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【先輩に聴く】「思いを繋ぐ」女優と神職に通じる使命感

ミュージカル初挑戦を前に聞く

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女優 平 祐奈さん(令3卒・129期神文)

2022年5月11日更新

 三重苦の少女ヘレン・ケラーと家庭教師アニー・サリヴァンの苦闘の日々を描いたミュージカル『奇跡の人』が5月18日から6月5日まで東京芸術劇場(東京都豊島区)、6月8日から12日まで梅田芸術劇場(大阪市北区)で上演される。映画やテレビドラマなどで活躍する平祐奈さん(令3卒・129期神文)はヘレン・ケラー役で今回初めて舞台に立ち、新境地を開こうとしている。公演を前に意気込みなどを聞いた。

 

――ミュージカル出演という形で初めて舞台に立ちます

 私の役は主演の高畑充希さん演じる家庭教師のアニー・サリヴァンから献身的な教育をうけるヘレン・ケラーです。見えない、聞こえない、話せないという三重苦を背負う難役のうえに、3時間近くの舞台をミスなくこなさなければなりません。初めての舞台に何が待ち受けているのかと不安感が募る一方で、出演が決まったときには嬉しさも込み上げてきました。以前から難しい役をこなせるようになれば、今より何倍も成長できるのではないかと思っていたからです。大先輩の草笛光子さんからも「難しい役に挑みなさい。役で苦労すると得られるものも大きいわよ」との助言をいただいていました。

 ――もっとも難しいのはどの部分ですか

 セリフがないなかで、三重苦の少女の感情をいかに的確に表現するかです。このため盲学校に通ったり、聾唖の世界を体験したりして、演技力を高める努力を重ねました。息づかいとか全身を使って感情表現をしなくてはいけません。とにかく集中力を切らすことなく全力をあげて演技するつもりです。

 ヘレン・ケラーは内外の幾多の女優によって演じられ、それぞれのヘレン・ケラー像が作られてきました。私は私なりの演じ方で、私の色を見つけヘレン・ケラーを演じればいいのではないかと思うようになりました。演出の森新太郎さん、主演の高畑さんらの先輩方について行き、何か新しいものを見つけられたらいいなと思っています。努力すべきことはたくさんありますけど、自分なりの何かを掴み取れるのではないかという期待感もあります。東京と大阪の公演が終了した後の自分は果たしてどう変わっているのだろうか、どういう気持ちをしているのだろうかと、「公演終了後のもう一人の自分」と対面するのが楽しみです。

 ――女優と神職を両立されていますね

 令和3年3月に神道文化学部を卒業して以来、何とか時間を見つけては神職の資格を活かし、都内の神社で祭祀の手伝いなどの仕事を続けています。神社での肩書は権禰宜です。女優業の合間の仕事になるので、どうしても不定期にならざるを得ませんが、今後も続けていきたいと思っています。

 女優と神職の仕事は、一見するとかけ離れているように見えることでしょう。しかし、その役割には通じるものがあると私は捉えています。神職は神社の御祭神と参拝者とを繋ぐ役目をしています。一方、俳優の役目は何かといえば、舞台や映画などの作品と観る人とを繋ぐことです。ご祭神に祈願をしたいとか、素晴らしい作品に接したいという人の思いを繋ぐという意味で共通した役割を担っているのではないでしょうか。人々が抱く気持ちに微力ながらも役立っているという思いや、その使命感が、女優と神職を両立させている原動力だと私は感じています。

 最初のうちは慣れない祈祷などに緊張してしまいました。宮司から、「平さんだって人前で堂々と演技しているではないですか、それと同じですよ」と声をかけていただき、緊張感がほぐれるとともに、人と何かを繋ぐことの大切さを改めて思い知りました。

 ――自身の経験から後輩に伝えたいことは

 女優という仕事では、日常のさまざまな実体験が演技に役立ちます。役をこなすうえでも経験がものを言います。色々なことを経験することは非常に大切なことだと思います。ですから大学時代には勉学以外も含めて、ぜひ色々なことを経験してほしいと思います。

 

 

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