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SHIBUYA CONNECT vol.1 東京急行電鉄

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國學院大學・学長(当時) 赤井益久

2014年7月4日更新

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(左)東京急行電鉄取締役社長 野本 弘文
(右)國學院大學学長 赤井 益久

國學院大學と東京急行電鉄は渋谷の歴史と共に歩んできた。赤井益久学長と野本弘文社長が、渋谷の魅力や人材論などを語り合った。
制作・東洋経済企画広告制作チーム

共に渋谷で90年以上の歴史を歩む

赤井 國學院大學は、1882(明治15)年に創立された皇典講究所を母体に設立され、今年で132年目を迎えます。「本ヲ立ツ」という建学の精神に基づき、日本人がよって立つ基礎を研究・確立すると共に、一人ひとりが持つ個性を尊重し、特性と能力を最大限発揮できる教育の提供を目指してきました。

1923年に東京・麹町区飯田町から現在の渋谷御料地に移転、90年以上になります。また、85年には横浜たまプラーザキャンパスを開設、私も学長になる前はそこで教えていました。最近、駅がとてもきれいになりましたね。駅周辺も発展し、当時とは様変わりしました。

野本 ありがとうございます。東急電鉄は、明治の実業家・渋沢栄一らが1918年に興した田園都市株式会社に始まります。現在の田園調布を住宅地として開発し、さらに都心と鉄道で結んで交通の便を図るのがその狙いでした。貴学は1923年に渋谷に移られたとのことでしたが、私どもも1922年に当社の前身である目黒蒲田電鉄を設立し、目黒-蒲田間が開通したのがこの年になります。その後、渋谷と横浜を結ぶ東京横浜電鉄などを吸収合併しました。

当時から鉄道と一体になった「街づくり」には力を入れ、再投資も積極的に行っています。沿線ではいまなお人口が増え続けている街が少なくありません。たまプラーザ駅は1966年に開業しましたが、2010年に駅の改良と合わせて「たまプラーザ テラス」をオープンさせ、駅周辺ではその後も集合住宅の建設など、さまざまな提案を続けています。

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「渋谷再開発」東急電鉄の牽引のもと、渋谷の街は発展を遂げてきた。そして現在、渋谷駅周辺地区の大規模再開発に向け て東急電鉄は新しい街づくりに着手している

グローバル化の時代こそ地域との連携が不可欠

赤井 本学は人材育成の方針として「神道精神」を掲げています。神道は昔から神社やお祭りなど、地域との結び付きが強かったのです。文部科学省は、「センター・オブ・コミュニティー(COC)構想」として、地域再生の核となる大学づくりを重視していますが、本学では10年以上前から、「渋谷学研究会」などの取り組みを行ってきました。同研究会は、発展を続ける渋谷という街を、文学、歴史、社会、宗教など、多様な視点で考察し、「渋谷学」として街の特色を浮かび上がらせようとするものです。

野本 とてもすばらしい取り組みですね。渋谷がこれからも発展し続けるためには、「渋谷をどのような街にしたいのか」というビジョンが大切だと思います。人を楽しませる、おもてなしをするために何をするかという視点でつねに考えるべきです。

たとえば、インバウンドで外国のお客様をおもてなしするには、地元のものも必要なのです。国際的なものと地元のものがコラボレーションすることによって、街の魅力がさらに高まる。「渋谷ヒカリエ」は国際会議などにも使っていただいています。ある会議では、前夜祭として近くの金王八幡宮で屋台を出して楽しんでいただきました。外国から参加された方にはとても好評だったようです。

赤井 本学はミッションとして、「伝統と創造」「個性と共生」「地域性と国際性」の調和の三つの慮(おも)いを掲げています。まさに地域性と国際性は表裏一体ですね。

渋谷には博物館や美術館などの施設がたくさんあります。國學院大學にも博物館があり、入館料を無料にして、地域の方々に気軽に来館いただいています。博物館は、一種のタイムカプセルです。展示をご覧いただくことによって、過去の経験や知識が可視化され追体験ができます。この4月から文化庁の「地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業」の一環として「東京・渋谷から日本の文化を発信するミュージアム連携事業」もスタートしました。

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「渋谷学叢書」 2002 年に「渋谷を科学する」というテーマを掲げて創始し た「渋谷学」。大学、そして学生を育ててきた地域でもあ る渋谷を多面的に考察した本学独自の研究シリーズ本

自分のよって立つ基準を持ち主体的に行動できる人材に期待

野本 若いときに本物を見ることは、とても大切ですね。自分の基準値をレベルアップすることができます。私どもは最近、ベトナムなど海外で都市開発を行っています。海外に出たときこそ自分の基準を持つことが大切です。日本の会社としてどのような考え方でビジネスを行うのか。日本の文化や芯となる考え方があって、初めて外国との比較もできるわけです。「日本の人たちと一緒に仕事をしたい」「ああいう街に住みたい」と思っていただけることが大切です。

そのためには、そこで働く人材は、つねに相手の気持ちを思いやりながら、当事者意識を持って行動できることが求められます。

赤井 お話を伺っていて、大学でも多くのことが当てはまると思いました。本学ではグローバル化が進む社会において、外国語を話し外国文化を取り入れるだけでなく、自国の文化を知り、その良さを発信できるプル型プッシュ型の人材育成に取り組んでいます。グループワークなどを学生が主体的に学ぶ取り組みであるアクティブ・ラーニングのほか、ラーニング・コモンズ(共有の学習スペース)などの拡充にも力を入れています。

野本 グローバル化が進む今こそ、自分のよって立つ基準が大事になります。その点で、貴学の取り組みに意義があると思います。主体性豊かな学生が育っていくことを期待しています。

赤井 ありがとうございます。

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