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ネットで完結する時代だからこそ アナログ的なコミュニケーションを大切にしたい

(『シブヤ沼フェス』インタビュー 第3回 長谷川賀寿夫さん(Printworks Studio Shibuyaオーナー) )

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Printworks Studio Shibuyaオーナー 長谷川賀寿夫

2020年3月3日更新

「渋谷」は、誰かの好きなもので溢れています。ファッション、音楽、アート、映画、文学、ゲーム、スポーツ……。

「渋谷」を中心に活躍するみなさまに、アナログに引き続き、好きなモノ、はまっている「沼」についてインタビューしました。今回は、道玄坂で活版印刷機が使える工房「Printworks Studio Shibuya」を運営する、長谷川賀寿夫さんです。
 

 
−−現在のお仕事を始めたきっかけを教えてください。
 
長谷川さん(以下長谷川) もともと祖父の代から、渋谷で印刷業を営んでいました。自分は大学卒業後一度就職したのですが、父、兄をサポートするために、退職。家業の長谷川印刷を手伝うことになりました。
 オフセット印刷やデジタル印刷などの商業的な印刷を中心にやっていて、綺麗、早い、安いという印刷に何か物足りなさを感じていました。6年前にたまたま行った「活版、横濱 2014」というイベントで、改めて活版印刷機や活字、かすれていたり凹んでいたりしている紙に触れ、心に刺さるものがあったんです。綺麗、早い、安いの逆を行こうと思い、「Printworks Studio Shibuya」をオープンさせました。
 

 

−−どんなお客様が多いのですか?

長谷川 フォトグラファーさんやスタイリストさんが、ご自身の名刺を作りにいらしたり、お店のオーナーさんがショップカードを作りにいらっしゃることもありますね。また、結婚式の招待状のご依頼も多いです。
 先日、あるお客様の88歳のお誕生日会の招待状を製作いたしました。
 
※過去の作品と店頭で販売しているカード類。活版ならではの凹み、手ざわりは格別。
 
−−活版印刷の招待状をいただいたら、部屋に飾っておきたくなります。
長谷川 ありがとうございます。
 

※組み上げた版を活版印刷機にセット。取材時には、「Thank You」の版をはめてくださった。
 
※刷り上がり。濃い緑色のカードに、シルバーのインクが映える。
 

※漢字、アルファベットなど、多種多様な活字が用意されている。現在は、ワークショップなどで使用。

 


「センチュリーオールド」という書体の活字。
−−お仕事をする上で、大事にされていることはなんですか?
長谷川 コミュニケーションです。なんでもネットで完結してしまうという時代の流れがありますよね。だからこそ、人と人が向き合うということを大切にしていきたいと思っています。
 接客の際には、お客様がし       っかりと理解してくれるようなコミュニケーションをつねに心がけています。メールのやりとりだけでなく、電話でお話ししたり、直接会って、実際に紙を触ってもらったり、印刷の見本を見てもらったり。当たり前のことをていねいにやっていけたらなと。
 
−−現在のお仕事を軸に、今後、やってみたいことはなんですか?
長谷川 今、「活版印刷って何?」「だからどうした?」っていう人がほとんどです。活版印刷の魅力を伝える事が、当面の課題ですね。
 その中で、アナログ的なコミュニケーションの追求ができればと。道玄坂青年会の活動をしているので、渋谷道玄坂のまちづくりにも活かしていきたいです。
 
−−渋谷道玄坂青年会の副会長を務めていらっしゃるそうですね。具体的には、どんな活動をされているんですか?
長谷川 道玄坂の清掃活動や、花壇の花植え活動などを行っています。また、渋谷109前で開催する「渋谷盆踊り大会」の企画リーダーになりました。2020年で4回目を迎えます。
 
−−企画運営となると、ご苦労も多かったのでは?
長谷川 そうですね。109前の交通規制の件で警察署へ行ったり、区長に相談したり。渋谷と一口に言っても、それぞれのエリアに町会、商店街があるので、会長さんたちとも何度も打ち合わせしました。
 盆踊り当日は、婦団連(渋谷区婦人団体連絡協議会)のご婦人たちが、盆踊りをリードしてくれ、とても盛り上がりました。外国の方や若い方を、上手に巻き込んでくださったんです。ありがたかったですね。「渋谷盆踊り大会」は、多くの人たちとの対話を重ねて、ようやく開催にこぎつけたという思いが強いです。
 
−−ますます〝道玄坂愛〟が強くなったのではないですか? 今後、道玄坂がどうなっていったらいいと思われますか?
長谷川 道玄坂って、飲み屋があって、109があって、電気屋があって、映画館があって、ホテル街があって。つまり雑多なんですよね。そこがいちばんの魅力で、人が集まるんだと思っているんです。どこの街も、便利で均一化していってしまうから、道玄坂にはこの雑多感を、未来永劫残していけたらなって思っています。
 
長谷川賀寿夫(はせがわ・かずお)
渋谷・神泉生まれ。大手住宅メーカーの営業職を経て、30歳を機に退職。父、兄をサポートするため、家業である長谷川印刷を手伝う。2014年、道玄坂に、活版印刷機が使える工房「Printworks Studio Shibuya」をオープン。店長として、お店の運営に携わる。道玄坂青年会副会長。
「Printworks Studio Shibuya」 https://printworksstudio.com/
 
 
お仕事以外でハマってしまった沼:多肉植物
 ハマったきっかけ:6年前、伊豆シャボテン動物公園で、サボテン狩りをしたのがきっかけです。珍奇な見た目で、ゆっくりだけど成長している姿は好奇心をくすぐります。お気に入りの鉢と組み合わせる事がまた楽しい。
 

※「ユーフォルビア・オベサ」。2年前に、多肉植物専門店で購入。丸っこくて、すぐに成長しているかどうかよくわからず、想像力を必要とするところが気に入っている(写真提供:長谷川さん)。
 
撮影:櫛ビキチエ 編集:篠宮奈々子(DECO) 企画制作:國學院大學
 

このページに対するお問い合せ先: 広報課

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