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渋谷・恵比寿が放つグローバルブランドを育てるファクター。

SHIBUYA LIVE! vol.1 サッポロホールディングス

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國學院大學・学長(当時) 赤井益久

2015年6月22日更新

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(左)サッポロホールディングス代表取締役社長兼グループCEO 上條 努
(右)國學院大學学長 赤井 益久

明治時代に起源のある國學院大學とサッポログループ。「ブランド」の本質とは何か、それを支える人材にいま何が求められているのか、赤井益久学長と上條努サッポロホールディングス代表取締役社長兼グループCEOが語った。
制作・東洋経済企画広告制作チーム

創業・建学の精神に沿って積み上げた歴史

上條 実はこの対談が決まってから、渋谷の國學院大學を見学いたしました。施設・設備が非常に充実していて、特に博物館には目を見張りました。

赤井 ありがとうございます。本学の博物館と図書館の充実度は国内大学でトップクラスだと自負しております。学術資産や研究成果を発信するため、そのほとんどが本物を陳列しています。また当館は無料で一般公開をしており、地域の方からも好評をいただいています。

いま大学間の競争は一層激化しており、國學院大學の魅力を高めるためには、質の高い教育だけでなく、さまざまな方法でブランド力を強化する必要があると考えています。博物館をはじめとする地域の方との交流は、その取り組みの一つとなっています。サッポログループでは、長い歴史の中でどのようにブランドを構築されてきたのでしょうか。

上條 当グループは1876年の「開拓使麦酒醸造所」の創業以来、先人たちの「開拓者精神」と、消費財を扱う企業として大前提である「地域と共に生きる」ことを大切にしてきました。その中で「ヱビスビール」が多くの方に愛飲され全国的な存在となったこと、そして地域社会に貢献する企業の証ともいえる、商品名を地名・駅名として受け入れていただけたことは、ブランド育成に大きく寄与していると思います。

赤井 御社が開発した「恵比寿ガーデンプレイス」は山手線内側の複合都市開発の先駆けであり、地域で暮らす人や訪れる人に非常に豊かな時間を提供する素晴らしい空間だと感じています。

これは持論ですが、街もキャンパスも、その空間の佇まいから醸される空気が人や文化を育てるのではないかと思っています。本学は数少ない神道精神を標榜する大学で、明治維新で欧化万能の風潮が強まり、日本古来の思想、文物が顧みられなくなったことを危惧して、1882年に本学の母体である皇典講究所が創設されました。

単に欧米の模倣ではなく、日本の歴史、文化、国民性などを基盤に、社会の中核を担う人材育成に努める建学の精神は現代に引き継がれています。この本学独自の空気に触れながら、学生たちが寛容性と謙虚さという日本人の美徳と国際人としての素養を身に付けてほしいと思います。

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他者理解の精神で時代が求める人材を

赤井 また今年度から54畳敷きの和室教室を設置し、将棋や和歌を体験できる「國學院科目」という授業を開始しました。これは本学ならではの特色です。

本学では「個性と共生の調和」を使命の一つに挙げています。つまり、違いを理解し、認め合い、尊重し合うということです。グローバル化が進む今だからこそ、海外へ積極的に出ていくプッシュ型の人材だけでなく、自国の文化を知りその良さを発信できるプル型の人材育成にも重きを置いています。やはり日本文化のDNAは日本語にあり、人材育成においてもそういった本物の日本文化に触れ、体験することが大切です。その中で異文化や多様な価値を受け入れて、活用できるゼネラリストのような要素を持つ存在が、いま必要ではないかと感じています。

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國學院大學の和室教室では、日本文化を体験しながら学ぶ「國學院科目」を開講している。写真は「和の心・技・体(礼法入門)」の様子

上條 企業人には、スペシャリストとゼネラリストという分類があり、90年代以降スペシャリストが本流のような時代になりましたが、確かに学長がおっしゃるようにいまの時代だからこそ、もう一度ゼネラリストの良さを見直す必要性があると思います。私自身は、サッポログループが手掛けるほとんどの事業を出向でキャリアを積みながら経験したゼネラリストです。人事部門には「若いメンバーに、いろいろな経験を積む機会をつくってほしい」と提言しています。

また当グループも海外展開事業をはじめ外国籍メンバーが増えてきており、近年ではより積極的にダイバーシティを推進しています。スタッフ全員が、ダイバーシティという問題を解決できるよう、貴学が大切にしているような他者理解の精神を持ちながら、自らを成長させていってほしいと願っています。

本物に触れる体験とそれを支える空気感

赤井 本学では、先ほど述べた博物館の公開をはじめ、キャンパスのある渋谷の街を文学、歴史、社会、宗教など、多様な視点から考察する「渋谷学」を展開しています。研究の成果は順次公開し、地域との結びつきを大切にするために取り組んできました。

上條 それは良い取り組みですね。当グループでも地域の方を招く「恵比寿麦酒祭り」を2009年から毎年開催しています。先人たちがつくり上げた「日本のビール」の味わいやビール文化を世に広めながら、今後もサッポロビールならではの「時間を愉しむ空気感」を地域ぐるみでつくっていきたいと考えています。

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毎年、恵比寿ガーデンプレイスで開催している「恵比寿麦酒祭り」。ビールはもちろん、豊富な料理や音楽などを用意し、多くの人が愉しめる空間づくりを進めている

赤井 地域においてそうした取り組みは今後ますます価値が上がっていくと思います。それは、人や文化を育てていくことにつながる大切な要素です。

上條 「恵比寿麦酒祭り」のほかに、私どもはビールづくりを下支えする大麦とホップの育種を行い、国内外の生産者の皆様に栽培していただいています。基盤をしっかり持った新たな人材育成を行う國學院大學と「開拓者精神」と「地域と共に生きる」を拠り所にしたものづくり・サービスを手掛ける当グループと、相通ずるところがありますね。

赤井 この対談を通じて、ブランドとは確かな品質に基づき積み上げてきた信頼に裏打ちされたものであり、またそれを支えていく空気感の体験によって確立されるものだと思いました。私どもも本物にふれる体験を通じ、國學院大學しか醸せない空気の中で次代を担う人材を育成してまいります。ありがとうございました。

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東洋経済6月22日発売号
タイアップ記事掲載

 

 

 

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