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大学生の「お金の基礎学力」

「予算」意識と優先順位で楽しいマネーライフを!

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2019年12月8日更新

 大学生活は高校以前とは異なり、経済的な自由度が増すとともに、さまざまなシーンでお金が必要になっているはずだ。一方、世間ではキャッシュレス時代の到来が叫ばれ、お金の管理に悩んでいる学生もいるだろう。「学生時代にお金の基礎を学んでおくことは、将来にわたってお金と上手に付き合っていくためには大切」と指摘するのは、自身も大学生の子を持つファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。各種メディアなどで幅広く活躍している畠中さんに監修を依頼し、学生の疑問に応えてもらった。「お金の基礎学力」を高めてもらうとともに、先を見据えた人生設計を考えてもらう機会としてほしい。

お金との付き合い方は勉強と同じ

(ファイナンシャルプランナー・畠中雅子さん)

畠中雅子さん

 お金との付き合い方は勉強に置き換えることができます。基礎学力をおろそかにした人は応用が苦手ですよね。お金の管理も同様で、基本知識を持たないまま「運用で大きく増やそう」などと考えても、うまくいかないことが多いのです。

 「お金の基礎学力」とはつまり、お金の管理能力です。予算に対する意識を常に持ち、支出には優先順位をつけることが大切。若いときにお金の基礎学力をきちんと身につけておけば、楽しいマネーライフを送れるはずです。

「人生の3大支出」って?

  • Q1 「人生100年時代」といわれています。将来、生活をしていくうえでどれくらいのお金が必要ですか?(経済学部4年生)

 人生には「3大支出」と呼ばれるものがあります。それが、①教育②住宅③老後―の各資金です。
 教育資金では大学の学費が最も大きな負担となります。住宅を購入するには頭金を準備して住宅ローンを組むのが一般的です。子どもの教育、住宅購入の各資金は不要な人もいますが、老後資金は必ずといっていいほどかかってきます。

 3大支出を乗り切るためには準備が必要です。早くから先を見越した予算管理をしておきましょう。

上手な奨学金との付き合い方は?

  • Q2 奨学金を借りて勉強をしています。卒業後に返還が始まりますが、うまくやり繰りできるか心配です(人間開発学部4年生)

 修学のため、日本学生支援機構奨学金など卒業後に返還が必要な貸与奨学金を利用している学生さんもいるでしょう。ただし、いざ卒業後に返還が始まると、家計を圧迫する要因の一つになりますから、注意が必要です。

 将来、奨学金による家計破綻に陥らないためにも、借り入れ前や貸与中に親子で一緒に生活設計について話し合うことが大切です。また、借入金の減額や繰り上げ返済にも努めましょう。現時点では奨学金を利用していないご家庭でも、災害時などで家計が急変した際には緊急採用といった制度もあり、万が一の際には有効です。

いま知っておきたいお金の管理方法

  • Q3 ついついお金を使い過ぎて貯金ができません。お金の管理方法のポイントはありますか?(法学部3年生)

 お金の上手な管理には、将来を見越した〝先取り貯蓄〟がカギとなります。目安となる月々の貯蓄額は、一人暮らしなら収入の1割程度、実家暮らしなら2~3割程度を家に入れ、家に入れたお金以外に貯蓄は2割程度必要です。

 長い人生には、すごろくのようにさまざまな出来事が起こります。こうしたライフイベントに備えるためには、収入の一部を前もって貯蓄に回し、給料の全額を使えないようにした上で、やり繰りする習慣を身につけることが大切です。そのために、手取り収入が15万円のケースの家計簿で各費目にどのくらい使えるか考えてみては(リンクからエクセルシートをダウンロードして計算してみましょう)。

電子マネー、キャッシュレス決済はここに注意!

  • Q4 交通系ICやクレジットカードでついついお金を使い過ぎてしまい困っています(文学部2年生)

 現代はキャッシュレス時代。お金を使った実感が持ちにくいという学生さんに、おススメの方法があります。スマホ決済や交通系ICなどの電子マネーなら、1回のチャージ金額と月単位のチャージ回数を決めてしまいましょう。上限に近づくと節約を意識するようになります。洋服好きな人は、春夏物と秋冬物で予算を立てる半期計算がおススメ。月々の衝動買いを抑えられます。特に趣味にかかるお金は金額をある程度想定できますから、他を我慢してメリハリをつけましょう。

 

はたなか・まさこ 大学時代にフリーライターの活動を始め、マネーライターを経て、ファイナンシャルプランナーに。新聞、雑誌、ウェブなどでの執筆活動のほか、講演や相談業務の依頼も多い。「子どもにかけるお金を考える会」主宰。主な著書、監修書に『ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」』(ぱる出版)、『図解 ゼロからわかる! 最新 お金の教科書』(学研プラス)。実生活では、社会人の1女と大学生の2男の母。

 

 

 

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