NEWS

神道文化学部 教員新刊紹介(加瀬直弥准教授)

  • 神道文化学部
  • 在学生
  • 受験生
  • 卒業生
  • 企業・一般
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

藤本頼生

2018年5月29日更新

kase-shoseki

このたび神道文化学部の加瀬直弥准教授が、著書『古代の神社と神職―神をまつる人びと』を発刊されました。

加瀬准教授は、古代・中世神道史および神社史を専門とし、六国史や令義解、令集解等をはじめとする古代・中世の歴史史料の緻密な分析をもとに、奈良時代末期から平安時代の神社制度と当時の神職の実態、あるいは神祇祭祀との関係性についても研究を進めています。

今回発刊された『古代の神社と神職』は、加瀬准教授が三年前に学術書として出版した『平安時代の神社と神職』(吉川弘文館)での研究成果をもとに、その後の研究の進化も含め、神社と神職にかかる一元的な制度はいかに整備されていったのかという点を、神社の立地や、神職の職掌、社殿の造営、服制(装束)や、担い手などの面に着目しつつ、平易に解説したものです。

例えば、現代の神職が装束を着用し、伝統的な出で立ちで手にする「笏」は、私たちは神職の象徴のように思うものですが、実はその「把笏(はしゃく)」と呼ばれる笏を持つことと、神社に祀られる神々の位である「神階」とが密接に関係する点など、今では当たり前と思われるような事柄をもとに、わかりやすく解説されています。また、山の神や水の神、田の神など、神社が鎮座する立地(地形)や社殿にも注目し、そこにみられる共通性から、神社と神職のあり方にも論及しており、今後の神社と神職のあり方を考える上でも有為な書です。

普段、私たちが目にする神社や神職の姿から、古代や中世の神社や神職の姿を想像する、あるいは意識することはなかなか無いかもしれませんが、奈良時代末期から平安時代初期にかけての神職制度の整備が、各地の神社に多くの共通性を生み出し、現代の神社が一体的に見える一因となったとする著者の分析とともに、地域に根差した神にそれぞれの神職が向き合ってきたという在り方を明らかにした本書を是非、ご一読いただければと思います。

 

加瀬直弥著『古代の神社と神職―神をまつる人びと』(吉川弘文館 平成30年6月 174頁 本体1,700円+税)

このページに対するお問い合せ先: 神道文化学部

MENU