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なぜ神社では、お金を入れてお祈りをするのですか?

外国人留学生から見たニッポン

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文学部教授 小川直之

2015年7月27日更新

(※画面の右上のLanguageでEnglishを選択すると、英文がご覧いただけます。 This article has an English version page.)

Q.日本に来て、神社を訪れたときに、お参りをしている人がお祈りをするときに、お金を入れていることに驚きました。このお金にはどのような意味が込められているのでしょうか。

A.神仏への報謝は、「初穂」から「散銭」「賽銭」へ

 現在では、神仏への崇敬や祈願の際に供える金銭を「賽銭」と呼ぶ。しかし、字義からは、「賽」は祈願が成就したときのお礼の意味をもつので、本来は、神仏への念願が叶った感謝の意を表すものであった。「賽銭」という言葉は16世紀後半の文献記録に見られるが、これ以前の15世紀前半には「散銭」という表現があり、神仏に金銭を投じて捧げたのがわかる。現在、社寺の賽銭箱に金銭を投げ込むのは、そのなごりである。 そもそも金銭を神仏に供えるのは、「初穂」といって、農山漁村で新しく収穫した作物や捕った魚などを神仏に供え、収穫や漁獲を感謝したのが始まりである。日本国内では、8世紀末の記録に、新しく貨幣を鋳造し、その新銭を神に供えたことが見え、貨幣の鋳造という行為にも「初穂」という考え方が適応された。こうした「初穂」が後に金銭に変わるのであり、「散銭」や「賽銭」という用語の使用は、貨幣経済が社会全般に浸透したことをあらわすものでもある。

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(撮影:氷川神社)

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2015年7月27日付け、The Japan News掲載広告から

 

 

 

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