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「値打ちづくり」で、子育て上手 ~3つの拍手作戦~

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人間開発学部学部長 新富康央

2016年8月2日更新

 「これが満点」というものは、子育てにありません。しかし、子育て上手のポイントはあります。その一つが、「値打ちづくり」です。子どもには表面的には出来・不出来はあっても、その子にしかない「よさ」というものがあります。子育て教室でも、このことは強調されます。しかし、「よさ」のあるなし論ではなく、「よさ」を生む「値打ちづくり」をしてやらなければなりません。それが、私たち大人社会の務めです。

 例えば、周りの友達が中学受験に向けて塾通いをしていると、親としては焦り、本人が乗り気でなくても、塾通いさせなければと悩むものです。塾通いの是非論よりも、親の心構えの問題が大切と言えます。つまり、他の子どもさんと一味違う「よさ」を自覚する「値打ちづくり」が大切です。

 確かに、テストの高得点も、魅力の一つです。否定はできません。しかし、人の魅力は、それだけではありません。数値では比べることのできない、その子の「よさ」は多数あります。他人や事物に対して優しい、人への助力やお手伝いを惜しまない、人を明るく楽しくするなど、「よさ」として挙げられる魅力は、多数あります。

 他の家族の子どもさんと比較しないで、マイペースで子育てに励んで欲しいと願います。他の子どもさんと比べて、焦って塾通いするのではなく、わが子にとってどうすることが、「値打ちづくり」になるのか、と考えて結論を出して欲しいのです。

 「ほめ上手になれ」と世間では言います。しかし、ほめ上手になれと言われても、何をどのようにほめて良いか、分かりません。そこで、3つの拍手作戦です。

 第一に、「はじめて拍手」です。文字通り、はじめてできたことに対する拍手です。はじめて自分で起きることができた、はじめて「おはよう」が言えた、はじめて親に言われなくても宿題がやれた、はじめて忘れ物をしなかったなど、です。

 第二に、「始まり拍手」です。お子さんが、新しい課題や目標を見つけた時への拍手です。お子さんが、勉強なんて嫌だと言ってきたとします。その時、「始まり拍手」なのです。「何を言っているの」と叱るのは、前向きではありません。逆に、「そうなんだ。でも、勉強が嫌だということは、このままではいけないと思っているということだよね。だったら一日二〇分でも良いからいすに座ってみよう」、と始まり拍手です。お子さんは意外な展開に驚くことでしょう。

 第三に、「伸びの評価」です。私たちは、結果を求め、結果にこだわる傾向があります。その結果、どれだけの子どもにやる気を失わせていることでしょう。伸びを評価できるのは家庭です。90点か60点かの評価はあります。しかし、20点しか取れなかった子どもが60点に、つまり40点も伸びたという拍手もあって良いでしょう。

 

 

 

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