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神道文化学部 第12回観月祭 開催報告

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小林宣彦

2022年10月28日更新

 令和4年10月15日(土)に、観月祭が斎行されました。
 観月とは、月を愛でながら眺める行事です。特に、秋の名月を観賞する行事です。古代中国では、もともと、月を眺めながら酒食を楽しむだけの行事でしたが、時代が降ると、月を祭るようになったとされます。
 日本では、平安時代の頃から、宮中や貴族社会で観月が行事化していきました。当時は、詩歌や管弦を楽しみながら酒を酌み交わす典雅な催しでした。日本でも時代が降ると、お月見に祭壇を設けるようになりました。

 こうした観月の風習を伝統文化として、本学では「観月祭」として斎行しています。
 観月祭で演奏される雅楽や、舞われる舞楽は、本学の学生が多くの時間をかけて稽古したものです。稽古には、小野雅楽会の先生方のあたたかいご指導をいただきました。
 また、観月祭の準備や実行にも多くの学生が携わっています。
 さらに、観月祭の斎行においては、院友神職会から多大なるご支援をいただいています。

 観月祭を観客の皆様方に見ていただくのは、じつに三年ぶりのことでした。新型コロナウイルス感染症により、全世界で数々の行事が中止されました。本学の観月祭も例外ではありませんでした。ただ、伝統の継承という点に重きを置き、未だ疫病は終息していないものの、観月祭斎行を決定したのです。
観覧に際しては、人数制限をはじめとする数々の感染症対策にご協力いただきました。

 まず、演奏に先立って、観月祭に伴う祭祀が執り行われました。


 続いて、雅楽の演奏が行われました。管弦の曲目は越天楽でした。雅楽には調子と呼ばれるものが六つありますが、そのうち、平調・盤渉調・黄鐘調の三つに越天楽があります。同じ曲名でありながら、それぞれの調子によってどのように異なるのか、その違いをお楽しみいただきました。


 続いて舞楽が行われました。舞楽というのは、「舞のともなった管弦」を意味します。舞楽には、日本固有のものと、アジア大陸から伝わったものと二種類があります。
 アジア大陸から伝来した舞楽は、楽器を奏する楽曲で、雅楽としては、こちらのイメージが強いと思います。
 一方、日本固有の舞楽の特徴としては、歌謡が中心であり、これに楽器を付け合わせている、という点が挙げられます。国風の歌謡に、和琴・和笛・笏拍子とともに、篳篥も伴奏楽器に加えられます。
 はじめの舞楽は、朝日舞でした。朝日舞の歌詞は明治天皇御製です。赤々と東の空に昇る朝日のように、爽やかな気持ちと神様に恥じない誠の心を常に持とう、という意味が込められています。作曲・作舞は東儀和太郎によるものです。


 次に浦安舞でした。こちらも歌詞は昭和天皇御製です。世の中が平和で乱れないことを願い、心も波風立たぬ穏やかな気持ちで人々が無事に過ごせるように、という意味が込められています。作曲・作舞は多忠朝によるものです。


 最後の舞楽は人長舞でした。人長舞をはじめとする日本固有の舞楽は、舞も重要ですが、歌謡もとても重要です。人長舞の歌謡は「其駒」という歌謡です。其駒の歌詞の内容は、神の乗り物の駒を歌って、惜別の情を表した歌と言われています。人長舞は御神楽ですので、宮中の神楽です。宮中の神楽人の長が舞うところから、人長舞の名が付けられています。御神楽は、古例に従うと、庭上で舞い、庭燎を焚き、夕刻から暁まで続きます。御神楽の歌詞は、「神とともに楽しむ」という内容ですので、観月祭に相応しい舞楽と言えます。


 会場の皆様は、夜空とお月様に想いを馳せていただいたことでしょう。

このページに対するお問い合せ先: 神道文化学部

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