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逆風を逆手に就活を
~脱「ガクチカ」に向けて~

おやごころ このおもい

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國學院大學名誉教授・法人特別参事 新富 康央

2022年1月21日更新

近くて遠い? 遠くて近い? そんな親の気持ちや大学生の子どもの気持ちを考えます。


「ガクチカ」って何?

 「ガクチカ」という言葉、ご存知ですか。「学生時代に力を入れたことや頑張ったこと」という意味です。実はコロナ禍の中で、これが、学生たちを社会に送り出す責務を負う大学教員にとって厳しい言葉となっています。というのは、ガクチカによる自分探しは、企業が採用にあたって重要視する志望動機や自己PRでもあるからです。

コロナ禍での「ガクチカ」

 では、なぜ「コロナ禍の中で」自分探しが困難なのでしょうか。

 それはコロナ禍で、ガクチカにとって重要な素材となる部活動への参加や友人との交流が少なくなったからです。学生生活において今日、学修以外は消極的にならざるを得ない社会状況が生まれているのです。

 大学職員からも、今日の本学学生の部活動、サークル活動について、情報をもらいました。とりわけ現2年生などは、途中参加への心理的ハードルや、経験値が無いのに幹部にならざるを得ない不安などから参加率が著しく低くなっているとのことでした。

就活と「ガクチカ」

 筆者は平成25年3月に人間開発学部1期生を社会に送り出すにあたって、元在籍した佐賀大学の同窓会に協力してもらい、自ら就活を行いました。人事の幹部級との面談では、20分程度という予約時間が、大抵1時間以上になりました。それは、人材育成あっての会社という企業の姿勢によるものでした。

 企業側から大学への投げかけの中から、印象的なものを2つ挙げます。

 「専門って、何ですか?ここは◯◯の企業ですが、それで飯を食う社員は数割。専門の基礎になる課題解決探究力、知識技能の活用力、プレゼン力、それに何よりも協同する力など、養ってほしいです。したがって、専門は問わないが、3カ月で専門知識を吸収できる力を求めます。それほど、ある意味、企業は厳しいのです」

 「大学は学修を通して自分探しをさせていますか? 大学の先生方は4年間、何を教えているのですか? どうして私たちが改めて、就活で学生さんたちの自分探しのお手伝いをしなければならないのですか?」

 私の返答は、「まず1杯食べてみて(一人採用して)下さい。必ずお代わりしたくなります」でした。ありがたいことに、この年の国公私立大学文系学部の就職率ランキングで全国10位になりました。(週刊東洋経済『本当に強い大学(文系ベスト100)』2013.11.2)

脱「ガクチカ」に向けて

 コロナ禍で確かに、「ガクチカ」の機会は少なくなりました。しかし、学生さんには、コロナ禍という逆風を逆手にとってほしいと願います。自分探しができる時間的余裕を得たと、プラスにとらえてほしいのです。親御さんには、学生間の交流時間は減りましたが、その分、良さ見つけの親子対話で自分探しを手伝ってあげてほしいと願います。学報連載コラム「おやごころ このおもい(第10回)」

新富 康央(しんとみ やすひさ)

國學院大學名誉教授 
法人参与・法人特別参事
人間開発学部初代学部長

専門:教育社会学・人間発達学

 

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