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サッカーを通じて、いろんな人を楽しませる 3選手の挑戦とは(前編)

國學院大學蹴球部インタビュー前編

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國學院大學蹴球部 田中荘都(健体4)・金子駿介(健体4)・野田悠太(経4)

2019年12月8日更新

 
 
 大学生活で何かに真剣に打ち込んだ経験は、人を確実に変えていく。たとえば、サッカー。フィールドで毎日のようにボールを追いかけた日々は、かけがえのないものであるはずだ。そしてその上で、チームのマネジメントや組織の運営というものを、ピッチ外でも学ぶことができたとしたらどうだろう?
 大正14(1925)年創部の本学蹴球部は、東京都大学サッカー連盟1部(全10チーム)に所属。今季のリーグ戦では、昨季に引き続き、4位の好成績を記録。平成21年度以来となる「関東大学リーグ昇格」は、ますます現実味を帯びるようになってきた。本記事は、リーグ戦終盤を迎えた時期のインタビュー。プレーヤーのみならずチームの役職にも精を出す、引退を間近に控えていた田中荘都(健体4)、金子駿介(同4)、野田悠太(経4)の同学年トリオに話を聞いた。
 
 
 
 
 
――まず皆さんのポジションと、チーム内での役職を伺えますか。
 
野田悠太(以下、野田) ポジションはMFです。任されている役職は「主務」というもので、チームのスケジュールを管理するといった部の中での業務のほかに、「アイリーグ」(関東大学サッカー連盟が開催する「インディペンデンスリーグ」の通称)の日程決めや運営なども担当しています。
 
金子駿介(以下、金子) 僕のポジションはDFで、「学連」という役職に就いています。僕たち蹴球部は東京都大学サッカー連盟1部に所属しているのですが、選手やスタッフの登録を始め、大学間で連絡を取り合って会場を調整するといった、大会の運営などを主に担当しています。
 
田中荘都(以下、田中) ポジションはMFが中心で、務めている役職は、「チーム地域振興部」の学生代表というものです。サッカーを通じた地域貢献によって、たまプラーザやあざみ野、鷺沼、宮前平といった、僕たちが普段の部活動でかかわる地域をより豊かにして、それが同時にサッカー部の強化につながるような活動をしています。 
 
 
――「地域振興部」というのはあまり耳慣れませんが、どのような活動をしているのですか。
 
田中 今は「宮前平源泉 湯けむりの庄」さんという温泉施設と、たまプラーザキャンパスのすぐ近くにある「溶岩焼ダイニング Campus」さんというレストランと提携させていただいていて、蹴球部が定期的に試合で催している「集中応援」の際に、集まっていただいた観客の皆さんにクーポン券を配らせていただいているんですね。
 
金子 「集中応援」というのは、選手の家族や友人だけでなく、大学のブラスバンドやチアリーディングにも協力いただいて盛り上げてもらって、より多くのお客さんに来ていただこう、という取り組みなんです。近隣のサッカー少年団のお子さんたちと一緒に入場する「エスコートキッズ」も、その日に行っているんです。
 
野田 「集中応援」は、選手のモチベーションも、すごく上がるんですよ。
 
金子 応援していただく側もすごくやる気が出ますし、応援してくださっている皆さんからも、「人一倍声を出すぞ!」というような会話も聞こえてくるんです。学連として試合を運営している側としても、試合の雰囲気がグッと変わるのを実感します。
 
 
田中 そういった集中応援で来てくださったお客さんたちに、クーポンを配らせていただく。すると、お客さんたちがお店に足を運んでくださって、そこで収益を上げていただけるわけですね。その一部を蹴球部に還元していただき、備品や遠征費などに充てている、というマネタイズの仕組みになっています。
 実は「チーム地域振興部」というのは元からあった役職ではなくて、大学3年生の冬から、同学年の学生コーチである平川と僕を中心にして、自発的に立ち上げたものなんです。きっかけは2年生のとき、同学年を主体にした新人戦という大会。平川が監督、僕がキャプテンを務め、東京都で優勝できたのですが、すごく純粋に「サッカーって、本当に面白いな」と感じたんです。このサッカーを通じて、もっといろんな人を楽しくできるんじゃないか――そうボンヤリと考え続けていた中で、平川から話がありまして。最近、大学スポーツでスポンサーをつける、ということが流行していますよね。
 
 
――近年の大学スポーツ界は、そうした大きな変動の中にありますね。
 
田中 そういったことをやれれば面白いよねと話しつつ、いきなり大企業さんにスポンサーについていただくということではなく、サッカーを通して地域を豊かにしながら、僕らも一緒に成長していけたらいいな、と。こういう考えのもとで始まったのが「チーム地域振興部」なんです。
 
 
――皆さんそれぞれ、役職に就いた時期は違うんですか。
 
野田 僕は1年生の終わりくらいですね。白須真介ヘッドコーチから推薦のような形で「やってみないか」と。
 
金子 僕は大学2年生に上がってすぐの春先ですね。同じく白須ヘッドコーチから、「学連をやってみないか」と話がありました。
 
 
――白須ヘッドコーチは皆さんが入学すると同時に蹴球部に就任した方ですね。公認A級指導者ライセンスを保有する、1979年生まれの新世代の指導者です。
 
田中 高校のサッカー界はトップダウンのところが多いと思うんですが、大学に入って指導いただくようになった白須さんは、トップダウンでもなく、かといって単なるボトムアップでもなく、僕らの意見をきちんと汲み取ったうえでしっかり精査して、具体的な形に落とし込んでくれるんですよね。
 
野田 白須さんは性格もフランクで、すごく接しやすいんです。距離感が、いい意味で選手と近いんです。
 
田中 サッカー自体も、すごくやりやすいんです。1年生がセットプレーの分析などを細かくやってくれて、ミーティングで説明してくれるんです。僕らも自然に「ありがとう」という感じで受け取るし、1年生もそういう発言がしやすい空気が流れている。部活動というと縦社会のイメージがあると思いますが、「横のつながり」というか、みんな友達のような感じなんです。
 
金子 フォーメーションの話になるんですが、僕らが入学したての頃は3バック、つまり後ろのディフェンスラインに3人を据えるという布陣でした。でもなかなか結果が出なくて、選手たちから「3バックはキツい」ということを白須さんに伝えたところ、4バックになった。そこから、去年は都のリーグ戦1部でも4位に入ったように、あと少しで関東大学リーグの参入戦に進出できるくらいまでいけるようになりました。コーチにもきちんと意見を言える、みんなで思いを共有できるというのは、とてもいい環境だなと感じます。
 
 
――とてもフラットな関係性が部内で築かれているのですね。そこで培った経験について、後編ではより詳しく伺わせてください。
 
 
 

 

 

 

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