たとえば、授業の内容や成績評価まで、学生たちに対してもゴールをきちんと示す。卒業まで学生が日々受講する授業のクオリティの保証のために、今まではバラバラだったシラバスの書き方に関しても、教員たちへ情報を共有していっています。学内の横の連携を強化していくなかで、必要に応じて、教員同士で連携して共通のテキストを用意するケースも出てきました。また、教員はどうしても自分の知識を伝えたがるものですが、現代社会において生身の“経験”が不足している学生たちに対しては、一方通行ではない、双方向的なアクティブラーニングが有効となる場合もあるでしょう。こうした教育の可能性を教員たちに伝え、意識を変え、実践を促していくのが教育開発センターの役割です。                                                                                                                         
 
 「共通教育センター」は、建学の精神といった大学の伝統、またそのなかで培われた見識を、学生たちに初年次教育などで学ばせ、國學院らしい人材に育ってもらう――そうしたカリキュラムの運営を担っています。これもまた、教育の質を保証するための一貫した取り組みでもあります。
 
 こうした学習におけるクオリティ保証のためには、ユニバーサルな時代環境のなかで入学してくる、多様な学生たちへの支援も必要となってきます。学生生活へのサポートとは別に、学びに対する支援を行うのが「学修支援センター」です。学修(学習)に関して課題を抱えている生徒に対しては、情報の扱いには十分留意しながら、授業を受け持っている教員との連携をとるようにもしています。
 
 これらに、留学を含めた英語学習を支援する「LLC」、大学から社会への“出口”のひとつとして考えるべき教職への道をサポートする「教職センター」、そして社会に積極的に関わるなかで、いわば学外での学びを得ていくボランティアを支援する「ボランティアステーション」とが合わさって、教育開発推進機構を構成しています。
 %e6%9f%b4%ef%a8%91%e5%85%88%e7%94%9f_3
 
 以上のように、社会との関係性のなかで、大学としてさまざまな取り組みを行っています。変えるべきものは変えていかなくてはいけません。
  他方で、その社会自体も、ダイナミックに変化していきます。学生たちがこれから出ていく、目の前の社会に対応することはもちろん必要ですが、一生涯をかけて学生たちのなかに残っていく、大学での学びも大事だと感じています。いわば、生涯をかけて自分で学修を続けていく力そのものを学ぶ、ということですね。
  大学としてガバナンスを考え、実践していくこと、そのための改革を進めることは、間違いなく重要です。しかし、単に効率化を徹底していくだけでは、学生たちが社会に出る前の貴重な時期を過ごす、この大学という機関ならではの役割を果たせなくなってしまうこともあるでしょう。常に自戒と自省を忘れずにいることは大切でしょう。
  学生には様々な“見えない学び”もふくめて、たくさんの体験をしていってほしい。社会に出た直後だけではなく、未来においても役立つことを提供している――このように自信を持って言える大学にしたい。そう私は願って、教育開発推進機構長として活動しています。
柴﨑 和夫

このページに対するお問い合せ先: 広報課

MENU