念願の関東大学リーグ1部昇格を果たした國學院大學ソフトテニス部女子を引っ張る2年生トリオの一角、庄司琴里選手(初教2)は故郷の山形から全国有数の強豪・文化学園大学杉並高校(東京)へと進むが、3年次のインターハイが中止となるなど、コロナ禍で不完全燃焼となった思いを抱えながら國學院大學ソフトテニス部に入部した。「勝ちたいというより負けたくない思いが強い」を信条に1年次からレギュラーに起用され、日本ソフトテニス連盟のU20にも選ばれてさらに上のステージも目指している。
【後編】「2人で1本取るテニス」で関東大学女王に―ソフトテニス部女子2年生トリオ
1部昇格の第一関門となる春季リーグ・最終戦となった立教大学戦。互いに全勝で迎え、優勝・1部昇格への挑戦権をかけた直接対決となった。第1試合のダブルスで先陣を切って登場した庄司選手は後衛を担当。だが、ペアを組む前衛・濱島怜奈選手(初教1)の背中を見つめながらかつてないほど緊張していた。「全然ラケットが振れない、体が動かない」という姿は高校時代からのチームメート・久保田茜選手(日文2)も「試合であんな姿は見たことがない」と慌てるほどのものだった。
「勝ってチームの波を作らなきゃ。後輩とのペアだから負けていても引っ張らないと…」という思いが重圧になっていた。しかし、シーズン開幕に先立つ春合宿で実業団選手とも練習を積み、「やれる」という自信を得ていたことが支えとなって冷静さを取り戻し、立教ペアを5―3で退けた。
夢の成就に向けて臨んだ入れ替え戦の相手は慶應義塾大学。濱島選手と臨んだ試合では1ゲーム目こそ落としたものの、5―1で勝利を収めて後続に繋いだ。「大学ではチームから『頼られている』と実感できている。高校時代は同じ実力の選手が大勢いたので、レギュラーを守るのに必死。『(試合で)負けたらどうしよう』という思いが強かった。今は先輩方もいる中で試合に出させてもらっているので責任も感じるし、そんな環境で試合に出させてもらえるのは嬉しい」とレギュラーを任される重みと感謝を改めてかみしめている。
「応援してくれている人に1部昇格を報告でき嬉しかった。でも、その分、秋リーグで降格できないという思いが強くなった。絶対に降格したくないし、1部の強豪選手たちと対戦できるのは楽しみ」と持ち前の負けん気も覗かせる。
ナショナルチームの1ランク下に位置付けられるU20の全日本チーム選手に選ばれた庄司選手には「チームの1部リーグ定着」のほかにも目標がある。2026年に愛知県で開催されるアジア競技大会だ。日本発祥のソフトテニスは、欧州などにも広がりを見せ世界選手権も開催されているが、現時点では五輪競技ではない。アジア圏が最も盛んな競技でもあり、アジア大会は実質的にトップの大会、しかも自国開催。「ソフトテニスを始めた時からずっと応援してくれている親の思いに応えるためにも、アジア大会で日本代表としてコートに立ちたい」と4年後への決意を抱く。