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近世・近代の神道教化を語る資料群

河野省三記念文庫―大教宣布運動関係資料―

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研究開発推進機構 助教 髙野 裕基

2020年7月26日更新

 明治前期の政府による一連の国民教化活動を大教宣布運動と呼ぶ。國學院大學の学長を務めた河野省三の旧蔵書からなる河野省三記念文庫(本学図書館所蔵)には、大教宣布運動関係の資料が充実している。

 明治2(1869)年、政府は神祇官に宣教使を設置して国民教化にあたらせた。翌3年には明治天皇より「宣布大教詔」が発せられ、宣教使は全国的に国民教化を展開するも、十分な成果は挙がらなかった。そこで政府は、5年に国民教化と宗教を所管する教部省を新設し、国民教化にあたる教導職を設けて敬神愛国、天理人道、皇上奉戴からなる三条教則を宣布させた。教導職には神官・僧侶らが任命され、三条教則をそれぞれの立場から解釈して衍義書(えんぎしょ・解説書)を作成し、大規模な国民教化運動を展開したのである。

約4500点の和装本についてまとめた『河野省三記念文庫目録』

 河野文庫には、神官・僧侶らの衍義書や教導職の拠点であった大教院・神道事務局に関わる資料をはじめ、河野の専門分野である近世の神道教化や通俗教育関係資料、中世の説話集である『神道集』(河野本)なども収められており、神道教化関係資料としては他に類を見ない資料群となっている。学報連載コラム「未来へつなぐ学術資産研究ノート」(第12回)

 

 

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