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半歩前で待つ勇気と体験活動の大切さ

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人間開発学部学部長 新富康央

2015年6月1日更新

幼児の子育ては大変ですが、親の私たちも学ぶことがたくさんあります。今回は幼児の子育てに欠かせない親の心構えと体験活動の大切さをお伝えします。

親は子どもを思うばかりに、つい多くの手助けをしてしまいますが、子どもの成長のエネルギーを信じ、自分でできそうなものにはあえて手を出さずにちょっと我慢する。「半歩前の子育て」を提案します。

幼稚園・保育園の先生は園児が積み木遊びをしていると、プラスアルファになるものを一つだけ付け加えておきます。子どもは知的好奇心を湧き立たせ、積み木遊びを発展させるでしょう。しかし、子どもは気まぐれですから、準備しても全く見向きもしないかもしれません。それでも先生は「待つ保育」ができたと胸を張ります。「半歩前の子育て」のコツは、「待つ余裕を心に持つこと」なのです。例えば、園児にチューリップの絵を描かせたいとき、「チューリップの絵を描きなさい」と指示はしません。チューリップの咲いたプランターを近くに置き、園児たちが花の一日の変化に気づく環境を作るだけです。一人が描き始めると他の園児も好奇心にあおられて絵を描き始めるでしょう。私たち親は、つい子どもたちに指示をし過ぎ、手を出し過ぎてしまいます。子どもの目覚めを待つ勇気、半歩前で我慢する精神が求められるのです。

次は、体験活動の大切さをお伝えしましょう。例えば「おしっこにいきたい」という子どもがいたら幼稚園では必ず誰かがついていき、口ではなく具体的に体験で教えます。子どもは体験することと行動することによって学ぶからです。幼児の成長の特徴の一つは「未分化」です。幼児は身体活動と精神活動が分かれておらず、身体を動かしているときに頭も働いているのです。そして体験活動を通し、幼児は「生きる知恵」を学ぶのです。ロバート・フルガムというアメリカの哲学者は『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』という著書の中で、「人間、どう生きるか、どのようにふるまい、どんな気持ちで日々を送ればいいか、全部残らず幼稚園の砂場で教わった」と綴っています。砂場遊びという体験活動を通じて、思いやりや優しさを身につけることができたのです。

どうか、お父さんお母さんは半歩前で待つ勇気をもち、知的な発達のため、しつけのため、思いやりや優しさを育てるために体験活動をおなか一杯させてあげてください。

 

 

 

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