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【先輩に聴く】「人の縁」に感謝 料理への「こだわり」で道を拓く

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(株)升本フーズ副社長 坂本 美雄(昭51卒・84期法)

2020年8月8日更新

 國學院大學の院友に様々な経験や人生の指針を伺う「先輩に聴く」。今回は、大学卒業後25年勤めたアパレルメーカーから畑が違う飲食業界に転身した(株)升本フーズ副社長の坂本美雄さん(昭51卒・84期法)に登場していただきます。坂本さんは「人の縁」によって現在の会社に入社し、立ち上げたばかりの弁当事業を「安心・安全」へのこだわりによって成功に導いてきました。新型コロナウイルス感染症拡大で打撃を受けつつも「何事もチャレンジ」と力を込める坂本さんの経験をお聞きします。

――25年間勤めたアパレルメーカーから転身した

坂本 元上司の会社を手伝うために退職したのですが、こちらも生活がありますので、升本の代表を務める高校の先輩にお願いして土日だけアルバイトさせてもらったのが升本との縁の始まりでした。

 入社当時は、とにかく率先して動き回りました。飲食店中心から弁当事業にシフトするタイミングでもあり、その立ち上げのメンバーに入って都内の百貨店さんなどを回って売り込みました。基本は営業部長まで務めたアパレル時代と同じ営業でも、扱う商品がまったく異なりますので、商品を知るためにも初めの頃は毎日3食、弁当ばかり食べていましたね。

――弁当事業が成功した秘訣は

坂本 職人の手作りにこだわった点が、それまでの弁当とは違っていたのでしょう。当時は保存料や合成着色料を使って大量に作り一気に納品するスタイルが主流でしたが、升本は保存料・合成着色料を使わずに1日3回作って配達していました。おいしいのは当たり前ですから、安心・安全・健康が第一ということにこだわり続けています。

 「升本といったら亀戸大根」というこだわりも忘れていません。にんじんほどの大きさですが、おろしても汁が出ないほど実が詰まっていて、ビタミンCなどの栄養素も豊富です。途切れていた栽培を升本が復活させ、江東区内の農家が保存していた種を他所にも分けて生産を拡大してきました。弁当も含め、升本の食事には亀戸大根のたまり漬が欠かせません。米麹と青唐辛子と有機醤油を長期熟成させた秘伝の辛味「亀辛麹(かめからこうじ)」もすべてのお弁当で提供されるこだわりの一つです。

亀戸升本本店で提供される「亀戸升本名物 亀戸大根あさり鍋めし」(1980円)。亀戸大根のたまり漬や自家製の亀辛麹は弁当でも供される

――新型コロナウイルス感染症が広がっているが

坂本 弁当事業は3部門に分かれ、利益だけみると法人等を顧客とした直販が80%を占めています。ただ、コロナ禍の影響をまともに受けてしまったのも主力の直販です。大きな会議だと1回で800個ほどの注文があるのですが、コロナ禍で注文ゼロが続いています。

 打開策として4月から個人向けにランチ弁当を出しています。6月からは区内のタワーマンション棟内で販売しており、「体に優しい弁当なので、休校でずっと家にいる子どもも一緒に食べられる」と好評です。また、「8000円以上」としていた配達を個人のニーズに合わせて「2000円以上」まで下げ、ネット販売もしています。まだ完全ではありませんが、一度始めたものは満足できるような展開までもっていきたいと考えています。

――今後の指針は? 後輩にもメッセージを

坂本 こんな時期だからこそ助け合いが大事でしょう。ともに目標・目的に向かって進まなくては難局を乗り切れません。大学時代のサークル「水と渓谷の会」の仲間が升本に集まってくれたり、アパレル時代の同期がランチ弁当を注文してくれたりしますので、人のつながりに感謝を忘れてはならないと思っています。

 後輩の皆さんには、「何事もチャレンジ!」と伝えたいですね。いろいろと経験をして、困難を乗り越えて初めて自分のものになるのです。待っていてはダメです。私がチャレンジするモチベーションは、「弁当業界で伸びていきたい、日本一になりたい」という思いです。与えられたものをこなすだけではなく、自分自身でもっと動いて、世界を広げていくという気持ちが大切なのではないでしょうか。


さかもと・よしお 國學院大學で法律を学んだ後、アパレルメーカーに25年間勤務し、平成12年に(株)升本フーズに入社。趣味は学生時代に所属したサークル「水と渓谷の会」で魅了された山登りで、61歳の時に「日本百名山」全踏破を達成。

 

 

このページに対するお問い合せ先: 広報課

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