抜群のコンビネーションを誇る久保田選手(左)と原選手
國學院大學ソフトテニス部で2年生トリオの一翼を担う久保田茜選手(日文2)と原千晴選手(中文2)のペアは、関東大学春季リーグと入替戦でいずれも三番手として登場し、念願の1部昇格の原動力になった。2部リーグを全勝で優勝した勢いに乗り、2人は本学初となる第73回関東学生ダブルス選手権のタイトルも獲得し関東学生一となった。強豪高校から本学へ進んだ2人だが、自主性重視の方針にもすっかりなじみ、「2人で考え1本取るテニス」を実践している。
【前編】「任されている」に応え「負けない!」-ソフトテニス部女子2年生トリオ
「試合の流れを外さずにしっかり読み、いて欲しい所に必ずいてくれるのが原ちゃん。戦略的な位置取りが抜群」(後衛の久保田選手)、「久保田はロブ(*)が最強に上手。前衛は変にあれこれ考えなくても大丈夫なくらい試合をコントロールしてくれる」(前衛の原選手)と互いに認め合う2人。どちらか一方が主体となるのではなく、互いを信頼して勝利を重ねた。春季リーグの戦いを振り返って、「選手の勢いも応援の雰囲気も、國學院が一番よかった」(久保田選手)、「自分たちの全力を出せば勝てると信じて春合宿からやってきた結果が出せた(原選手)」と確かな手応えも感じた。
*ロブ 山なりの高い軌道を描くショット。軌道の高低や打ち込む場所によって「相手の陣形を崩す」、「自らの陣形を立て直す」など攻守どちらにもなり戦略的に用いられる。
久保田選手は巧みな試合のコントロールが武器
慶應義塾大学との入れ替え戦では、1勝1敗からの三番手として相手ペアを圧倒し、念願の1部昇格を勝ち取った。しかし、「1部で強豪校の選手たちと対戦できると思うとワクワクする」(原選手)、「1部に上がったらチャレンジャーとして向かっていくテニスができることに喜びを感じる」(久保田選手)とチャレンジ精神も忘れてはいない。
原選手は千葉の昭和学院高校、久保田選手は東京の文化学園大学杉並高校と、ともに全国クラスの強豪校の出身だが、「大学卒業後も人生は続いていく。競技生活の後を考え、選手が自分でしっかり物事を考えていけるよう、自主性を重視」する小杉誠監督(昭和53卒・86期法)の指導方針は「自分たちで考えて練習し、試合の流れも自分たちで組み立てるのが大学テニスの面白さ」(原選手)という気づきを与えてくれた。「中学時代は地元(群馬県)で負け知らず。高校時代は強豪校の一員として『自分よりチームの勝利が最優先』と考えていた」という久保田選手も「今は自分がしっかり勝つことが、結果としてチームの勢いや勝利につながると思える」と精神的に脱皮した。その成長が本学初の関東大学ダブルス女王誕生に結びついたともいえる。
原選手は相手の攻撃から選択肢を奪うポジション取りが武器
成長の根底にはコロナ禍での苦しい経験もあった。「当たり前のようにできていたことが難しくなり、改めてテニスが好きになった」(原選手)といい、自主性重視のテニスに接して「負けることが怖くなくなった。結果ではなくテニスそのものを楽しめている」(久保田選手)とも実感している。
初めて関東学生のトップクラスが集う1部校の一員として臨む秋季リーグ。久保田・原ペアは「関東ダブルス女王」として追われる立場でもある。「降格を恐れてもしょうがないので1部優勝を目指す。上を目指せば下には落ちないから」(久保田選手)、「簡単に勝てるとは思ってはいないが、夏にしっかり整えていく。1位を目指さなければ2位も3位もない」(原選手)と、持ち前の「2人で1本取るテニス」で突き進む覚悟を固めている。