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神道教化概論Ⅱでゲスト講師をお招きしました

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藤本頼生

2018年11月15日更新

「神道教化概論Ⅱ」は前期の「神道教化概論Ⅰ」ともに3年次の展開科目の一つです。神道・神社をいかに教え伝えるか、そのための様々な手法や歴史などを学ぶ講義であり、神職資格取得のためには必修の授業科目の一つとなっています。

11月13日(火)3限の「神道教化概論Ⅱ」(藤本頼生准教授)では、檜山神社宮司の大髙翔氏をゲスト講師に講義を行いました。

大髙翔氏は、母方のご実家が秋田県能代市内の檜山神社で、本学の神道文化学部を平成25年度に卒業された、神道文化学部開設以降の卒業生にあたります。

卒業後は奈良県の春日大社へ奉職されましたが、神職であった叔母の急死に伴い、現在の奉職先である秋田県の檜山神社へと転任。同社以下21社の宮司とともに、夏季は本州最北端でお茶の生産・製造・販売を手掛ける元祖檜山茶大髙園の茶園主を務められています。

現在、宮司や茶園主に加え、地元である檜山のまちづくり協議会(能代市)の理事、大髙書道教室の代表として奉務の傍ら、本年4月には、能代市議会議員選挙で26歳の若さで初当選(秋田県内の市議では最年少当選)されました。宮司としての経歴を生かしながら能代市議会議員としても若い世代の立場から積極的に能代市政にも関わられている多彩な経歴や立場をお持ちの神職です。

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大髙宮司のお話は、國學院大學神道文化学部へと入学したきっかけから始まり、フレックスAコースを主とした大学時代の学びの様子や、卒業後に春日大社での奉職経験の後、秋田へと帰郷したいわゆる「孫ターン」の状況にも触れつつ、秋田県北部で過疎や人口減少という社会的な問題を抱えながら、専業神職として21社の宮司を兼務する持つ苦労や、他の職との兼職を行ういわゆる兼業神職との差異について述べられました。

また、夏季限定ではあるものの、自身で20代目となるお茶づくりへの取り組みが一見関係ないように思われる神道教化といかに関係しているかや、地元で地域づくりに関わってきた神社の宮司としての体験などから、市議会議員として当選後に実際に議会活動をする上で、「先を見据え、次世代を創る」という自身が選挙戦のテーマとした考え方をいかに、地方行政の分野をはじめ、神社での活動や神道教化にも反映できるか、神社を中心とした教化活動および、自身がかかわる日々の活動の具体例とその活動を試みるにあたっての課題や問題点なども述べて戴きました。

また、過疎地域での神社は、神社自身に取り立てて古くから独特の由緒や信仰を持ち、多くの観光客や講などの参詣者で賑わっているような神社でない限りは、神職が何か特色ある活動をして、多くの人を神社に集めようと奇抜なことをしたとしても、地元の氏子地域の人々からはむしろ神職に拝金的傾向があるのでは?と思われる可能性も強く、地元の人々とのコミュニケーションを上手く取りながら、地道に神社の事業・活動を行っていかなければならないという難しさも教示いただきました。

「国や地域の発展や安寧を祈り、また体現しようとする時、どんなアプローチの仕方でもそれは「教化」と結びつく」、「地域が廃れれば神社も廃れるし、逆に地域が盛り上がれば神社も盛り上がる。神主は地域や国の発展を「お祈り」するのが仕事」という講義のなかでの大髙宮司の言葉は、実際に地域活動に取り組みつつ、能代地域で21社を務める宮司だけに力強いものがあり、加えてSNSの実用例や、自身がマス・メディアに取り上げられた動画を織り交ぜながらのスライドに学生も興味深く聞いていました。講義後は、学生と世代も近いこともあってか、積極的に質問が出されていたのは印象的でした。

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最後に本日の授業のまとめとして、藤本准教授から神道教化をなす上で留意しなければならない点についても触れ、大高氏が講義のなかで述べた「伝統の保持と発展」という点で、神社および神道の伝統として維持しなければならない機軸にあたる部分は、いったい何なのかという点を見極めつつ、どうしても長年の慣習のなかで、神社活動に大きな変化を避けるような傾向にある世代の高い人々の考え方との折り合いが非常に難しく課題であると指摘し、神社の尊厳を失わないように、大胆かつ変化のある教化活動をいかに行っていけるかが、まさに大髙宮司が述べる「次世代を創る、先を見据える」教化活動であるという補足があり、今回の授業を終えました。

最後にお忙しいなか、講義のために遠方からお越しくださり、熱心に講義いただいた大髙宮司に対し、心より篤く御礼を申し上げます。

このページに対するお問い合せ先: 神道文化学部

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